France

Asia Minor

70 年代後半から 80 年はじめにかけてのフランスのプログレバンド.メン バーにはトルコ人もいる.フルートとギターが特徴的.

Crossing the Line (Musea FGBG 4082.AR)

フルートの演奏が特徴的なフランスのバンド Asia Minor の 79 年の 1st アルバムです.少し Jazz 的な雰囲気を漂わせている叙情 的なロックという感じです.とは言ってもあまり叙情的な所が目立つ わけでもありません.フルートが少しジャズ的に時には激しく,時に は静かに奏でるメロディが印象に残ります.ギターも特徴的.2nd に 比べて曲の構成・展開が複雑でテクニカルでハードな印象も受けます.

Between Flesh and Divine (Musea FGBG 4035.AR)

時には叙情的に静かに,時には情熱的に激しく曲が進行する 81 年の 2nd .フルートの音色も美しく物悲しく,激しい部分でも叙情 的な感じをたえず漂わせながら演奏されます.メロディも演奏も少し も古くさくない現代的な感じで,1st に比べても少しあか抜けた感じ がします.1st に比べてはテクニカルな部分が陰を潜め,叙情的・情 熱的な所が表にでてきた感じがします.とは言っても,だいたいにお いては 1st のイメージを継承しています.

こういう少し激しく情熱的 (コテコテではない) なメロディ (特 にギターなんか) は日本のフュージョンにも通じるところがあって, 日本人好みではないでしょうかね.Snow Goose 時代の Camel をもう少し情熱的に激しくしたような感じです.フルートが中 心の静かな部分は Camel っぽいです.


Atoll

Illian, J'entends gronder la Terre (2003: Musea FGBG 4531.AR)

14年ぶりの新作.

前半はプログレとは言えないが高品質なロック. フランス語のボー カルが独特な雰囲気を出しています.後半はシンフォ的な風味をプラ スしたサウンド.全体的に大規模な曲はないのですが,緻密な演奏と ギターによる伸びやかなシンフォフレーズにより,実際以上にシンフォ 的な印象が強く出ています.

緻密な演奏は前後半を通じて言えることで, 安定した演奏で安心 して聞けるところはさすがです.ネオプログレ系のような派手さはな く,どちらかというとこじんまりした曲にも関わらず,シンフォ色が 出せているのは, その緻密さとシンフォ的なソロを取るギターの安定 感のおかげかもしれません.

(January 12, 2004)


Clearlight

Clearlight 888 Music

Infinite Symphony (2003: Clearlight Music CLM-008)

Symphony, Symphony II と同じテーマで, これが究極の出来とい うことでしょうか. 確かに以前気になったような部分はなくて, すん なり良い出来だなあと思える作品に仕上がってますね. Cyrille Verdeaux もインタビューで「頭の中にあったイメージに 近づいた」「前作の延長線上にあるものでなく本物」と言っています が, その通りのように思います.

独特の浮遊感を持つシンフォ的な側面とギターやサックスの Fusion 的なソロのスリリングさが同居しています. 音は全体的にや わらかい感じで, 以前よりもよりエモーショナルで人間味が増してい るような気がします.

Didier Malherbe も参加.

(May 11, 2004)


Dun

Eros (1981: Seleil Atreides 03)

1981 年の自主製作の作品らしいです.攻撃的なロックです.全体 的に重厚感のある音に,ちょっとヒステリックなフルートと跳ねるよ うなマリンバが絡み,非常に特徴的な音楽に仕上がっています.

全体的に内省的でクリムゾンのような攻撃的な雰囲気に,レコメ ン系のようなちょっとユーモラスな感じさえあたえる変拍子のリズム が混じったような感じで非常に面白いです.

ボーナストラックが 4 曲入っていますが,こちらはちょっと雰囲 気が変わって,変なフレンチジャズと言った感じで,不安定なフルー トとリズムにサックスが絡み,フリージャズの一歩手前のようなジャ ズを演奏しています.崩壊寸前でかろうじて均衡を保っているような, フリーの寸前で踏みとどまったシリアスなジャズと言った感じでしょ うか.ちょっとユーモラスな感じのするリズムはボーナス以外の曲と も共通しているような気がしますが,こちらはぐっとジャズファンに アピールするような音楽ですね.ボーナストラックは,1978 〜 79年の録音です.

さすがフレンチプログレ (& ジャズ) と言った感じで,非常に高 水準な音楽ですね.

