IISD 2013年4月28日
バーゼル、ロッテルダム、ストックホルム条約 締約国会議及び拡大合同締約国会議 2013年4月28日−5月10日 ジュネーブ 化学物質と廃棄物に関する条約のこれまでの経緯 情報源:International Institute for Sustainable Development (IISD) 28 April 2013 ORDINARY AND EXTRAORDINARY MEETINGS OF THE CONFERENCES OF THE PARTIES TO THE BASEL, ROTTERDAM AND STOCKHOLM CONVENTIONS 28 APRIL - 10 MAY 2013 http://www.iisd.ca/vol15/enb15198e.html?&utm_source=www.iisd. ca&utm_medium=feed&utm_content=2013-04-30&utm_campaign=RSS2.0 紹介:安間武 (化学物質問題市民研究会) 掲載:2013年6月4日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/IISD/IISD_COPs_ExCOs2_History.html 有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(環境省訳)第11回締約国会議(BC COP11)、国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約(訳注:外務省訳)第6回締約国会議(RC COP6)、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(外務省訳))第6回締約国会議(SC COP6)、及び第2回3条約拡大合同締約国会議(ExCOPs2)が、スイスのジュネーブで本日、始まった。 同時に開催されるこれらの会議で検討されるべき主な論点には、条約間の共同の活動;バーゼル、ロッテルダム、及びストックホルム条約間の協力と連携の強化に関する進捗;条約間の協働を達成することができる新たな具体的領域の特定が含まれる。 化学物質と廃棄物に関する条約のこれまでの経緯 第1回拡大合同締約国会議(ExCOPs1) バーゼル条約、ロッテルダム条約、ストックホルム条約 第1回拡大合同締約国会議(ExCOPs1)は、2010年2月22〜24日にインドネシアのバリで開催された。この会議は、バーゼル、ロッテルダム、及びストックホルム条約間の協力と連携の促進に関する臨時作業部会(Ad hoc Joint Working Group)の作業の結果であるが、この作業部会はバーゼル、ロッテルダム、及びストックホルムの各条約の締約国会議に提出するために協力と連携強化に関する合同勧告を作成することを、これら3条約から委任されていたものである。 拡大合同締約国会議において代表者らは、合同事業、合同活動、予算サイクルの同時性、合同監査、合同管理機能、計画の見直しに関する包括的な協働決議を採択した。 計画の見直しに関する決議の中で、拡大合同締約国会は特に、2013年の3条約締約国会議で、協働決議にしたがって採択された協働計画が、3条約の実施の強化や全てのレベルにおける資源の効果的で効率的な使用を最大化することなど、一連の目標を達成することに、どのように寄与したかを見直すことを決定した。拡大合同締約国会議はまた、事務局に、2011年の3条約締約国会議による検討と採択ための見直しを目的とする報告書作成のための詳細な作業要綱を作成し、また2013年の3条約締約国会議による採択のための各条約の報告書を共同で編集し完成させるよう要請した。 ストックホルム条約 ストックホルム条約は、2001年5月に採択され、2004年5月17日に発効した。 ストックホルム条約は、2001年に採択されたときに、3つのカテゴリーに分類される12の残留性有機汚染物質(POPs)に対する国際的な行動を求めている。
各国政府は、新たな残留性有機化学物質(POPs)の広がりを防止する一方で、既存のPOPsを代替するために利用可能な最良の技術(BAT)及び環境のための最良の慣行(BEP)を促進することになっている。 ストックホルム条約の締約国は、現在、179か国である。 SC COP5 ストックホルム条約第5回締約国会議(SC COP5)は、2011年4月25日〜29日にスイスのジュネーブで開催された。SC COP5 は、条約の権限内の活動に関するいくつかの報告書を検討し、30以上の決議、特にエンドスルファンの付属書A(禁止)への記載;財政的及び技術的援助;協働;7つの新たなストックホルム条約地域センター(アルジェリア、セネガル、ケニア、南アフリカ、イラン、インド、及びロシア)の是認;を採択した。 ロッテルダム条約 ロッテルダム条約(RC)は、1998年9月に採択され、2004年2月24日に発効した。同条約は、PIC手続き(事前通報・同意手続)の実施について法的な拘束力を義務付けた。それは、国連食糧農業機関(FOA)と国連環境計画(UNEP)により作り出された自主的なPIC手続きを基にしている。 同条約の目的は、人の健康と環境を潜在的な危害から保護するために、ある有害な化学物質の国際貿易において、締約国間で責任の共有と協力の努力を促進すること;及び有害化学物質の特性についての情報交換を促進し、輸入と輸出に関する国家の意思決定プロセスを提供し、これらの決定を締約国に広めることによって、これらの有害な化学物質の環境的に適切な使用に寄与することである。 訳注:条約の対象となる化学物質(経産省ウェブページ 物質リスト) ロッテルダム条約の締約国は、現在、152か国である。 RC COP5 ロッテルダム条約第5回締約国会議(RC COP5)は、2011年6月20日〜24日にスイスのジュネーブで開催された。COP5は、アルジカルブ、アラクロール、及びエンドスルファンを同条約の付属書V(PIC 手続きの対象となる化学物質)に加えることを含んで、13の決議を採択した。 同会議はまた、予算;技術的援助;協働;情報交換;貿易;及び化学物質レビュー委員会の作業に関する決議を採択した。