2003年6月28日 12:00開演
『天翔ける風に

於 東京芸術劇場 中ホール

   
非の打ちどころのない舞台。

構成も演出も振付も、もちろん俳優さんたちの演技もすべて含めて、
これだけ完成された舞台に出会えることは
なかなかないんじゃないでしょうか(*^ ^*)。
本当に、素晴らしかった。

もとは野田秀樹『贋作・罪と罰』をミュージカル化した作品です。
尊皇攘夷の気運高まる幕末の江戸。
江戸開成所の女塾生・三条英(香寿たつき)が自らの信念
「正しい世の中を作るために流されてもいい血はある」(だったかな(^ ^;;)
のもとに金貸しの老婆を殺害しようと計画したことから物語は始まります。
その時、偶然居合わせた妹までも殺してしまったことに、
英の信念は揺らいでしまうのね。
親友の才谷(畠中洋)は彼女を心配しているけれど、
時代の流れがまっすぐ倒幕に向かってつき進んでいく中で、
二人はその奔流に巻き込まれていき――!?

今まで観た謝珠栄先生の舞台は、ファンの方ゴメンナサイ、
実はちょっとこっぱずかしかったりする部分があって、
面白いけど手放しで褒め称えているわけではなかったのね(^ ^;;。
でも今回は、
もちろん原作がよかったというのもあるのだろうけど
(至るところに野田秀樹の言葉だなあと思える台詞が(*^ ^*))、
ミュージカルだからこその良さもたくさんあって
(たとえば「♪ええじゃないか」のダンス。
踊りに込めた市井の人々の辛さまでが見えました(*T-T*))、
心の奥からの感動に、久しぶりに言葉少なになってしまったほど。
本当に、素晴らしい、の一言に尽きてしまうんですが、
少しばかり感想を。

宝塚卒業後、初めて観るタータン(香寿たつき)。
幕が上がってタータンが一人、舞台の上手の段上に座り込み、
第一声を聞いたときには
「うお! たーちんの声だ(*^ ^*)」
と、その可愛らしいお声に一瞬どぎまぎしました(笑)。
あの、星組トップ時代の可愛らしい開演アナウンスと
舞台上での渋さとのギャップを思い出したりして。
でもそんなことはあっという間に忘れ去り、
「三条英」としての存在に惹きこまれていきました(*T-T*)。
凛々しくて、強くて、殺陣も素晴らしくカッコ良くて、でも可愛くて。
ラストシーン、期待と希望に満ちた笑顔で才谷への愛を語る姿に
切なさがいや増して、涙を堪えるのがツライほどでした。
歌も上手いしダンスも上手いしお芝居も…本当に三拍子揃ってるんですよね。
今後ますますの活躍を大期待(*^ ^*)。

才谷(=坂本竜馬)の畠中洋さん。
どこかで見かけた顔だな〜と思っていたら、
『フォーチュンクッキー』に出演されてたんですね!
謝先生の舞台には欠かせない存在なのね(^ ^)
彼も本当に上手かった。
クライマックス、英と別れるときに、はじめて高知弁(?)で
「行ってくるぜよ!」(だっけ、忘れちゃった…)と言ったときには、
おお! 竜馬! と思いました☆

その他の皆さんも強者揃い。
やっぱり謝作品には欠かせない平沢智さんとか、
元宙組組長の大峯麻友さんとか。
アンサンブルで長尾純子さんという方がいて、
どこかで観た気が…と思っていたら、
去年観に行った小劇団に出ていたの!
いろんなところでいろんなことをやるものなんだなあ〜、と
なんだか嬉しくなりました(*^ ^*)。
今回、黒縁眼鏡をかけて郵便屋さんになったり船を漕いだりしている姿が
とてもキュートでしたわ☆

ただ、先週、宝塚花組公演を観に行ってきたばかりのワタクシとしては、
頭巾を被った狂言回しの方の格好に
「道々の者」を思い出したりしていたのだけど、
タータンの演技にまで
あさこちゃん(瀬奈じゅん)を思い出してしまいました(^ ^;;。
でも考えてみたら、それって私がただあさこファンだからだけでなくて、
あさこちゃんの演技がタータンに似てるのかも、とも思うのです。
新人公演時代、タータンの役を演ることが多かったし。
何かに納得するとき二回うなずく仕種…ここから来てたのか〜!

ああ、本当に舞台に必要なのはいい脚本と演出。
謝先生、また宝塚大劇場で演出しませんか〜(*T-T*)。

――あ、冒頭に「非の打ちどころのない」と書いたけど、
一点だけあった! 「非」!
それは二幕目の、タータンのお衣装!!
えんじのロングスカートとジャケットがとても素敵なんだけど、
…背びれはやめて、背びれは(爆)。
すごくいいシーンがいっぱいだったのに、
どうしてもそれが目に入るたび、笑ってしまいました〜(笑)。
うう〜〜(笑)。

fin