(September 5, 2000)


Eclat

le cri de la terre (2002: Musea FGBG 4442.AR)

コンパクトな感じのするシンフォニックロック + フュージョンと いう感じの音です.

インプロビゼーションの比率も比較的高く,フュージョンファン も結構楽しめるのではないでしょうか.特にキーボードのソロはジャ ズロックを聴いている気分にもなる結構良い感じのものです.

一曲だけボーカルが入った曲がある以外はインストで,ゲストに ヴァイオリンが入った曲はちょっとエスニックな感じで,これも面白 いです.

もう少し全体的に緻密で粗さがなければ更に良いかも.

(March 13, 2003)


Fred & Co

Fred & Co (1996: Musea Parallele MP3027.AR)

フランスのウェザー系フュージョンバンドといえば,Sixun なん かがメジャーですが,その Sixun の対抗馬と言われて買ったもので す.Frederic Schneider というジャコが好きなんだなあ,というの が分かるベーシストのソロプロジェクトという感じのアルバムで,と にかく多数のミュージシャンが参加しています.1 曲 1曲の長さがコ ンパクトで,なんと 22 曲も収録されています.全体的には統一感の ある雰囲気ながら,最後まで全く飽きずに聞き通す事が出来るのがす ごいですね.

ウェザー系の音楽なのですが,それだけに留まらない現代的な解 釈とフランス的ヒネリが利いたなかなか面白いアルバムですね.曲は コンパクトな感じがして,ウェザーなんかよりはスケールは小さい感 じです.色々な楽器も入っていて,曲もバラエティに富んでいておす すめです.

(July 9, 1999)


Fugu

Harmonia Maudit (2000: Musea FGBG 4317.AR)

最近,Mc HacekScott McGill などの Holdsworth 系の ギターによる素晴らしい音楽が出てきていますが,フランスからも素晴らしいジャズロック バンドが登場です.ジャケットは外国の映画に出てくるような変な日本って感じの,無意味 な漢字が並んだり,日の丸があったりするジャケットですが,音楽は至ってまともです(笑).

ゆったりとしているリズムの上で自在に動くギターが特徴的です.ゆったりとしたリズム とは言っても,何か変なリズムで一筋縄ではいかない感じです (笑).アコースティックギター とエレキギターを効果的に使い分けてメリハリを付けていますし,ちょっと愁いを含んだ テクニカルなギターで,曲も素晴らしいので,退屈しません.

Holdsworth の好きな人だけでなく,日本の Prism が好きな人 (Nothin Unusual 以降あたりですが) などジャズロック系の音楽が好きな人に おすすめです.

(October 16, 2000)


Gozzozoo

Pictures of the New World (MUSEA Parallele MP3030.AR)

フランスのドラマー Alain Gozzo によるフュージョン.これも某 メーリングリストで指名ですすめられたものです.(^_^;)

1 曲目はいかにもドラマーのアルバムという感じの乾いた曲で, ギターがちょっと Holdsworth っぽいもので,アルバム全体こういう 感じのドラマーのプレイを楽しむ感じのドライなフュージョンかと思っ ていたら,2 曲目はいきなりさわやかなラテンフュージョンになって, ちょっと意外でした.キーボードは T Laviz 系の透明感のある音で す.その後の曲は軽快なテクニカルフュージョンという感じの曲が中 心です.

ドラムはドライな感じの軽快なプレイですが,ただ軽いだけでは なくて,ほどよい迫力もあります.全体的に,他の楽器も乾いた感じ のさらっと流れるようなプレイで,もう少し力強さがあってもいいか なと思いますが….


Halloween

Le Festin (2001: Musea FGBG 4365 AR)

前作までは重苦しい重厚感のある暗い感じのシンフォニックロックでしたが, この作品では一聴すると全く路線が変わって,明るい雰囲気で,女性ボーカルを 中心としたポップス的な作品に聞こえてしまいます.

しかし,よく聴いてみると,曲自体は前作までの路線と同じように聞こえてきて, 音ががらっと変わったように感じるのは,シンセの音が全体的に薄っぺらく細く感じてしまうのと, 女性ボーカルも少し線が細いような感じだからじゃないですかね.

それ以外の曲の構成なんかはなかなかだと思います.曲の始まりは「う〜ん いまいち」なんて思っていても,後半になるにつれて盛り上がっていって,スリリングな 演奏のヴァイオリンなんかが迫ってくると,おぉ,わるくないやん,と思ってしまいます.

