(99/5/18掲載)


■発端

「jurassicさん、コンドラシンが北ドイツ放送交響楽団を指揮した『巨人』持ってないすか?」とTbの小成田さんが訊いてきたのは、4月はじめに行われた末廣さんによる集中リハーサルの次の練習のときでした。飲み会の席で末廣さん一番のお気に入りの演奏を聞き出したまではよかったのですが、このCDは仙台中捜しても見つからなかったのだそうです。そこで、マーラーおたく(だと思われている)の私をあてにしたのでしょう。
コンドラシンが亡命前にメロディアに残したマーラー選集が最近リリースされたのは知っていましたが、これは私もはじめて聞くタイトルでした。そこで、ニューフィルの演奏会も取り上げられている「マラ7のホームページ」の掲示板に書き込んだところ、早速二人の方から「そのCD持ってます。」という応答がありました。小林さんという方は次のような情報も教えてくださいました。
 イタリアのCincinという名前の海賊盤で出ている、コンドラシン指揮北ドイツ放送交響楽団の「巨人」のことでしょうか。これは有名な、コンドラシン最後の演奏会のライヴ録音です。
本来、北ドイツ放送交響楽団のシェフのテンシュテットが指揮するはずだった同オケのアムステルダム公演を、テンシュテットが急病でキャンセルし、ピンチヒッターとして代役に立ったコンドラシンが指揮した演奏です。そして同日演奏終了後、ホテルに戻ったコンドラシンは心臓発作を起こしてホテルの部屋の中で死亡し、翌朝ホテルのメイドに発見されました。
 この演奏はNDR(北ドイツ放送協会)から正規にLPとして発売された模様ですが、それをCDに切り直したのがこの海賊版CDらしいです。正規盤CDを早く出して欲しいものです。
さらにもうひとかた、「マーラーの世界」というページを主宰されている東京在住の河村さん(ハンドルネーム:てくてく)という方からは、「新宿のタワーレコードで見かけたので、何なら私が買ってきてお送りしましょうか」というありがたいお申し出。ご厚意に甘えて送っていただいたのが、このCDです。

■批評

渡部さんの投稿へ

CDがとどいたのが演奏会の2日前、末廣さんは「ぜひ皆さんで聴いてください」とおっしゃっていたので、ダビングを渡部さん(Tp)にお願いしたら、かなり感銘を受けた様子。そこで、後日原稿をお願いしました。CDをクリックすると、熱い語りを読むことができます。

■反響

わざわざ貴重なCDを送ってくれた河村さんに、ほんのお礼のしるしに先日の定期の「巨人」のライブCDを送ってみました。マーラーの演奏に関しては耳が肥えている達人ですから、もしかしたらこんなものは鼻にもかけられないのでは、という一抹の不安はあったのですが、送った直後にメールでご返事がいただけました。CDのお礼とともに、このようなご感想も添えられています。