お題<甲子園>
報徳学園が28年ぶり2度目の栄冠(大会優勝)に輝き、今年のセンバツ大会は幕を閉じた。
今大会に関して、私が感じたことをいくつか記そうと思う。
《1.大物不在》
今大会に限って言えば、プロのスカウト陣を釘付けにするような逸材は本当に少なかった。
私的には、報徳のエース・大谷君、明徳義塾3番遊撃・森岡君、福井商4番一塁・赤土君、智
弁和歌山4番捕手・岡崎君に岡山関西のエース左腕・宮本君ぐらいかな。もっとも、夏の大会
までは、まだ4ヶ月ある。新たな怪物が登場する確率は非常に高い。期待して待つとしよう。
《2.新・金属バット導入》
また飛びの悪い、と書くと語弊があるが、飛距離の抑えたバットが今回より使われることに。
芯で捕らえないと打球が飛ばないようにしているそうだが、なら木バットにすればいいのに。
《3.スパイ事件》
1回戦・福岡工大城東vs宇都宮工戦で、それは起こった。バックネット席で観戦していた城東
の野球関係者が、宇工のバッテリーの癖やサイン等を書いたメモをベンチ裏の関係者に渡し
た、というものだ。試合は延長戦の末に城東が勝ったが、後味の悪いものにしてしまった。宇工
の監督の大人の対応に救われた感もあるが、「勝って欲しい、という一心でやった」という容疑
者の弁明は同情に値しない。プレーしている選手が相手の癖に感付く分には何にもないのだ
が、グラウンド外の人間がやったことに問題があるのだ。「正々堂々戦うことを誓います」という
選手宣誓。それは、出場チーム全関係者に対してもあてはまるもの。高校野球は教育の一環
というのが、高野連の理念の1つ。ここでは、大人の理論は通用しないのだ。近年、高校スポ
ーツの全国大会を学校の宣伝媒体としてとらえる学校関係者は少なくない。不景気に少子化
が更に拍車をかけている。だが、自分達が教育者である、という事実を忘れてはいけない。
現在、ヤクルト・スワローズのエースとして活躍する藤井秀吾投手は愛媛・今治西時代の3年
の春にセンバツ大会に出たが、直後に左肘を痛めてしまった。最後の夏、彼は1試合も投げる
ことなく高校野球を終えた。肘自体は80%ぐらい回復してたが、当時の監督さんは「藤井には
まだ先があるから」とマウンドに上げなかったのだ。この時、試合に出てたら、果たして今の藤
井はあっただろうか?断定はできないが、藤井がいい恩師に恵まれた、という事実に変わりは
ない。最後に一言、「高校野球は高校生のものだ。」