ストックホルム条約 COP7 2015年5月6日
塩素化ナフタレン、ヘキサクロロブタジエン、
及びペンタクロロフェノールのスットクホルム条約
リスト掲載に関する IPEN の発言

パメラ・ミラー(有害物質に取り組むアラスカ・コミュニティ行動、アメリカ)

情報源:COP 7 May 6, 2015 IPEN Intervention on the Listing of Chlorinated Naphthalenes, Hexachlorobutadiene, and Pentachlorophenol to the Stockholm Convention
Pamela Miller, Alaska Community Action on Toxics, U.S.A.
http://ipen.org/sites/default/files/documents/IPEN%20Intervention%20on%20the%20Listing%20of%20Chlorinated%20Naphthalenes%2C%20Hexachlorobutadiene%2C%20and%20Pentachlorophenol%20.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2015年5月7日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/POPs/IPEN/150506_IPEN_Intervention_on_PCP.html

 マダム・プレジデント、ありがとうございます。卓越した代表者、淑女、紳士の皆さん、こんにちは。

 私は、3つの新たな物質を条約にリストするという POPs 検討委員会(POPRC)の勧告:すなわち、塩素化ナフタレンを附属書 A 及び C に、ヘキサクロロブタジエンを附属書 A 及び C に、両物質ともに免除なし、そしてペンタクロロフェノール(PCP)を付属書 A にリストするという勧告に関する IPNE の見解を述べます。この3つの物質は全て、POPs 検討委員会(POPRC)による厳格な科学的レビューを受けており、私たちはその勧告を支持し、PCP は免除なしに付属書 A にリストすることを強く要請します。

 PCP は北極の先住民を含む世界中で、母乳、血液、羊水、その他人間の組織中に見出される残留性のある地球規模の汚染物質であるという確固とした証拠は、迅速で断固とした世界的な行動を正当化するものです。PCP は、野生生物中の有力な有機汚染物質であり、遠隔の地の人々の集団を含む人の生物蓄積研究は PCP を条約の付属書Aに含めることの妥当性を与えるものです。最近の北極監視評価プログラム(AMAP)は、北極圏カナダのヌナビクのイヌイットの血清中 PCP の著しい増大を報告しています。

 PCP は、発達中の脳と神経系のダメージ、記憶と学習の障害、甲状腺機能のかく乱、免疫低下、不妊、及び非ホジキンリンパ腫などのある種のがんのリスク増大を含む有害な健康影響と関連しています。2014年9月に米・国家毒性計画は、PCP を”ヒト発がん性であることが合理的に予想される”と再分類しました。この手に余る POP の規制管理と制限は、子どもたちを有害な暴露から守るのに不適切であることを証明してきました。2014年にランセット誌に発表された論文で PCP は、人に脳毒性と神経学的症状を引き起こすことが知られている産業化学物質であり、脳に達して脳細胞に毒性を及ぼすことができることを示しています。

 PCP 処理された木製の柱からの放出はダイオキシン類とフラン類の主要な発生源のひとつであり、それはまた、PCP の製造と処分の間に放出され、PCP 処理された電柱の下の土壌と地下水を汚染します。従って PCP は、世界の有害化学物質汚染に大いに寄与していることになります。

 私たちは、PCP 処理された木材の使用に対するコスト効果のある代替の実行可能性と利用可能性、特に電柱については非化学的代替があることに勇気づけられます。近年、産業は、電線の地下埋設はもとより、ファイバーグラス合成物、リサイクル鋼材、コンクリートのような革新的な代替物質を開発しています。これらの代替は、強度と寿命の観点から、PCP 処理された木材に匹敵するか、あるいはそれに勝り、カナダやアメリカを含んで多くの国で使用されています。これらは有害な POPs 汚染廃棄物として処分される必要はなく、したがってこれらのより安全な材料を使用することのコストと環境利益は明らかです。

 公衆の健康を保護することが求められず重大ではない用途のための附属書B(制限)にリストすること(DDT がこのケースに当たる)は、条約の完全性を損ない、結果として PCP の使用量の増大をもたらしかねません。従って私たちは、PCP、その塩類及びエステル類を付属書A(廃絶)にリストすることを勧告していただきたく、要請します。

 附属書A に免除なしでリストすることにより、 PCP の製造と使用を廃絶すれば、PCP、ダイオキシン類、及びフラン類への暴露を削減することができ、これは明らかに健康と環境の利益をもたらし、将来の危害を防止することになるでしょう。



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る