大橋薫の隠してた言い訳

ごめんなさい。意図的に隠してました!!そうです。私は子持ちです。
どこにも独身だなんて書いていないけど、そう思っていた人もいることでしょう。
でもちゃんと理由があるのです。聞いて下さい。

ある日、学研ノーラで毎月描いていた友人の女性作家さんが妊娠し、そのことを編集さんに告げました。おめでたいことです。祝福され、気づかってもいただけて、彼女は産休をいただきました。そして無事出産。彼女はすぐ仕事に復帰.............
できなかったんです!!
編集さんは優しい言葉でどんどん仕事を遠ざけていくんです。
「お子さんがいては大変でしょう」とかなんとか。
地方だから編集部に駆け込むわけにもいかず、お金にならないネーム尽くしの日々.......
彼女は悩んでました。ちょっとまいってたみたい。
私はさりげなく、担当に彼女の今後の予定を聞いてみました。(同じ担当だったの。)
そして彼はこう言ったのです。
「もうお母さんには仕事頼めないでしょう。どうしたって子供の方が大切なんだから。」
私はその時妊娠が分かった直後だったような........(よく覚えていない。ただもうショックで.....)
もう本能で「絶対言っちゃダメだ!!」って思いましたよ。
そりゃあ確かに何かあったら困るもんね。私だって、アシさんが妊娠した時、お仕事呼ぶのに悩んだもの。でもちゃんと本人の意志を優先いたしました。
女って不利!!思い遣ってくれてるのであっても、ある意味差別だと思う。
守ってもらえるけど何もさせてもらえないなんて......まあこの御時世だから、ひょっとしたら他にも訳があったのかもしれないけど。
だから私は「知らぬが仏」戦法をとったのです。
お仕事出来る自由、でもその中には私自身への責任も含まれます。母親としての。
おまけにその時期、主人は小田原へ単身赴任中。(一年10ヶ月)
初めての一人暮らし。妊婦生活。(詳しくははじめての妊娠生活で)
裁判終わったばかりでちょっとびくびく。(相手は急に行方不明になったので)
予定日3日前まで仕事。孤独な戦いでした。頑張った!私!
というわけで今ここに発表いたしました。
ふぅ。
子供が一歳になったらもう平気かな。私の中では。
ばれてなければなおオッケ〜!だって、妊娠、出産、育児の大変な時期にきちんとお仕事こなしてたっていう実績があるわけだから。う〜ん。もちろん、偉大な協力者たちのおかげですが。(うちの両親、旦那、妹、アシさんたち.......)
結構上手く隠してたんだ。でも楠桂の結婚式でまず角川さんにばれたっけ。
その他、電話でもばれてるんじゃないかなあ?子供の声ってよく聞こえるから。
(どう聞いても子供の泣き声なのに、最後まで無視してくれた編集さんもいらっしゃいました。ここまでくると天晴れ!って感じ。一応、黙っていた私に気を使ってくださったのだと信じております。)
もう隠しておきたくないっていうのもあるかな。私の自慢の息子だもん。(馬鹿です。すみません。)
仕事の障害だなんてもう思わない。辛い時には慰めてもくれる。
「おた〜たん」って、私を呼んでくれるの。(気のせいかもしれないけど)
朝はキスで起こしてくれるし。(顔に噛み付くのだ。)
そうそう、ばれたらばれたで嫌なことも言われたけどね。
(仕事してるお母さんは子供が可哀相なんてのはもう論外ね。)
ほら、パソコン18禁ゲームのお仕事やってるでしょう?
(この関係にだけは知られたくないかも。まだ実績ないし。)
「ばれたら子供が苛められるよ。」なんてアシさんの一人に言われたし、ゲーム会社の人にも「こんな仕事やっているくらいだからお子さんはまだでしょう。」とかね。いいけど。
(あっ、言っておきますが、パソコン18禁ゲームの中にも本当に良いお話あるんです。気まぐれにプレイしてみた大人向けの悲しい恋愛や恐ろしい事件に感動しちゃったんです。これだけでパソコン購入して良かったって思いましたよ。)
でも本当に憧れていたお仕事だし、「お母さん」には出来ない仕事なんてないと思う。センスが古くなるなんて誰かが言ってたけど、負けない!!お母さんだって努力はしても良いんだ!!頑張れお母さんたち!お子さんいらっしゃって、なおかつ立派な売れっ子作家さんだっていらっしゃるんだしね。

私も頑張る!
これからのお母さん作家さんのためにも頑張る!
育児も仕事も恋愛(主人と息子)も!!
あいうえお順です。


いろんな御意見の方がいらっしゃると思いますが、ママンガにお手紙くださると結構特集としてとりあげていただけるかもよ。きつ〜いのも大歓迎ね。

98年冬

と、まぁこうして読んでみるとすごい生意気で自己中心的で矛盾なこと書いてますね〜〜
すみません。ごめんなさい。
この時はホルモンの影響か精神的にすごく弱ってて、被害妄想がひどかったのかなぁ。
でも今はなんとか落ち着いて.......まだ漫画家としてもお仕事しております。
上記で書いた干された作家さんも、今はなんと3人のお母さん!
だけどちゃんと漫画家としても頑張ってます。
子持ちとかはお仕事に関係ない証拠?
とはいえ、これは自分の実力だなんて思いません。
タイミングや運もあるし.....やはりいろんな方の助けがあってこそです。
日々いろんな方に感謝して原稿描いてます。
(子供の事はばれるばれない以前に.......やはり編集さんと家族の話はしてません。
...っていうか、する必要ないし)
3歳になった息子も「漫画描いてるお母さん好き!」と言ってくれます。
描いてる横から覗き込んで「お母さんすごい!もっと描いて!」
うん!頑張る!
たとえ仕事が来なくなってもネット上で描いちゃうだろうなぁ。

これからもよろしくお願いいたします。


2001年5月