2004年12月5日 14:00開演
   東京二期会オペラ劇場『イェヌーファ
於 東京文化会館 大ホール

     
我らが淳ちゃん(高橋淳)がとうとう二番手男役!(笑)
というわけで、久しぶりに二期会オペラに行って参りました。

ヤナーチェクのオペラ『イェヌーファ』、
無学な私はもちろんあらすじを知ることもなく、
とりあえず劇場に着いて買ったパンフレットで眺めたばかりなのですが、
お話としてはこんな感じ。

チェコの片田舎のある一家。
イェヌーファ(津山恵)は恋人のシュテヴァ(高橋淳)が
兵役検査から帰ってくるのを待っている。
お腹の中には彼の子もいるし、
彼が兵役を免れれば、結婚できると信じて待っているのだ。
だが養母でイェヌーファを溺愛しているコステルニチカ(渡辺美佐子)は、
運良く兵役から免れ、お祭り騒ぎをしつつ帰ってきた
シュテヴァの放蕩ぶりに眉をひそめる。
また、シュテヴァの異母弟で
イェヌーファに心を寄せているラツァ(羽山晃生)も嫉妬にかられ、
誤ってイェヌーファの頬に傷を付けてしまった。
――その後、イェヌーファはコステルニチカの計らいで
人に知られずに子どもを産んだが、
シュテヴァはその間一度も様子を見に来ず、
果てには村長の娘(斉藤京子)と結婚すると言って逃げてしまう。
コステルニチカはこうなったらラツァと結婚させるのが最善と考え
ラツァにすべてを話すが、
子どもがいることに動揺したラツァに向かって
コステルニチカは「この子はもう死んでいる」と伝え、
子どもを川に投げ捨ててしまった――。
そして、イェヌーファとラツァの結婚式当日、
氷の下から赤ん坊の死体が発見され…!

このストーリーをお読みいただければお分かり頂けるように、
ちゃんとした「いい人」がこの物語には出てきません(笑)。
だって、
ヒーローであるはずのラツァだって、
出てくるなり「俺は傍系だから差別されて、
みんなシュテヴァばかり可愛がって、
遺産だってぜんぜん分け前くれないし」ってクダ巻いてるのよ?
しかも嫉妬に狂って
「シュテヴァはお前の林檎のような頬だけが好きなんだ!」とか
子どもみたいなこと言った挙げ句、その頬をナイフで切っちゃうのよ?
サイテーですがな(爆)。
一幕終わったときは、
シュテヴァも放蕩息子だし、両方ダメじゃん、と思ってました(笑)。

でもパンフを見て納得。
ヤナーチェクの主題は「失望」であり、
単純に善と悪に区別できない人々のリアリティを描いているのだと、
そこには書かれてました。
確かにラスト、
「イェヌーファを侮辱するな」と椅子を振り上げるラツァの男気も、
人知れず子どもを産んだイェヌーファの寝顔に
悔恨の表情を見せるシュテヴァの気弱さも、
すべて「人」として誰もが持っている顔なんですよね。
もちろん、娘を愛するあまりにその子どもを殺してしまう
コステルニチカの狂気も。

重い重いストーリーではありましたが、
ラストには少しだけ光明も見え、救いがあったように思います。
覆水盆に返らずではあるけれども、
でも必ず明日は来る、という感じでしょうか。

キャストについて。

誰が、というわけでなく、なんとなく残念だったのは、
とても「日本人顔」な方が多かったこと(爆)。
普段、とても日本人には見えないお化粧をしてらっしゃる方々を
見慣れているため(笑)、
皆さまドイツ語で歌ってるのに(チェコのオペラだけど、
ドイツ語版だったのです(*>_<*)。
そういうことやるなら、
どうせなら日本語もアリじゃ、と思ったのは私だけ?)
超「和」テイストなお顔立ちをオペラで見ると
少しばかり淋しい気分になったりしました(笑)。
中にはとても彫りの深いお顔立ちの方もいらっしゃったけど☆

淳先生は…少しばかり、ふくよかになられたでしょうか(*>_<*)。
一幕、狂乱のお祭りのシーンで、
酔っぱらっている姿、顔から倒れ込む姿、等々とても上手かったのですが、
みんなに持ち上げられて出てくるのを見て、
「持ち上げる人たち…大変そう(^ ^;;」とこっそり思いました。
でも相変わらずの情熱的な歌声がとても素敵でした☆

コステルニチカの渡辺美佐子さんの狂気がまたすごかった〜(*>_<*)。
怒濤の三幕、誇張でなく鳥肌が立ちました!
「イェヌーファ」というタイトルになってるけど、
本当の主人公は、実はこちらだよね(*>_<*)。

舞台装置やお衣装も現代的で素敵でしたね。
一幕、土くれが舞台上に敷き詰められてるのを見て
確かに「お嬢様、タラの土地がありますだ〜!」と
すくい上げたくなったけど(笑)。
二幕では白い謎の波形があるのを見て
「な、南極…? ペンギン…?」と思ったけど。
三幕でお祝いに来た少女たちのグレイのワンピースを見て
「うわー、(ちょっと年のいった)音楽学校生だ〜」と思ったけど☆

次回、淳先生の登場は『魔笛』(05年3月新国立劇場)だそうです。
――待って! 演出はなんと実相寺昭雄!??
ウルトラマンの、実相寺昭雄???
い、行かなくちゃ!

fin