基本的に、前衛的なものに疎い&良さが分からない私。
Kくんのオススメにより行くことになったけれど、
現代舞踏、コンテンポラリー・ダンスということで、
観る前は、実は期待2/3不安1/3という感じでした(^ ^;;。
いつだったか、前衛的な『カルミナ・ブラーナ』のバレエを観て、
あまりもの可笑しさに目を開けていられなかった経験があるのです。
目を開けた瞬間に噴き出してしまいそうなほどおかしいお衣装&動きなのに、
みんなシーンとして観てるんだもの…。
目をつぶったまま息を止め、肩を震わせておりました。その時は(笑)。
でもねえ、今回のこの公演、
前衛的ではあったけれど、とても良い意味での前衛だったのです。
何をしているのか、何をしたいのか
実はなんだかよく分からない、でもなんだかすごく惹き込まれる。
タイトル「ふたりだけ」ということで、
自分と自分を見つめたときにその中にいる自分、の対比のようなものを
踊りで表現されていたのですが、
でも「〜のようなもの」としか書けないの(^ ^;;。
だってよく分からないんだもの〜〜〜。
というか、言葉にならない。
言葉にすると「それ」ではなくなってしまうような感情、存在。
そんな表現でした。
一人舞台ということで、映像や光を上手く取り入れてたのも素敵だった。
舞台装置としては、
二等辺三角形のように舞台の左右にスクリーンが置かれ、
その頂点の位置にウェディングドレスがスポットを浴びて吊されてたのね。
冒頭、舞台が暗くなったと思ったら、
左側のスクリーンが映し出され、
黒いシャツとパンツ姿のキムさんのアップ。
しかも、キムさん、スキンヘッドに黒い眼帯という
とてもキッチュな出で立ちなのに、
まるで大学教授の退屈な授業のように訥々と喋り始める(笑)。
「それでは…昨日の続きから始めたいと思います…」
昨日っていつや! とツッコミを入れたくなるのですが(笑)、
実はそれこそが今回のテーマ。
「昨日は…なにをしてたかな…」
というあたりから、だんだんとインナーワールドに入っていき、
気がついたらそのお喋りは意味をなさないものになり、
さらに気がついたら読経のように。
そしてその「音」をバックに出てきて、
白いシャツとパンツに素足で踊り始めるキムさん。
その動きの一つ一つが、とても重い。
いや、動きが遅いのではないんだけど(^ ^;;、
手の角度、首の角度、足の動き、その動きの意味というか。
その一つ一つに目が離せなくなってしまうのです。
途中、
音楽のお喋りに合わせてアテレコしながら踊ったり、
影絵のようにスクリーンの中にいるキムさんと調和しながら動いたり、
スクリーンの向こうからマタドールのような踊りがあったり、
ボレロのリズムに合わせて黒いシンプルなドレスを着て踊ったり。
そしてラストシーン、
ボレロから移行した音楽が『オンブラマイフ』になって優雅な動きになり、
救いが来たのかな〜、と思いながら観ていたのですが、
でもさっきのウェディングドレスの方に向かっていきながら、
気がついたらかきむしるようにそのドレスを脱ぎ捨ててしまいました。
パンツ一枚(…と書くとちょっとあアレだな(^ ^;;)になって、
「自分」一人になったところで、完。
…そこで終わってしまったことが淋しかった私は、
きっとヅカ的なフィナーレを求めてしまっていたのでしょう(笑)。
――なんか、思ったよりたくさん書いてるなあ、私(笑)。
見終わった直後は、書くことを放棄したいくらい
なにも書けなそうに思っていたんだけど(^ ^;;。
「観ろ!」の一言しか書けないわ、と思っていたんだけど(笑)。
今回、一番強く思ったのは、
「自己表現には本当に多くの方法があるんだわ」ということでしょうか。
そして、その手段を持つことの素晴らしさ、楽しさを
久しぶりに思い出した気がします。
ちょっといつものじょあんらしくないレポかもしれませんが、
まあたまには、ということで(笑)。
fin
|