2003年10月5日 14:00上演
『モンテ・クリスト伯

於 サンシャイン劇場

   
女優・汐風幸の第一歩。
あの月組千秋楽から2ヶ月、
彼女がどんな一歩を踏み出すのか楽しみに行ってまいりました(*^ ^*)。

『モンテ・クリスト伯』。
文学史には必ず出てくるこのタイトルですが、
私は読んだことがありません
(見終わったあと読みたくなったけど、全7巻と聞いて躊躇中(笑))。
資○堂のCMのようなレトロモダンな雰囲気のポスターから、
どんなお話なのかと思っていたのですが。

時代はナポレオンがまさに没落した1810年代以降のフランス。
船長代理を務め、また婚約者のメルセデス(汐風幸)との結婚も控え、
一等航海士として順風満帆な未来を
手中に収めかけていた青年、エドモン・ダンテス(安寿ミラ)。
だが彼に嫉妬した3人の男たちの手によって彼は獄中に入れられ、
数十年の時を経て復讐を誓う――。

原作は全7巻というとおり、とても壮大なお話なのだそうですが、
このお芝居では「復讐劇」に重点を置いたものに意図して制作したそうな。
三つの重々しいテーブルセットにビロードのカーテンという舞台装置や、
何より作品の至るところに突如として現れる
タップダンス(熊谷和徳)の見事さ。
前衛的なものとクラシックなものが素敵に調和した、濃い舞台でした。

さて、私の第一目的である幸ちゃんのことから。
彼女はさっきも書いたように、
エドモンとの結婚を胸躍らせて待ちながらも
エドモンの投獄、そして獄死したとの情報に心を弱らせ、
以前から彼女に思いを寄せていた、
そして、実はエドモンを貶めた3人のうちの一人である
フェルナン(新井康弘)と結婚した女性・メルセデスと、
その息子・アルベールの二役を演じました(*^ ^*)。

最初、肩を出した黄色いハイウエストのふんわりドレスを着た
幸ちゃんを観て、えみくらちゃん(映美くらら)かと思いました(爆)。
理由については聞かないで(笑)。

実はとても華奢な肩だったのね〜(*^ ^*)、とか、
可愛らしいと思いながら観ていたのですが、
あんまり(感情が高ぶる場面は別として)無理に高い声を
出そうとしていないのが、とても自然で良かったです。
前半はどうしても若い女の子役、ということで、
こちら側が身構えてしまう部分もありましたが(笑)。
でも後半、「母」としてのメルセデスは
(もしかしたら黒いベールで顔を隠していたからかもですが(…はっ!))、
とても自然に感情移入し、
彼女の必死の訴えに思わず涙ぐんでしまいました(*T-T*)。

そしてもっと自然だったのがアルベール(笑)。
とても若い…少年から青年に移行するくらいの時期の男の子。
ある意味、最近はやっていないような役でもあったはずですが(笑)、
でもとてもナチュラルに
男の子らしい利発さ、好奇心にあふれてました(*^ ^*)。

とくに好きだったシーンは、
「なんちゃらのシンドバッド」として彼の前に現れた
モンテ・クリスト伯(=エドモン)を、
目をきらきら輝かせて憧れの眼差しで見上げているシーン、
モンテ・クリスト伯に裏切られた、あるいはだまされていたと知って、
白い手袋を投げつけるシーン(*^ ^*)
(二回も投げつけさせてくれてありがとう、演出家の先生(笑))、
そして、
男役16年のスカシが思わず飛び出してしまったとしか考えられない、
机をばーんと叩いて、椅子をガッと引いて飛び出していくシーン☆
口では上手く説明できないんだけど、とても素敵だったの(*T-T*)。
…私がときめきのあまり胸元に両手を持っていってしまったのを、
隣の隣にいた雅壱さんは観ていたらしいです(笑)。

その他にも、
椅子に腰掛けるときのコートの裾を跳ねる仕種だとか、
椅子に腰掛けたときの足の開き方だとか、
エデ(橘いずみ)の肩を抱いていたときの眉根の寄せ方だとか、
ちゃんと書いてた太いもみあげとか!
(メルセデスの時には、
もみあげが見えないようなカツラを被っていらっしゃいました☆)
そこかしこに幸ちゃんらしさが漂っていて、素敵でした。

――ああ、舞台写真が欲しいよう(*T-T*)。

舞台写真といえば。
たぶんナマで観るのは初めてなんだと思います、
ヤンさん(安寿ミラ)の舞台。
現役時代『ブラック・ジャック』には行ってるはずなんだけど、
たぶん、ミキさん(真矢みき)が代役してたときに行ってるの。
でもパンフレットは家にあって、
なぜかそのイメージがとても強いヤンさんです。
そういえば昔々、10年くらい昔、
ぶりーざさんに宝塚の講義を受けていた頃、
初めて愛称と芸名を完璧に覚えたのがヤンさんでした。
(安寿)ミラクル・ヤン(fromヤン・ウェンリー『銀河英雄伝説』)と
覚えたのです…って、どうでもいいネタでスミマセン(^ ^;; 。

で、何が言いたかったかというと、
とてもマントが似合ってて、しかもそれっぽかったということ(*^ ^*)。
黒いマントを掛けたり帽子を被ったりすることで、
いろんな人物に変装するのですが、
そのお着替えも舞台上でやっていたりして。
思わずそういう、本筋とは関係なさそうなところに
目が行ってしまう習性を持つワタクシ(笑)、
でもそこでも、着替え終わった瞬間、
首を横に向けて次のシーンに入りこむモンテ・クリスト伯に
ちょっとドキドキしました(*^ ^*)。

ていうか、カッコイイよね実際。
普通の男優さんでは、
「モンテ・クリスト伯」のあの頬のこけた、
痩せこけてるんだけど復讐にギラギラしてて、
それでいて品があって…っていう姿にはなれないでしょう。
そこに、男の人が出てくる舞台の中でも
わざわざヤンさんや幸ちゃん(まあ幸ちゃんの場合は内容が違うけど)が
男役をする意味があったのだろうなと思います(*T-T*)。

その他のキャストの皆さんも、
本当にお上手だった(って当たり前か)。
特に衝撃的だったのは、
フェルナンがラスト自殺するシーンで
階段をがががが…っ!ってすべり落ちるところ。
あまりものリアリティに震えました。

今朝の雪組東京公演のチケット取りのため、ちょっと疲れていた私。
この入り組んだお芝居をすべて理解するには
少し元気が足りなかったようですが、
でも幸ちゃんを堪能することはできました(*^ ^*)。

――舞台写真が欲しいよう(笑)。

fin