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Frontiers 2024年10月2日
ネオニコチノイド系農薬: 規制用のげっ歯類研究による発達神経毒性の証拠【概要】 ジェニファー・ベス・サス、ネイサン・ドンリーネイサン・ドンリー、ウィリアム・フリーズ 情報源:Frontiers, 02 October 2024 [Abstract] Neonicotinoid pesticides: evidence of developmental neurotoxicity from regulatory rodent studies By Jennifer Beth Sass 1*, Nathan Donley 2 and William Freese 3 1 Natural Resources Defense Council, New York, NY, United States 2 Center for Biological Diversity, Portland, OR, United States 3 Center for Food Safety, Washington, DC, United States https://www.frontiersin.org/journals/toxicology/ articles/10.3389/ftox.2024.1438890/full 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2024年10月21日 このページへのリンク: https://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/news/241002_Frontiers_ Neonicotinoid_pesticides_evidence_of_developmental_neurotoxicity_ from_regulatory_rodent_studies.html ネオニコチノイド類は、米国および世界で最も広く使用されている殺虫剤の部類ある。その高い使用量と残留性から、ネオニコチノイド類は飲料水や食品を汚染していることがしばしば見られる。また、人間の尿、母乳、羊水、脳脊髄液、および治療されたげっ歯類の脳でも検出されている。 ネオニコチノイド類はかつては人間に神経毒性のリスクをほとんど与えないと考えられていたが、その仮定に疑問を投げかける研究が増えている。この研究では、ネオニコチノイド製造業者が米国環境保護庁(EPA)に提出した 5種のネオニコチノイド類に関する未発表のげっ歯類の発達神経毒性(DNT)研究の包括的な評価を初めて提供するものである。 妊娠中および授乳中に雌ラットのグループに3種類の異なる用量のネオニコチノイド類を投与し、その子孫にさまざまな神経学的検査と脳の測定を行った。その結果、神経細胞の喪失を示す脳サイズの縮小など、ニコチンのような影響が確認された。高用量投与を受けた子孫では、アセタミプリド、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサムの 5種のネオニコチノイド類について、統計的に有意な脳組織の縮小が観察された。 げっ歯類の研究で縮小が認められた2つの脳領域(脳梁と尾状核-被殻)は、注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断された人や、妊娠中に喫煙した母親の子どもで小さくなる傾向があり、周産期のネオニコチノイド暴露と ADHD の間に関連がある可能性を示唆している。 (訳注:周産期とは、妊娠22週から出生後7日未満までの期間をいい、合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など、母体・胎児や新生児の生命に関わる事態が発生する可能性が高くなる期間です。|東京都保険医療局) アセタミプリドでは全用量で聴覚驚愕反射(auditory startle reflex)の減少が報告され、中用量および高用量の子孫で統計的に有意であり、クロチアニジンでは高用量の幼若雌で有意であった。 (訳注:驚愕反応とは,突然の強い感覚刺激により瞬目や体幹・上肢を屈曲させるような動きが喚起される全身性の反射的運動反応に加え,恐怖や不安などの情動反応や立毛筋反射・頻脈・呼吸促迫などの自律神経症状も伴う反応であり,ヒトを含む多くの動物種で観察される生理的反応である。|日本生物学的精神医学会誌 26巻2号) アセタミプリド、イミダクロプリド、チアクロプリドについては中用量または低用量の脳形態計測データは提出されなかった。チアメトキサムの中用量および低用量の脳形態計測データは、要請に応じて EPA に提供された。クロチアニジンについては中用量の脳形態計測データが部分的に提出されたのみで、低用量のデータは提出されなかった。 しかし、このデータ不足にもかかわらず、EPA は高用量の脳形態計測効果のみがネオニコチノイド投与に関連していると結論付けた。アセタミプリド、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサムについては中用量を研究の無毒性量 (NOAEL) としないか、あるいは明確な NOAEL を見つけることができなかった。 (訳注:無毒性量(NOAEL Non Observed Adverse Effect Level)無毒性量(NOAEL)とは、ある物質について何段階かの異なる投与量を用いて毒性試験を行ったとき、有害な影響が観察されなかった最大の投与量のことです。通常は、さまざまな動物試験で得られた個々の無毒性量の中で最も小さい値をその物質の無毒性量とし、1日当たり体重1s当たりの物質量(mg/kg 体重/日)で表されます。|厚労省食品安全情報) EPA の規制監視とデータ分析には多くの欠陥があることがわかった。EPA は統計的に有意な有害影響を無視し、有効な陽性対照データがないにもかかわらず標準以下の DNT 研究を受け入れ、ネオニコチノイド登録者が EPA の意思決定に不当な影響を与えることを許した。 (訳注:陽性対照:使用する試験系に作用させると明確な反応を高い再現性で発生させることが知られた物質を対照として用いるもので、試験系の反応性が不安定である試験では特に必要である|食環境衛生研究所) 我々は、ネオニコチノイド類とその代謝物への周産期暴露はげっ歯類の生物学的検定でニコチンのような有害な神経毒性影響を誘発し、EPA がヒト暴露に対して設定した暴露限度は保護効果がない、または利用可能な神経毒性データによって裏付けられていないと結論付ける。我々は、EPA がネオニコチノイド類のような発達神経毒から公衆の健康をよりよく保護できるように、規制の変更を提案する。 |