IISD 2013年5月13日
バーゼル、ロッテルダム、ストックホルム条約
締約国会議及び拡大合同締約国会議
2013年4月28日−5月10日 概要

ロッテルダム条約−クリソタイル・アスベスト

情報源:International Institute for Sustainable Development (IISD) 13 May 2013
SUMMARY OF THE ORDINARY AND EXTRAORDINARY MEETINGS OF THE CONFERENCES OF
THE PARTIES TO THE BASEL, ROTTERDAM AND STOCKHOLM CONVENTIONS
28 APRIL - 10 MAY 2013
Rotterdam Convention - Chrysotile Asbestos
http://www.iisd.ca/vol15/enb15210e.html

紹介:安間武 (化学物質問題市民研究会)
掲載:2013年6月5日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/IISD/IISD_COPs_ExCOs2_Summary_RC_Chrysotile_Asbestos.html

クリソタイル・アスベスト
 5月7日(火)、事務局はUNEP/FAO/RC/COP.6/12 及び Add.1を紹介した。バリッカ議長は、締約国は、COP3で、第5条 (訳注:禁止された化学物質又は厳しく規制された化学物質に関する手続)、及び第7条 (訳注:化学物質の附属書Vへの掲載) に規定されている手続きに従うことに同意したことを思い起こさせた。

   特に、ベネズエラ、レバノン、モルドバ、ウルガイ、ニカラグア、スイス、オマーン、イスラエル、バーレン、ヨルダン、モーリシャス、ニュージランド、リビア、ドミニカ共和国、アルゼンチン、マレーシア、ノルウェー、モンゴル、アメリカ、及びインドネシアは、クリソタイル・アスベストを付属書Vに記載することを支持した。アフリカ・グループを代表してケニアは、ジンバブエを除いて同グループはリスト掲載を支持すると述べた。

   EUは、クリソタイル・アスベストをPIC手続き(訳注1)の対象にするということは、その使用を禁止することではないと強調した。オーストラリアは、もしリストに掲載することにCOP6で合意に達しなければ、ロッテルダム条約がその目的に合致するのに役立つ”全ての他の選択肢”を探すために他の締約国とともに作業する道が開かれると述べた。WHOは、リスト掲載を支持し、クリソタイル・アスベストの管理使用は不可能であり、代替が利用可能であり手ごろな価格であると強調した。カナダは、、クリソタイル・アスベストを付属書Vにリストすることには反対しないであろうと締約国会議に伝えた。

 リスト掲載に反対してジンバブエは、クリソタイル・アスベストをリストに掲載することは”、科学的に正当ではない”と述べた。ウクライナとカザフスタンは、リストを支持するためには説得力のある科学的根拠が存在しないと述べた。ベトナムは、クリソタイル・アスベストと石綿症との間に関連はないと断言した。キルギスタンは、この物質は安全に使用することができると述べた。

   インドは、この物質の有益性、国内研究における”危険性がないこと”の発見、及びPIC手続きにより貿易コストが上昇することを挙げて、リスト掲載を支持しなかった。過去の議論が合意に達しなかったことに言及してロシアは、この問題を締約国会議(COP)での検討から外すことを提案した。

 その後この問題は、化学物質のリスト掲載に関するコンタクト・グループで取り上げられた。5月8日(水)、共同議長ハンセンは、クリソタイル・アスベストのリスト掲載に反対する締約国は、科学、代替、及び貿易への影響に関する懸念を持っていると総会に報告した。彼は、コンタクト・グループの中では、このような懸念は、”条約の通常の作業慣行の重要な要素ではない”ということに合意したと言及したが、このことはリスト掲載に反対する人々を阻止するものではないと述べた。彼は、クリソタイル・アスベストをリストに掲載するという合意は得られなかったと報告した。

   5月9日(木)に締約国会議(COP6)は、この問題に戻り、バリッカ議長は、クリソタイル・アスベストのリスト掲載に関する合意は得られなかったので、COP6は、決議を採択することはできず、この問題は自動的に第7回締約国会議(COP7) に先送りされると述べた。

 ロシアは、ジンバブエ、キルギスタン、カザフスタン、インドに支持されて、クリソタイル・アスベストのリスト掲載に反対であると繰り返した。オーストラリアは、EU及びその他の16か国に支持されて、クリソタイル・アスベストはロッテルダム条約(RC)のリスト掲載の全ての基準を満たしており、措置が遅れれば人の健康と環境のために莫大なコストがかかるであろうと述べ、リスト掲載に反対する締約国に対してその主張を再検討するよう促した。彼はこれらの見解はCOP6報告書に反映されるよう要求した。二人の代表者により提案されて、バリッカ議長はリスト掲載を支持する国は彼らの国旗をあげるよう求め、多くの国がそのようにした。

 ロシアは、締約国に彼らの国旗を揚げるよう求めるやり方に反対した。中国は(ロシアに)同意したが、クリソタイル・アスベストのリスト掲載は支持した。


訳注1:PIC手続き
経済産業省ウェブページ(PIC条約)
 条約事務局は、条約の附属書Vに掲載された化学物質に関する輸入国側の輸入条件(許可又は条件付き許可、輸入不可)を全ての締約国に回付し、これに基づき輸出国は輸入国の当該化学物質の輸入意思を確認した上で輸出を行う。また、各締約国が独自に禁止又は厳しく制限した化学物質を輸出する際には、事前に輸入国へ当該化学物質の有害性情報等を通報する。

訳注:ロッテルダム条約


化学物質問題市民研究会
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