クラシック音楽が好きな人なら誰でも、
そうでない人でもどこかで聞いたことのある名前ではないでしょうか。
マリア・カラス、20世紀最高のソプラノ歌手。
ちょっと昔のオペラのCDを買おうとすると、
たいていは彼女が歌ってるような気がします(言い過ぎ?)。
'77年に53歳の若さで亡くなった伝説のソプラノヴォイス。
タイトルから伝記映画なのかとも思っていたのですが、
この映画はあくまでもフィクションとして
彼女の存在を浮かび上がらせた作品でした。
全盛期の声を失い、船舶王オナシスとの恋にも破れ、
過去の栄光を苦しく思いながらもその思い出から逃れられず、
睡眠薬を常用して世間から隠れて暮らしていた
晩年のマリア・カラス(ファニー・アルダン)。
そんな彼女にもう一度光を浴びせたいと、
かつての仕事仲間であるラリー(ジェレミー・アイアンズ)が
ある企画を持ってやってくる。
その企画とは現在のマリアの姿に、
全盛期時代の録音した声を被せたオペラ映画の制作だった。
最初は渋ったものの、
今まで一度も演じたことのない「カルメン」なら、
ということで出演を引き受けたマリア。
その役にのめりこんでいくにつれ、
ふたたび生き生きと輝きを取り戻していくマリアだったが――。
マリアの歌声は、
実際のマリア・カラスの録音から使っていたそうです。
でも口の開け方とかタイミングとか、
本当に歌ってるとしか思えないほどぴったりで、
しかもファニー・アルダンの演技が、
とてつもなく情感・迫力にあふれていてすごかった(>_<)。
もちろん、マリア・カラスの歌声は言うまでもなく(*T-T*)。
とくに、劇中劇で「カルメン」を演るのですが、
もうねー、その「カルメン」全幕をぜひ見せてほしい、と思うくらい、
素晴らしいオペラ映画に仕上がってました(*^ ^*)。
個人的にはエスカミリオ
(パンフに名前さえないくらい端役なんだけど)が
とてもいやらしげなラテン男だったのがツボ(笑)。
ドン・ホセ役のマルコ(ガブリエル・ガルコ)は、
マルコ役としてはちょっとへなちょこで可愛かったけど、
できればホセとしても
もそっとへなちょこであって欲しかったかも(爆)。
けっこう強気に睨みつけたりとかしていて、
ワタシ的にはちょい残念(笑・ていうか、何期待してるんでしょう)。
マリアにその映画の企画を持ってくるラリーが
ロッカーだったり(だってびっくりすることに、
オープニング曲は70年代ロックなのよ?)ゲイだったり、
なにげにラリーの恋話(もちろん男の子(*^ ^*))も
うまく絡ませてみたり、
マリアに憧れるマルコとのちょっとしたロマンスもあったりと、
作品的にも飽きさせないし無理もない展開。
ラストは無理をさせない分、切ない終わり方ですが。
何度も涙ぐみました(*T-T*)。
まだまだ東京ではロングランするんじゃないかな。
オススメです。
あ、ただし、ラストのタイトルロールはちゃんと聴いてから帰ってね☆
だって何も考えずにマリア・カラスの歌声だけを堪能できるのは
この時だけなのよ?
それなのに帰っちゃうなんてもったいない。
(そして、鼻をかむのもご遠慮いただきたかった…(T_T;)
帰り道、私の頭の中は
「私のお父さん」(プッチーニ)でもちきりでした(*^ ^*)。
あんな風にはもちろん歌えないけれど。
…ああでも、
こういう第一線で活躍された人(や活躍している人)の生き様をみるたび、
その考えや行動の徹底ぶりに感服し、
上手くいかないと「まあいいや」で済ませてしまう
自分が恥ずかしくなるのです。
それこそが天才と一般人の違いなんだろうなあとも思うのですが。
(少しばかり真面目モード。えへ)
fin
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