代表者らは、前回の締約国会議の間に合意に達しなかった問題を協議したが、非遵守に対するメカニズムと手続き、及びクリソタイル・アスベストを同条約の付属書Vに含めることについて同意に達することができなかった。 バーゼル条約 バーゼル条約(BC)は、1989年に採択され、1992年5月5日に発効した。毎年世界中で生じる推定400万トンの有害廃棄物の管理、処分、及び国境を越える移動についての懸念に対応するために制定された。同条約の指針原則は、有害廃棄物の国境を超える移動は:最低に削減されるべきこと;環境的に適切な方法で管理されるべきこと;できる限り発生源の近くで処理/処分されるべきこと;発生源を最小にすべきことである。 1995年9月にバーゼル条約第3回締約国会議(BC COP3)で締約国は、付属書Zに記載されている国((EU, OECD、リヒテンシュタイン)から付属書Zに記載されていない国への最終処分とリサイクルを目的とした有害廃棄物の輸出を禁止する禁止修正条項(Ban Amendment)を採択した。第17条第5項によれば、修正の発効は、”それらを受諾した(who accepted them)”締約国の少なくとも4分の3が批准したときに生じる。”それらを受諾した(who accepted them)”という表現について異なる解釈があり、したがって禁止修正条項の発効に必要な批准国数について解釈が異なる。ある締約国らはその数はバーゼル禁止修正条項の採択時に出席していた締約国の4分の3であると主張した。一方、国連法務部(UN Office of Legal Affairs)を含んで他の諸国らは現在の締約国の4分の3がバーゼル禁止修正条項を批准しなくてはならないと主張した。 バーゼル条約の締約国は、現在、180か国である。バーゼル禁止修正条項の締約国は75か国である。 BC COP10 バーゼル条約第10回締約国会議(BC COP10)は、2011年10月17日〜21日にコロンビアのカルタヘナで開催された。BC COP10は、バーゼル条約の効果を改善するために、新たな戦略的枠組みとインドネシア及びスイスによる国家主導の取り組み(CLI)に関する決議を採択した。国家主導の取り組み(CLI)は、第17条5項の解釈を明確にし、禁止修正条項は、それが採択されたCOP3に出席していた4分の3の国、すなわち87か国のうち66か国が禁止修正条項を批准したときに発効するとした。禁止修正条項は現在、まだ発効していない。 COP10はまた、特に、協働;予算;法的事項;バーゼル条約地域調整センター(BCRCs);能力構築;パートナーシップ・プログラム;技術的事項などを含む25の決議を採択した。有害廃棄物の発生防止と最小化に関するカルタヘナ宣言もまた採択された。 締約国会議間になされた議論のハイライト ロッテルダム条約(CRC8) ロッテルダム条約第8回化学物質検討委員会(CRC8)は2012年3月19日〜23日にスイスのジュネーブで開催された。CRC8 は、ジコホル;トリクロルホン;ペンタブロモジフェニルエーテル(ペンタBDE)及びペンタBDE混合物;ペルフルオロオクタンスルホン酸;ペルフルオロオクタンスルホン酸塩;パーフルオロオクタンスルホンアミド;perfluorooctanesulfonyls;パラコート及び作業手順と政策ガイダンスを含む8つの決議を採択した。 ICCM3 第3回国際化学物質管理会議(ICCM3)は、ケニアのナイロビで2012年9月17日〜21に開催された。同会議は、事務局の予算と、製品中の化学物質、塗料中の鉛、及び内分泌かく乱化学物質のような新規政策課題を含む9つの決議を採択した。情報クリアリングハウスの問題に関しては、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)予算に関するICCM3 宣言は、SAICM 事務局長と、バーゼル、ストックホルム及びロッテルダム条約の合同事務局長にそれぞれのクリアリングハウスの実施にさらなる協働を要請した。 バーゼル条約OEWG バーゼル条約第8回作業部会(OEWG8)は、スイスのジュネーブで2012年9月25日〜28日まで開催された。 OEWG8 は、バーゼル条約とストックホルム条約間の協働のさらなる強化という目標をもって、POPsで汚染されている廃棄物の環境に適切な管理のための技術ガイドラインに関する作業を、進展させた。締約国はまた、廃棄物/非廃棄物、有害廃棄物/非有害廃棄物、再利用、直接再利用、修理、中古品、古物、寿命の尽きた製品など、バーゼル条約の下における主要な用語の用語集を開発することに同意した。 ストックホルム条約 POPRC ストックホルム条約の残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)第8回会合がスイスのジュネーブで2012年10月15日〜19日まで開催された。 POPRC8 は、ペンタクロロフェノール(PCP)及びその塩類とエーテルのリスク予測段階(risk profile stage)への前進、塩素化ナフタリン((CNs)とヘキサクロロブタジエン(HCBD)のリスク管理評価段階への前進;締約国は;建材用のビーズ法ポリスチレン(EPS)及び押出ポリスチレン(XPS)の製造と使用を免除しつつ、付属書Aにリストすることを検討するよう勧告するためにヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)に関する POPRC7の決議の修正;エンドスルファンとDDTの代替の評価;気候変動の POPR作業への影響;臭素化ジフェニルエーテル(BDEs)、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びその塩類とパーフルオロオクタンスルホニルフルオリド(PFOSF)に関する作業プログラム;これらの化学物質問題のためのストックホルム条約の実施の評価;付属書Eの基準の適用における問題と一般的な実施方法;開放型応用におけるPFOS代替の評価;PFOS、その塩類及びPFOSFの代替に関するガイダンスの修正;POPRC作業における締約国の効果的な参加等を含む12の決議を採択した。 |