IPEN/PAN/世界先住民族会議 2013年5月3日プレスリリース
POP's条約COP6
広く使用されている有害な難燃剤 HBCD 禁止に合意


情報源:IPEN/PAN/Global Indigenous Peoples Caucus
For Immediate Release 3 May 2013
Governments provisionally agree to ban widely-used toxic chemical at UN meeting
http://www.ipen.org/cop6/wp-content/uploads/2013/04/
IPEN-COP6-Press-release-3-May-2013-FINAL.pdf


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2013年5月19日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/POPs/IPEN/130503_IPEN_PAN_Press_COP6_HBCD.html


【ジュネーブ、スイス】IPENは、広く使用されている難燃剤 HBCD[1]の製造と使用を世界的に禁止するという暫定的な決定を各国政府がしたことについて祝福する。この歴史的な合意決定は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の会合において100以上の国によりなされた。

 ”我々は、この化学物質を禁止し、それを含む製品のリサイクルを許さないことを決定した諸国に対して喝采する”と、IPENの上席アドバイザー、マリアン・ロイド−スミス博士は述べた。”これはHBCDを含む物質が新たな製品にリサイクルされることを防止し、健康に深刻なダメージを与えるであろう汚染から人々を守るであろう”。

 ”各国政府はまた、HBCDを含む新たな建築用断熱材に表示を求めることを決定した”と、IPEN上席科学アドバイザー、ジョー・ディガンギ博士は述べた。”これは各国が有害な製品と廃棄物を分離するの役立つであろう常識的なアプローチである。”

   ”この世界的な禁止は、将来の世代、特に最もリスクの高い北極圏の人々のために大いに役立つであろう”と、北ベーリング海セントローレンス島のシべリア・ユーピック・ユースのティファニ・イミンガンは述べた。”多くのより安全な代替物質が存在するのだからHBCDを製造し、使用し続ける必要はない”。

   この会合では諸国はまた、猛毒の農薬であり、人と環境に取り返しのつかないダメージを引き起こすエンドスルファンの代わりに生態系に基づく害虫管理を行うことを優先事項とすべきであること確認した。

   ”これは、偉大な前進である”とPAN/IPENのメリエル・ワット博士は述べた。”生態系に基づく害虫管理アプローチは、農民の収入、食品の安全と健康を改善し、環境により良いということ示している。この決定は、農民にとって非常に有益であり、”政府は、農民がエンドスルファン等に依存する化学物質を大量に使用する農業から農業生態学や有機農業のような生態系に基づくアプローチへに変えることを今すぐに支援することを要求する”。

   ”IPENは、2014年〜2018年の期間を通じて条約の効果的な実施を確実にするために必要な資金調達を増大する必要があるということを支持する。開発途上国及び移行経済国における新たなPOPsを含むPOPsの段階的廃止は、多くの技術的及び資金的支援が必要である”と、IPEN共同議長のオルガ・スペランスカヤ博士は述べた。”我々は、この会合[2]でなされた進歩的な決定に喝采し、市民社会グループと彼らの専門家の積極的な参加が、化学物質の安全性に関するこの重要な条約の実施を役立て続けることを望む”。

 公益NGOの見解、情報、及び、スイス、ジュネーブにケルストックホルム条約会合の最新情報については、下記IPENの情報をご覧ください。
ウェブ情報: http://www.ipen.org/cop6/documents/
ツイッター情報:@ToxicsFree

原注[1]:
ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)は、建築用難燃材として広く使用されている化学物質である。現在は、世界中のあらゆる場所に存在し、北極圏の環境、海洋魚、海鳥、ワモンアザラシ、シロイルカ、ホッキョクグマに見いだされ、これらの生物種のあるものは北極圏の先住民族の物質的、精神的、文化的対象として重要である。食物連鎖の上位の HBCD レベルは現在、 PBDEs のような他の生物蓄積性化学物質に匹敵する。HBCD は、甲状腺機能と神経発達を損なうので子どもたちの学習及び成長に影響を及ぼすが、それらの影響のあるものは世代を越えて受け継がれる。HBCD は、母親の母乳中にも見いだされ、最も脆弱な我々の子どもたち受け渡される。 ある母乳についての研究は、 HBCD レベルが増大していることを示している

原注[2]:
今回の会合は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約の締約国の第6回会合(COP6)である。交渉は国連環境計画(UNEP) により主導されている。さらなる情報は、 http://chm.pops.int をご覧ください。


訳注


化学物質問題市民研究会
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