ボーカルの声質とシンセの音にもっと厚みが出れば,更に迫力のあるすばらしい作品に なったと思いますが,このままでも十分にシンフォロック的な展開や演奏が楽しめる作品 だと思います.

(June 26, 2001)


Jac La Greca

Jac La Greca

Ipsis Quest (Musea Parallelle MP 3028.AR)

フランスのホールズワースタイプのギターリストのアルバムです. レヴェル的にもホールズワースに遜色ないんではないかなあ,と思う レヴェルですね.ホールズワースのソロ作品的な味わいがあります. 曲はどちらかというと全体的にゆったりとした感じで,速弾きを期待 するとハズします.それに全体的に目立つ曲がないので,インパクト に欠けるかもしれません.キーボードのプレイもホールズワース系で ギターと妙に似ているので,その部分でちょっと変化が欲しいような 気もしますが,高品質なジャズロックと言えるのではないでしょうか.

(November 17, 1998)


Jean Pascal Boffo

フランスの Guitarist

Carillons (Musea FGBG 4104 AR)

美しいメルヘンチックなイラストのジャケットの通りのイメージの音 楽.ただ,軽快なアメリカ西海岸系のフュージョンにも聴えるような 気もするので,ジャケットの絵を見たからそう感じているだけかもし れません.音楽は美しく完成度の高いシンフォニック系フュージョン. 繊細でゆったりとした気分にさせてくれます.暖かい天気のいい休日 の朝の草原を想像させるような音楽です.

Vu Du Ciel (Musea FGBG 4244.AR)

エレクトリック / アコースティックギターを中心に,ドラムやパー カッションなどが効果的に絡む音楽.この人独特の暖かみを感じる優 しい音楽と,少しエキゾチックというか地中海音楽的な曲が混じって います.この独特の暖かみはとても心が和みます.ただ,ちょっとイ ンパクトに欠けるかも.


Jean Paul Prat

Masal (Musea FGBG 4155.AR)

ゆったりとしたリズムの上で、ブラス系の音が出す分厚い音が魅 力的です。1 曲めの出だしが結構強迫的なメロディーだったので、こ んな感じかなと思ったら、結構暖かい感じのメロディーに変わってい きます。ゆったりとした分厚い音と、この暖かいメロディで、リラッ クスして聴けました。1 曲めは長いですね。


Jean-Philippe Viret

Considerations (2001: SKETCH STUDIO SKE 333016)

ベーシスト Jean-Philippe Viret 名義のピアノトリオ作品ですが,三者の誰が 目立つという事なく,一体となって盛り上がるジャズです.

テーマとソロも明確に別れているというよりは一体となって曲を創り上げて いっている感じでどの部分が欠けても曲が成り立たないと思えるほどです.三者一体 となって盛り上がっていく様は圧巻としか言いようがなく,繊細かつ大胆な演奏が 本当に素晴らしいです.

(January 6, 2002)


Minimum Vital

現代フレンチフュージョンを代表するバンド.テクニカルな雰囲気が特徴 的だが,その音楽は徐々に親しみやすいものへと変化してきている.

Atlas (2003: Musea FGBG 4533.AR)

前作の流れを組むポップなサウンド.前作より情熱的な雰囲気は 後退してストレートな明るさが前面に出ているかな.

あと,前作は女性ボーカルの方が男性ボーカルより前面に出ていた 感じでしたが,今回は男性ボーカルの方が前面に出ているか,同じ露 出度か,という感じですね.

(August 6, 2004)

Au cercle de pierre (Musea FGBG 4229.AR)

Minimum Vital のライブ盤.ライブとは言え,スタジオ盤に変わ らないクオリティの音楽を提供してくれています.発売前は,最近の ボーカル曲が中心になるのかなあ,と思っていたのですが,3rd あた りからの曲でボーカル,インスト曲がバランス良く収録されていて, とりあえず聴いてみたい人なんかにはベスト盤的利用も出来るものに なっています.

新曲が最後に 1 曲収録されていて,サックス入りで,曲自体はこ のバンドらしい曲ですが,ちょっと今までの雰囲気とは変わっている ような気がします.ただ,曲自体はさほどたいした曲には聞えないよ うな….ただ,このバンドの曲の中にはサックスが入っていたら格好 良いだろうなあ,という曲もありましたので,今後が期待できますね.

