2005年1月16日 13:40上映
   『ハウルの動く城
於 日比谷スカラ座 1

  
「老若男女問わず日本中をわくわくさせるという点だけで、
最初から私は許している」と会社の先輩が話していました。
そうか、許しが必要になるようなモノなのか…と思いながら
ようやく今日観に行ってきたのですが、
果たして。

――ハウル、カッコイイです(*>_<*)。
思わず笑っちゃうくらいコテコテにカッコイイ王子様。
登場からしてイヤラシイくらいにキマってるし、
空飛んじゃうし、ひらひら白ブラウスに痩身のパンツがお似合いだし、
何よりその腰に当てた手!
いわゆる牛乳を飲むポーズのように手のひらを腰に当てるのではなく、
手の甲側、手首を腰に当てて立ってるの!!
しかも両手!!!
そんなポーズが似合う「男」は、王子様しかいません!!!!!

もちろんお話が進むに連れて
彼の弱い部分やわがままな部分なども見えてくるのですが、
その強引さ、いつでも自分主人公な態度だって、
すべて王子様の特権☆
木村拓哉氏による声も、ぜんぜん木村氏の声のようには聞こえず、
けっして上手いわけではないけれど、
クールに聞こえてよかったです。

個人的には、好戦的な態度になるときの
つり上がった目と意地悪そうな口許が好き〜(*^ ^*)。
いつだったか見えた、細い足首も(爆)。

…というところで、すべて許されるんじゃないでしょうか。ええ(*>_<*)。

――何が許されるか、気になりますか?
気になりますか? そうですか。

じゃあ、とりあえず簡単なストーリーから。

亡くなった父親の残した帽子屋で
すべてをあるがままに受け入れ地道に働いているソフィーは、
戦争の始まらんとするある日、
兵士にちょっかいをかけられているところを
ものすごい美青年に助けられる。
だがその美青年も実は化け物に追われていたところらしく、
気づいたら空を飛んで街の中を逃げていた。
あまりにもカッコイイ彼に絶対一瞬にして恋に落ちていたソフィーだが、
彼は「僕が奴らを引きつけるから」と言い残し、
また空を飛んで雑踏の中に隠れていってしまった。
そんな彼女がその夜店に戻ると、
突然現れた荒地の魔女によって呪いをかけられ、
90歳のおばあさんになってしまう!
すべてをあるがままに受け入れる順応力のとても高い彼女は、
とりあえずここにはいられないと、
荒地に住み、美女の心臓を喰らうという噂のあるハウルの城を目指して
歩き始めた(この時彼女は、
ハウルがあの美青年だとはどうやら知っていないらしい)。
途中でかかしを助けたりしながら、ハウルの動く城に乗り込み、
その順応力によって城の掃除婦となって住み込む彼女。
一方、世の中は戦争が激しさを増し、
ハウルにも王様からの使いがやってきた――。

いや、観ている間はホント楽しいんですよ。
物語の展開にものすごくわくわくドキドキしながら観ておりました。
画面もすごく綺麗だしね。音楽も素敵だし。
マルクルに「行かないで!」と泣きつかれたときには
不覚ながらじんわりきました(*T-T*)。

でも終わってみると、
「…で、この作品で何が訴えたかったんだろう」と
なってしまったのです(^ ^;;。
何だろう、メッセージ性をこめようという姿勢は見えるのに、
そのメッセージが見えない落ち着かなさ、というか。

戦争に対するアンチテーゼなのかとも思うのですが
(ハウルの戦艦に対する抗戦行動もそうだし、
「(戦艦の敵味方が)どちらでも同じことさ…人殺しめ」という台詞とか、
かなり分かりやすい反戦メッセージだよね)、
一番謎だったのはラスト、魔女サリマンの
「(ハウル一派を見て)ハッピーエンドという訳ね。
じゃあ、このばかげた戦争を終わらせましょう」という台詞。
「じゃあ」って何?「じゃあ」って??
つまり、いつだって戦争を終わらせられたってこと?
か、彼女は何がしたかったの?
それまでにハウルを城に呼びつけておいたりしながら、
もしかしてアナタも荒地の魔女と同じに
ハウルの心臓がほしかっただけなの?
うーん、私、頭が悪くて分かりません。

