(06/4/25作成)

(06/5/7,6/14,6/29追加)

(06/5/9掲載)

(21/10/18追記)


 ベートーヴェンの「ベーレンライター版」に代表されるような「原典版Urtext」が、ブラームスの場合にはミュンヘンのヘンレ社(G.Henle Verlag)から刊行されています。もっとも、その仕事はまだ緒についたばかり、現時点では次の7点しか出版されてはいません。
シリーズ タイトル 刊行年 校訂者
I 1 Symphonie Nr. 1 c-moll op. 68 1996 Robert Pascall
I 2 Symphonie Nr. 2 D-dur op. 73 2001 Robert Pascall/Michael Struck
I 3 Symphonie Nr. 3 F-dur op. 90 2005 Robert Pascall
I 9 Violinkonzert D-dur op. 77 2004 Linda Correll Roesner/Michael Struck
I 10 Konzert für Violine, Violoncello und Orchester a-moll Op. 102 2000 Michael Struck
II 3 Streichquartette op. 51 und 67 2004 S. Reiser
II 4 Klavierquintett f-moll Op. 34 1999 Carmen Debryn/Michael Struck
追記(21/10/18):現在では、ヘンレ社で校訂が行われたテキストが、ヘンレ社によってスタディスコア、そしてブライトコプフ社によって指揮者用のスコアとパート譜として出版されています。

 今回の定期演奏会で使用するのが、このヘンレによる原典版の「交響曲第2番」です。写譜や印刷の課程で生じたまちがいが、気の遠くなるような精密な作業によって取り除かれた成果です。その中で、明らかに現行の楽譜とは異なる部分には星印が付けられてすぐ分かるようになっています。それを、ご紹介しましょう。

■第1楽章52/53小節 Vc
現行版
ヘンレ版

※音が異なっています。

■第1楽章172/173小節 Cl Fg
現行版
ヘンレ版

※スラーの範囲が異なっています。

■第1楽章202小節 木管
現行版
ヘンレ版

※「mf」の表記が付きました。

■第1楽章275/276小節 Va
現行版
ヘンレ版

※スラーがなくなり、クレッシェンドが付きました。

■第1楽章296/297小節 Va
現行版
ヘンレ版

※音が異なっています。

■第1楽章366小節 Cl
現行版
ヘンレ版

※音が異なっています(2番のスラー?)。

■第3楽章124/125小節 Ob
現行版
ヘンレ版

※1番のソロになっています。

■第4楽章351小節 Vn Va Vc
現行版
ヘンレ版

※「ff」の表記が付きました。


◎その他の相違点(5/7追加)
スコア内に注釈があるものの他にも、現行版と見比べると異なっている部分が見つかります。それらを挙げてみます。他にも気が付かれた方はご連絡下さい。
■第1楽章17小節 木管

※クレッシェンドの開始位置が違っています。

■第1楽章98-101小節 Fl

※スラーが2小節ごとに切れています。

■第1楽章319/320小節 VnI VnII

p e dol. sempreの開始場所が違います。

■第2楽章31小節 木管

※改めてfが付いています。

■第2楽章35/36小節 Cl

※クレッシェンド、ディミヌエンドが違っています。

■第3楽章120小節 Cl

※カッコ入りでディミヌエンドが付いています。

■第3楽章225/226小節 木管2番

※スラーの位置が違っています。

■第3楽章235小節 Fl

※アクセントがありません。

■第4楽章58小節 Tim

※3拍目にアクセントが付いています。

6/14追加)
■第4楽章281小節(=M) Vc

pfpoco f と、他のパートと同じ指示になっています。

■第4楽章354小節 Fl Ob

※他の木管同様、アクセントがありません。

6/29追加)
■第1楽章254小節 TbIII

pppに変わっています。TubaTbI,TbIIも?)がpp