2005年5月25日 18:30開演
   音楽ドラマ『シューベルト』
於 東京厚生年金会館

  
シュベルトです。
姿月あさとのシュベルト。

昨年の初演時、
どうにもチケットが手に入らず泣く泣くあきらめたこの作品。
ご覧になった方々(not宝塚ファン)から「良かったよ〜」と言われ、
次回があれば…とリベンジの機会を狙っていたのですが、
なんと今回、素晴らしいお席を確保して、
雪辱することができました☆

「音楽劇」だ、としか聞いていなかったワタクシ、
幕が開いて舞台の上にオーケストラがどどんといたときには
ちょっとびっくりしたのです(*>_<*)。
そうか〜、全部音楽はシューベルトだって言ってたし、
そりゃあフルオケつくか〜、と納得しながら、
でもこんなに素晴らしいお席(=前の方)だと
せっかくのオーケストラなのに音が頭の上を飛んでいっちゃうんだ〜、
今回に限ってはあんまり素晴らしくなかったんだ〜と
溜息をついたものでした。

でも、幕開きの一曲を
まるでマーラーかワーグナーのように思いっきり力強く振る
指揮者・横島勝人氏の様子に心持ち「(笑)」つけながら聴いたあと、
舞台上に現れたフランツ・シューベルトくん(姿月あさと)の
可愛らしさを見て
「やっぱり素晴らしいお席だった(*T_T*)」と実感したのです。
ていうか、フランツくん14歳?(笑)

ストーリーは、
一言で言えばシューベルトの伝記ですね。
子どもの頃から才能を認められ、
さまざまな友人に支えられて音楽を書き続けるも、
厳格な父のもとで結局教師になったフランツ。
だが音楽のことしか考えられなかった彼は父から離反し、
音楽のために生きることを決意する。
音楽家として収入を得ることは難しく、
好きだった女性にも求婚できなかった。
ようやく有名歌手フォーグルに見いだされ、
初めて作曲したオペラで成功を収める。
しかし、そこにつけこむ出版社に騙され
安い値段で音楽を買い取られてしまった彼は、失意のうちに…。

もともと夏休みの子ども向けの作品として作られているためか
とても簡潔な表現が多く、
ときどき『金色のコルダ』で解釈Bを手に入れた時の小芝居を
思い出させたりもしましたが(マニアックな解説でスミマセン)、
でもそれが逆に
お芝居の中で挿入され、綴られる音楽を
よけいなことを考えずに聴く心のゆとりに繋がったのでしょう。
シューベルトの人生の中で
その曲が持つ意味というのを感じながら聴き入っていると、
自然と涙がこぼれるシーンさえありました。
脚本・演出は木村信司さん。…キムシンかい!
いやでも、ホント良かったです(*^ ^*)。

ていうかねえ、音楽がやっぱりいいんですよね。
「野ばら」「菩提樹」「音楽に寄せて」「ます」「アヴェ・マリア」
などの超有名な曲をたくさん、
日本語で(しかも私などが学校で習ったのとは違う訳で(^ ^;;)歌われて。
オケでも「未完成」やら「軍隊行進曲」など
タイトルは知らなくても誰でも聴いたことあるような曲がいっぱい。
それらがお芝居の中に組み込まれているんですよ。
普通に聴く以上に感情移入、してしまいますねえ。
その昔、ショパンの生涯を
ピアノ一台とショパン、ジョルジュ=サンドの二人の役者で
綴った朗読劇に行って、
やっぱり泣いてきたことを思い出しました(*T_T*)。

なにより圧巻だったのが、
ずんちゃんが一幕の終わりに歌った「魔王」。
やっぱり私が中学生の頃に教わった日本語詞とは違うのが
ワタシ的にはちょっと残念でしたが
(でも著作権の問題なんだよね、仕方ないね)、
でも魔王と父、そして子を歌い分けるずんちゃんの
鬼気迫る表情と歌の表現にかなりヤラれました(*T_T*)。
今もまだその音楽が頭の中に残っています。

それからラスト、意気消沈しているルドルフ…もとい
フランツ・シューベルトが歌った、「冬の旅」の二番も。
客席降りをして一列目のさらに前を呆然と歩き、二階席を見上げる
ずんちゃんの姿に、
「今まで大根役者だと思っててごめんなさいm(_ _)m」と
ホントに反省し、感動に涙ぐみました(*T_T*)。

てか本当にうまかったんです。お芝居そのものも。
子どもの頃から気の弱そうな、ちょっとおどおどした猫背な様子で、
でも音楽のことを考えている時だけは素晴らしく愛らしい笑顔で。
この役にとても入り込んでました。うん。素敵だった。

でも、素敵だったのはずんちゃんだけじゃありません☆
ワタシ的にポイント高かったのは
フランツの親友・シュバウンを演った猪村浩之さん(T)。
明るく誠実な歌声も素晴らしかったけど、
何よりそれだけでなくお芝居がうまかったの〜(*^ ^*)。
普段はオペラに出ていたりするようなので、
それも観に行ってみたくなりました☆

それに比べたらフランツを愛した女性・テレーゼを演じた砂田恵美さんは
喋り声は可愛かったけどあんまり好きな歌声ではなかったかも(^ ^;;。
フォーグルの平野忠彦氏は…お風邪を召していたようで(^ ^;;。残念。

でもでもそのほかのお芝居を締めてくれる方々もよかったよね。
マイルホーファー役の田村勝彦さんの純日本人的な存在感も笑ったけど、
ショーバー役の押切英希さんの濃いお顔立ちと深い声もよかった。
シューベルトのお父さんとあのいやんな編集者が
同じ人(今村俊一)だったなんて…!
と気づいたのは、帰り道でパンフレットを眺めていた時でした。すごい。

初演時とはずんちゃん以外のキャストが総入れ替えに
なっているとも聞きます。
初演を見に行った人たちの感想をもう一度聞いて、
その違いを考えるのも面白そうだな。

なによりまず、
今度歌のレッスンに行ったら、
「シュベルトを歌いたいデス」(のだめ風に)と
先生にお願いしようっと☆

fin