同様に、
ハウルの子供時代のシーンも、実はよく分からなかった。
クライマックスなのに(^ ^;;。
あのメテオライトはいったい何? 何で食べてるの?(笑)

その他、
ていうか90歳になったからって
そんなに人相変わらないだろうソフィー、とか(笑)、
ヒン(犬)の声を原田大二郎がやる意味がどこに、とか(笑)、
荒地の魔女に哀れを感じさせることによって
観客の心をハウル側につかせることには成功したろうけど
とりあえず冨士○奈美さんはあまり良く分かってなかったみたいだな、とか、
それを言ったらパンフレットにコメント寄せてる人たちみんな
けっこうお茶を濁してない? とか(^ ^;;、
カルシファーという火の精の名前の由来はカルシウムから来ているのかな、
あんなに卵の殻を美味しそうに食べて、とか(笑)、
ていうか宮崎駿氏の中で「美」=おかっぱなんだな、とか(笑)、
いろいろツッコミたいところはあったのですが、
一番分かりやすく笑いにふるえたのはココ。

ラスト、かかしのカブの頬にソフィーがキスをすると、
突然かかしが人間、しかもかなり身なりのいい人間に変わり、
「私は隣の国の王子です」
――ええええ!???(*>_<*)
いったいどこからそんな話が??????
しかもその時、映画館のどこからか
女性の「あはははは!」という高らかな笑い声が聞こえてしまい、
私ももうダメでした(爆)。
口を両手で押さえて声をあげるのを必死にこらえたために、
一気に体温が上昇(*>_<*)。
そうだよね、そうだよね、お、おかしいよね…っ!!

いやねえ、いくらファンタジーといっても、
ものには限度があるでしょう(>_<)。
ていうかそれは、ファンタジーだからの問題じゃない気が(^ ^;;。

ハウルの存在については、
パンフレットによると監督自身アフレコに入るまで
彼の行動原理が分からなかったそうですが(^ ^;;、
いろいろ考えてみるに、
つまり「引きこもりの魔法使い」なのかなと思いました。
好きなものばかりかき集めて、
他人からはガラクタにも見えるお城を造って。
で、他者との関わりかたが分からなかったり、
打たれ弱かったりしたものの、
ソフィーによって愛に目覚め、その力の使い道を知る、と。
まあ彼は、このおばあちゃんがあの少女だとも知っていたでしょうし、
ずっと待っていた人が現れたわけですからね。
下手したら、
最初に声をかけたときにはすでに分かってたかもしれないですね〜。

うーん、とりあえずすべて許してはいてもギモンがいっぱいなので、
原作を買ってみてしまいました。
…もしかして、これも徳間のワナか?(爆)

そうそう、声優を俳優さんたちがやってるなかでは、
ワタシ的にソフィー役の倍賞千恵子さんと、
マルクル役の神木隆之介くんがとくにヒットでした☆
ソフィー18歳はパッと見無理があるのだけど、
でもこの落ち着きのある少女ならアリ(*^ ^*)。
そしてなにより神木隆之介くん、上手いっすよ!
気づいたら『千と千尋〜』の坊もやってたのね(>_<)。
今回も変装したときの「待たれよ」とか、
思わず真似したくなっちゃいそうな可愛らしさ。
大河ドラマ『義経』の子ども牛若も彼だそうだし、
今後にも大期待――あ!!!
今夜の『義経』見忘れた!!!
このレポを書いてて忘れてしまいました(>_<)。
仕方ない、10時からのBSで再放送を見ようっと。

fin