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「惑星」のディスコグラフィー

(98・9・8掲載)

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 イギリス音楽に造詣の深いTbのKさんの「惑星のCDは殆どがイギリスとアメリカのオケのもの」という説を実証するために、ディスコグラフィーを作ってみました。は指揮者もオケも英語圏(英・米・豪・加の一部)のもの、はどちらか一方が英語圏のものです。ご覧のように、私がさがした50種類の録音のうち、着色が施されていないものはわずか4種類しかありません。
 ちなみに、オーケストラの登場数ランキングは、
   1位:フィルハーモニア管(6種類)
   2位:ロンドン・フィル、ロンドン交響楽団(5種類)
   4位:BBC交響楽団(4種類)
   5位:ロイヤル・フィル(3種類)
となっており、イギリス、しかもロンドンの団体がすべて上位を占めているのです。
 貴重なヨーロッパ勢となったカラヤン盤も、考えてみればデッカ盤のほうの録音スタッフはプロデューサーがジョン・カルショウ、エンジニアがゴードン・パリーというイギリス人のチームだったのですね。「惑星」のレコーディングに関する限り、ご当地イギリスの寡占市場はゆるぎのないものなのです。

 このカラヤン盤、有名なショルティの「指輪」と同じ頃に同じスタッフによって録音されたものですが、ウィーン・フィルの音を知り尽くした天才ゴードン・パリーの手によって、ちょっとつつけば血がほとばしり出るほどみずみずしく、輝かしいばかりに美しい再生音が記録されています。その結果、いかにも甘すぎるボスコフスキーのソロやウィンナ・オーボエの響きがこの曲にはまったく不似合いだということがはっきり判ってしまうのは、皮肉なことです。

 もう1枚、「惑星」を語る上で避けて通れないのが、富田勲によるシンセサイザー編曲版です。じつは、最初にこのレコードが出た時には、宇宙旅行というあまりにも出来すぎた設定にがっかりさせられた思い出があります。しかし、20年ぶりに聴きなおしてみると、こどもだましのSEやでたらめなカットには相変わらずうんざりさせられるものの、ホルストのスコアの解釈や、音色の選択に関しては、新しい発見をさせられるような新鮮な驚きもありました。これが録音された1976年当時は、シンセサイザーもアナログで、MIDIとかサンプリングという、現在一般になっている技術はまだ登場してはいません。お仕着せの音源が無いぶん、マニピュレーターは自分の耳をたよりにとことん音造りにこだわることができたのでしょう。技術が進歩すればするほど、人間の感性が鈍くなっていくと感じているのは私だけでしょうか。

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