その他,CD-ROM トラックが収録 (?) されており,PC に突っ込 むとバンドの Discography や Biography やライブ映像 (2 曲) を見 ることができます.なかなか凝った作りでした.

(January 7, 1998)

Envol Triangles / Les Saisons Marines (Musea FGBG 4050.AR)

カセットで製作されていた 1st とその後の 2nd の 2in1 の CD です.

1st の Envol Triangles はフルートが入ってい て,他のアルバムとはちょっと雰囲気が違いますが,全体的な雰囲気 はのちの Minimum Vital そのものという感じがしますね.フルート の入った,クールなフュージョンという感じです.淡々と演奏してい るちょっと冷たい無機質な音楽という感じがします.

2nd になるとフルートは抜け,ギターが音楽の顔的になって,少 しエモーショナルな方向に振った感じの音楽に変化しています.ちょっ とだけですが.曲も 1st がスピード感の感じられる音楽でしたが, 少しゆったりとした感じの曲が出てきます.その上で,ギターの控え 目な泣きのメロディが鳴っていて :-),そこが魅力です.

軽快なスピード感のあるフュージョンが好きな人におすすめです.

Sarabandes (Musea FGBG 4014.AR)

1st → 2nd の変化をさらに推し進めたような作品です.ちょっと ゆったりとした感じがでてきます.1st に強かった無機質な感じから, フランス的味わいのある控え目な叙情感が出てきます.

(December 13, 1998)

La Source (Musea FGBG 4075.AR)

これ以前の作品と次のポップなボーカル入りの路線を繋ぐような 作品です.かなりボーカルの比率が上がっていますが,どちらかとい うとコーラス的な要素が強く,ボーカル曲という感じはあまりしませ ん.

適度なポップさと,軽快のフュージョン的な味わいと,それまで のスピード感のあるテクニカルな味わいが丁度良い所でバランスして いるような傑作です.

(December 13, 1998)

Esprit D'amor (Musea FGBG 4209.AR)

この作品は最新作だが,今までの雰囲気を残しながらも,あたら しい方向性を感じさせます.1st/2nd あたりのテクニカルフュージョ ン路線から,徐々にエモーショナルな雰囲気と親しみやすいメロディ へを持つ音楽へとと変化していっていましたが,その路線をさらに推 し進めたその結果とも言えるアルバムです.女性ボーカルを導入し, テクニカルな雰囲気のフュージョンバンドの上で,少し切なそうなな 女性ボーカルが乗っかる感じです.

聴く人によってはプログレとは言えない音楽へとは変化していま す.テクニカルポップスフュージョンという感じでしょうか.女性ボー カルも美しいです.とは言っても,ケルト的な透き通った美しさでも なく,多少フランス的ですが,あまり鼻にかかったようなシャンソン 的でもありません.しかし,フランス的なのは,単にフランス語で歌っ ているからでしょうかね?

それと,このバンド,リズムがなんか独特な雰囲気を持っている んですよね.その雰囲気もそのままです.


Moving Gelatine Plates

Removing (2006: Musea FGBG 4663.AR)

Removing
RemovingThe Moving Gelatine Plates

Musea 2006-07-28
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

1970 年代初頭にアルバムを 2 枚リリースしたバンドの再結成後 2 枚目となるアルバム.といっても,以前の再結成は 1978 年で,ア ルバムリリースは 1980 年なので,再々結成なのかも?

1971 年の豚のジャケットのアルバムを以前聴いたことがあります が,結構アクが強く,ユーモラスな雰囲気のカンタベリ風のジャズロッ クという記憶があります.アクが強いので,ジャズロック/フュージョ ンファンでも好みが分かれそうだなと思った記憶があります.

このアルバムもある程度その頃の雰囲気を残していますが,現代 的になったのか,メンバーが歳をとったからか,アクの強さはだいぶ 弱まっています.

基本的にはカンタベリ系のジャズロックサウンドですが,レコメ ンにも通じるようなユーモラスな雰囲気はあります.それ以外にも, シンフォニックロック的な要素が感じられます.アクの強さはそれな りにあるのかも知れませんが,ヴァイオリンの演奏により,それ以外 の楽器や曲の角が取れて,なめらかな雰囲気になっているような気が します.

(September 6, 2006)


Nemo

Prelude A La Ruine (2004: 自主製作)

自主製作の 3rd アルバムとのこと.

