樹里(咲穂)ちゃん宝塚退団後初の舞台を見に行こう!
という自分内企画による観劇となったこの公演。
なぜか金曜日の夜を選んでは当てが外れたりしましたが(爆)、
そんな私のヨコシマな心を忘れさせるくらい
素敵な舞台でした。
ユダヤ系ドイツ人として生まれ、
第二次大戦中にフランスに亡命後アメリカに渡り、
ブロードウェイで活躍したクルト・ワイルという作曲家の生涯を
描いた作品。
私は「樹里ちゃんに会いに行く」ことしか考えていなかったため、
どんなお話なのかも、
ましてやクルト・ワイルさんがどんな曲を作ったのかも知らないまま
劇場に足を踏み入れたのですが、
パンフレットを見てあらびっくり。
『マック・ザ・ナイフ』を作った方じゃないですか(*>_<*)。
期待度が俄然高まったワタクシでした。
金曜日の夜ということで、
けっこうギリギリまでお客さんが駆け込んできています。
(近くでダブルブッキングだったのか、トラブルも見えた)
あら〜大変〜とか思いながらぼんやりしていたのですが、
客電が暗くなった後にも一人のおじさまが
上手の通路を前の方の席に向かって歩いていました。
あら〜こんな暗いのに係員の人も連れずに大丈夫かしら〜、
ていうかずいぶん堂々と歩いてるわね〜、
普通客電が暗くなったら腰を屈めてみたりするものなのにね〜、
などと眺めていると、
そのおじさまはそのまま…舞台上にのぼっていったのです!
あ! 鳳蘭さんだ!!!(爆)
いやもう、すごい威厳でした(*>_<*)。
黒いスーツに身を包み、振り返った鳳蘭さん、
渋い声音で話し始めます。
か、かっこいいーーていうか男役や!!!
彼女はこの作品における司会進行役。
ワイルさんの一生を船の航行に見立ててその船長を演じながら
『エリザ〜』のルキーニのようにカフェのマスターになってみたり
いろいろになって話を進めていきました。
本当に、私、30年前に宝塚を観ていたら(何歳かという話は除く(笑))
きっと彼女のファンになってたわ〜。
というくらい、かっこよかったです。
ていうか、退団して四半世紀とか経つのに
これだけ男役を維持してマイワールドを作り上げてるのがホントすごい。
昔、樹里ちゃんの出た『シンデレラ』を観た時に
魔法使い役が彼女で、
そのときには「ああやっぱり鳳蘭様がトップ様なんだ」くらいにしか
思わなかったのだけど、
今日は「そりゃもうトップ様でしょう」と平伏したです。
まいりましたm(_ _)m。
そして、主目的の樹里ちゃん!!
樹里ちゃんはねえ、変わらなかった!
もちろん、イイ意味で(*^ ^*)。
樹里ちゃんってもともと男役にしては声が高かったじゃないですか。
それもあるし、
なんだろう宝塚化粧と、あんまり今回のお化粧との差が
感じられなかったからかしら。
アニタやジャッキー、それにサキホなど、
濃い女役も今までやってきてたからかしら。
ドレスを着ていたり、肩を出していたり、足を出していたり、
あるいは女性らしい色気を出したりもしていたけれど、
樹里ちゃんらしさ、私たちが知ってる樹里ちゃんの顔、というのが
そこかしこに見えて、すごく嬉しかった(*^ ^*)。
男役っぽさも、わざと出してみたり☆
「その表情、猛獣使い(『エンター・ザ・レビュー』)のようですよ?」
とか思ったりしたです。
今ね、ENAKのインタビュー記事を読んだんですよ。
それでこの二人のかっこよさの意味がすごく分かった。
鳳蘭さんが「男役は財産だから(宝塚を辞めてからも)
女優をやりながら男役もやったらいい」ということをおっしゃってて、
ああ、この人は本当に「自分」を持っている役者さんなんだなと思ったの。
あのオーラはここから来るんだろうなと思ったのでした。
そのほかのキャストも素晴らしかったです。
『タン・ビエットの唄』のときに出ていらした土井裕子さんの歌声は
素晴らしく(ただ、歌う時の顔があんまり綺麗じゃなく見える時があって、
残念だったりもした。
というか、宝塚はそういう意味で「魅せる」ことを追求している
ところなんだと再確認した)、
植本潤さんは小さなカラダに軽快なダンスがとても生き生きとしていて、
藤本隆宏さんは四季出身らしい明朗な発声と
背の高さで樹里ちゃんとの並びも美しく、
イイ意味で破綻のない世界を作り上げてました(*^ ^*)。
使われている音楽も、
タイトルは知らないけど聴いたことのあるものがところどころありました☆
中でも好きだったのは、
樹里ちゃんと土井裕子さんが、
お互い乳母車に乗った赤ちゃんをあやしながら
井戸端会議に耽る設定の女声デュエット。
すごい可愛らしかったりするのに、
一番ラストに樹里ちゃんが乳母車の赤ちゃんに向かって
怒鳴るところ(笑)。超男役(笑)。
あと、樹里ちゃんが娼婦の役になって歌うのも素敵でした〜(*^ ^*)。
赤いミニドレスにブーツ、そしてショールというお姿で、
小指立てちゃったりするものだから、ちょっとドキドキしながら☆
とにかく、鳳さんを除く四人で歌うシーンがところどころにあったのですが、
そのハーモニーがとても素敵で、とても幸せな気分に浸りました。
そして、樹里ちゃんに対して、
このお芝居はかなりオムニバスに近い形でいろんな役を演ったけど、
次回また一人の女性の役を観たいなあと思ったのです。
それこそ、アニタとかジャッキーとか、…観たいなあ。
fin
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