2004年4月16日 19:00上演
  『タン・ビエットの唄
於 世田谷パブリックシアター

    
  
イラクで武装グループに捕らわれていた日本人3人が解放された翌日、
世田谷パブリックシアターではベトナム戦争を題材としたミュージカル
『タン・ビエットの唄』が初日を迎えました。

タモさん(愛華みれ)の舞台が花組公演中にある
=あさこちゃん(瀬奈じゅん)達も見に来るかも! などという
安易な理由で観に行ったワタクシたち(笑)、
実はどんなストーリーなのかもよく知らずに行ったのです。
「舞台はベトナムだよ」というからには
まあ、ベトナム戦争がらみなのかな〜、
「ミス・サイゴン」みたいなお話なのかな〜くらいに考えていました。

しかし折りも折り、イラク問題が一番話題となっているときに
この題材はジャストミートでしたね。
私は今回のイラク侵攻に対して
どうもベトナムと同じニオイを感じてしまっているため、
逆にこのお芝居を見ても、
そのことを考えながら観てしまっていたのですが。

――うーん、うーん。

とりあえずストーリー。
ベトナム戦争を逃れてイギリスに渡り、
イギリス人夫婦の養女となったフェイ(愛華みれ)。
20年後、生き別れになった姉の消息をたずねるため
ベトナムに戻ってきた彼女は、
その過程で逃げたはずの戦争の悲劇と直面することになる。
しかも、ベトコンとして戦っていた姉・ティエン(土井裕子)は
捕虜を逃がした罪で処刑されていて…!?

全面に縄を使った装置が素朴ながらも動きのある舞台を作り出し、
ところどころに入るダンスもすごく素敵でした。
舞台狭しと踊りまわり、駆け回る役者さんたちも涙ながらの熱演で、
素晴らしかったのですが。

――うーん、うーん。

タモさんは、ちょっとふっくらされたかな?(爆)
最初「……。…? た、タモさん?」と思ってオペラ上げちゃった(^ ^;;。
でも相変わらずの美しさだったり、
相変わらずの遠い目線の上手さだったり、
果てにはラストにティエンの娘・タオ(土井裕子・二役)を
抱き寄せて幕! の瞬間、
抱き寄せたタオと逆サイドにある左足が
すっとつま先まで伸ばされていて
「おお、こんなところに男役が残ってたか!」と思ったりして(笑)、
堪能しました。

土井裕子さんも、
一瞬こちらの方が主役なのでは? というくらいの扱いで、
とても素敵でした(*^ ^*)。
歌もとても伸びのある声で綺麗でしたね〜。

そうそう、ワタシ的にはTSファンデーションのアンサンブルなどで
頑張っている長尾純子さんが
またしても子役(フェイの少女時代)とはいえ、
ちょっと大きな役になっていたのが嬉しかったです。
声はぜんぶタモさんが出していて(あ、また喋らない役だ!)、
タモさんとまったく同じ振りで動いているときの表情の豊かさ。
観ていて小気味いい感じでした☆

あとは男性陣がやっぱりすごかった。
殺陣もアクロバティックなダンスも歌も上手くて
(最初の方はちょっと初日で緊張してるか? とも思ったけど)、
見応えがありましたね。

――うーん、うーん。

そろそろ書くか(^ ^;;。
私が何を唸っているのか。

実は私、どうしてもタモさんの演じたフェイという役に
感情移入できなかったのです。
ベトナムに戻ってきて、トアン(畠中洋)たちに
「なんで戻ってきたんだ。
ハイソサエティーの人間の感傷旅行なんかに付き合っていられるか」と
罵倒されたとき、
私の心ははっきり言ってトアンたちに共鳴してました(笑)。
フェイ、なんか甘ちゃんだな〜と。
その後、彼女もイギリスで苦しんできたというようなことも言ってますが、
断然苦しみの度合いは違うでしょう。
かといってベトナムでいろいろな現実を知りショックを受ける中で
成長していくのかと思いきや、
相変わらずバッグをすられるくらいノホホンだし(^ ^;;。
そんな調子で、最後まで無邪気に
「私にも何かできることがあるかもしれない!」なんて言われた暁には、
思わず手に持っていたオペラグラスを投げつけそうになりました。
なんじゃその自己満足おせっかいは! と。
タモさんじゃなかったら投げてたかも(笑)。
「お前みたいな奴がイラクに行って人質になるんじゃ!」なんて
不謹慎極まりない考えまで心をよぎってしまいました(爆)。

スミマセン、
このHPで政治ネタはできるだけ避けようと思っていたのですが。
それに人道支援や報道のためにこの戦時中のイラクに行くなんて
とても私にはできないことなので、
彼らに対してはすごく尊敬もしているのですが。
(ただやっぱり、あれだけ日本中に心配をかけておいて
「また行きたい」はないよなあ、とは思っちゃった(^ ^;;。
その前にまずは感謝だろう、と。
まぁマスコミのことなのでそこばかり取り上げているのでしょうけどね)

そういう重い題材の割には表面的な扱い方
(台詞の…ゴメン、安っぽさとか)がもったいなかったなあ。
前回『天翔ける風に』のときには本当に素晴らしかったのになあ。
辛口で申し訳ないけど、
もっとできると思えばこそのことだと分かってくださいませm(_ _)m。

ああでも、本当に一番安っぽいのはワタクシでございます(^ ^;;。
あさこちゃんには会えなかったけど、
桐生園加ちゃんが私たちの3列前でご観劇だったのを
嬉しく眺めてしまいました。
それこそもっと世界の大局を眺めてみろよ!

fin