フランスらしいテクニカルさと,ちょっとアメリカンな感じもす る開放感があります.フランスのシンフォではなかった感じかも (そ れほど数聴いてませんが) .クールな感じとテクニカルな屈折感とス トレートさが同居しているというか.

ギターはちょっとハードですがメタルではないです.キレが良い ですね.ヴァイオリンも参加.

(February 8, 2005)


One Shot

Vendredi 13 (2001: Soleil c/o Alain Lebon Productions S 06)

メンバーの 3 名が現マグマのメンバーであるジャズロックバンド の 2nd アルバム.

マグマ的な重厚感のあるリズムにジャズ的な雰囲気を持ったメロ ディやアドリブが乗る正当派なジャズロックと言った感じです.イン プロビゼーション中心ではあるのですが,きちんと構築された感じも して,一曲の中で複雑に展開していく所が新鮮です.

非常に勢いがあり,どんどん前面に音が出てくるような迫力を持っ てはいますが,うねりがありと緩急をついていて一本調子でなく飽き させません.

(May 2, 2002)


Priam

Diffraction (Musea FGBG 4388.AR)

前作はどちらかというとゆったりした伸びやかなシンフォ系フュージョン という感じでしたが,今回の作品は縦ノリでタイトな感じになった硬質 なジャズロックという感じですね.トリッキーな感じのフレーズも曲に よってはあって,クリムゾンを少し軟らかにしたようなな雰囲気を感じ る部分もあります.

前作で気になっていたギター以外が影が薄いという欠点は見事に解消されて, かえってギター以外の部分に耳が行く事も多いです.sax なども新たに加わって 新たな魅力を引きだしています.後半のエスニックな 曲や混声の合唱を入れた曲など新しい試みもなされているようですが,その せいで少々アルバムとしてのまとまりに欠けてしまっているかもしれません.

しかし,非常に上質なジャズロックであることには変わりなく,進化しつつ, 期待を裏切らない好作品です.

(June 9, 2001)

...3 distances / Irregular signs (Musea FGBG 4264.AR)

シンフォニック的な曲の上でフュージョン的ギターが自在に動き 回るフランスのバンド.壮大なフュージョンという感じでしょうか. とはいえ,フュージョンよりはぼやけた感じの曲なので,フュージョ ンファンにうけるかどうかは分かりませんが.

ケンソーをもっとシンフォニックにした感じですが,曲を特徴づ けるメロディがもやっとした感じでつかみにくい気がします.そうは 言っても,ギターはフュージョンそのものという感じで,プリズムな んかが好きな人にもいいかも知れません.曲は複雑に展開していって 先が読めない感じですね.静かな部分と盛り上がる部分のメリハリも 利いていて飽きさせないです.盛り上がったときの畳み掛けるような リズムとメロディもよいです.


Step Ahead

Step Ahead (Musea FGBG 4037.AR)

現代的で軽快でなおかつ美しいシンフォニック系プログレ.ボーカル が伸びやかで美しいです..適度の現代的なポップさと伝統的なシン フォが適当に混ざりあっている所も魅力.テクニックも確かで,80 年代必聴のフレンチプログレです.Yes なんかが好きな人は気に入る のではないでしょうか.


Xaal

Seconde Era (Musea)

90 年台フレンチプログレの 3 枚目.テクニカルというか,無機質な 感じのする多少緊張感の漂うフュージョン / ジャズロックと言った ところでしょうか.メンバーがお互いに徐々に楽器で会話をしながら 合わせていくというような感じで進行する曲が特徴的で,徐々に曲が 盛り上がってくるところが良いですね.ただ,さて頂点まで達してこ れから曲がおもしろくなりそう,と言ったところで終わってしまうよ うな気がしないでもないです.(^_^;) 前衛的なジャズの雰囲気もあっ て,そちらの方面のファンももしかしたら聴いたら気に入るかも知れ ません.ただ,ちょっと曲の展開のおもしろさが足りないかもしれま せん.


Zao

Live! (2003: Musea FGBG 4492.AR)

Kawana (4th) リリース後,Yochk'o Seffer が脱退 した時点でのライブ.

Sax の代わりに全編に渡って Lockwood のヴァイオリンを前面に 出したハイテンションなジャズロック.

音質がもひとつなのが残念ですが,Lockwood のヴァイオリンを中 心に全メンバーが一体となり疾走していく様は圧巻です.

(March 14, 2004)


KATOH's Home に戻る