2002年6月29日 12:00開演
『フォーチュンクッキー』
於 サンシャイン劇場

 
宝塚から外部出演の湖月わたるさんを観たいがために行った公演なので、
「TAKARAZUKAの宴」に書くべきかもしれないんだけど、
…あまりにもそっちのページばかりにレポートが偏ってしまうので(^ ^;;、
以降の外部出演は全部こちらのページに書こうと思います。悪あがき(笑)。
どうぞよろしく(^ ^)。

というわけで、『フォーチュンクッキー』。
アメリカ・チャイナタウンのチャイニーズレストランを舞台に、
二組のアメリカ系中国人の客が繰り広げる
コメディタッチのミュージカルです。
一組目は21年ぶりの再会を果たした、
文化人類学者のニック(鈴木綜馬)と売れない俳優のユン(畠中洋)。
もう一組は映画の衣装デザイナーのパオ(日向薫)と、
カメラマンの卵のモナ(湖月わたる)。
こちらは両親がおらずパオに育てられてきたモナの独立祝いで
このレストランに来ていました。

一幕目はこの二組がそれぞれ二人がけの個室に通されて、
互いに隣の客を気にしつつもそれぞれの人生について語り合うのです。
ニックは20年前、恋人と結婚しようとして
家族の承諾を得に行っている間に恋人がいなくなってしまい、
それからさすらいの人となってしまっている。
ユンはまだまだ駆け出しのアンサンブル役者で、
古い習慣を持つ「家族」のために生きることを受け入れている。
また、パオは映画のような恋を夢見て(そうは言ってないけど)るうちに
仕事に追われて結婚しないまま38歳。
モナはあること(父親の面影)を求めてカメラマンを目指している。
そういうようなことをアクロバティックなダンスとか歌とかを
交えながら説明していきました。
そして二幕では、たまたま4人がけの席しかないということで、
この二組が一緒の席に着き、
いろいろ話したり歌ったり踊ったり(笑)しているうちに、
4人の数奇な真実を知る…といったストーリーで、
笑いあり涙ありのとても楽しい舞台でした(*^ ^*)。

まず、客席に入ってから舞台が始まるまでの導入からして素敵だったの。
私は10分前くらいに客席に入ったのだけど、
客席(客席も、一番前の席は
中華料理屋さんのような丸テーブル席になってた! 凝ってる!)の中を
サッカーの外国人サポーターがかぶるようなピエロ帽(笑)などを
被った人たちがうろうろ中を歩いていたりして客いじり。
私も子豚ちゃん人形を持った人に、
子豚ちゃんを肩に乗せられたりしたわ(笑)。

そして帝国になって舞台にちょっと明かりがともったとき、
そのピエロ帽軍団の5人衆が、あれは何て言うんだろう、
竹で作ったと思われる中国版ハンドベル(笑)で演奏。
16分音符のスケールとかちょっと興奮するような出来でした(*^ ^*)。

それから、
「今日はスペシャルゲストです」と言ってたけど本当かは分からない、
胡弓奏者の方の演奏。
蘇州夜曲ともう一曲ちょっとテンポの速い中国の曲(タイトル忘れた)。
これがもう、絶品でした(*^ ^*)。
これだけで帰っても満足しちゃいそうなくらい(笑)。

そうしていよいよお話が始まりました。

面白かったのは、
一幕で互いに相手の素性とか関係を想像してたシーンで、
互いに「あれはジャパニーズヤクザ!」と決めつけてたところ。
パオはニックの格好を見て
「東洋人でアルマーニのスーツを着るのはジャパニーズヤクザだけ!」(笑)
またニックたちもパオとモナを見て
「あの若い方の男(笑・わたるくん、二幕ともパンツ姿だった)、
あれは仮の姿で本当は密売とかしてるんだよ」みたいなことを言い出し、
その途端、ジャパニーズヤクザイメージとしてのわたるくんが
黒いコートに黒い帽子を被って登場!(笑)やっぱり決まってる!
そしてカンフーみたいな殺陣をしながらバッタバッタと敵(?)をなぎ倒し
去っていく…とても面白い展開でした(*^ ^*)。

それ以外でもわたるくんにしてもネッシーさん(日向薫)にしても、
宝塚(出身)であることを上手い具合にからませてて、
この舞台を見に来ているファンのことをよく分かってるなあ、謝先生、
と思わせてくれたです。
モナが「よく男だと間違えられるのよね」というと、
パオも「分かるわ。私も若い頃はそうだった」と
男役らしいポーズとったり(*^ ^*)。

しかし二人ともでかかった(笑)。
二人ともけっしてヒールは履きません。
わたるくんは二幕ともスニーカーだし、
ネッシーさんは二幕でサンダルを履いてたけど、それも2cmヒール。
それでも綜馬さんは同じくらいだし、畠中さんの方が小さかった(^ ^;;。
しかし、わたるくん(公称174cm)より
ネッシーさんの方が大きかった(公称175cm)のもちょっと衝撃。

でもでも、二人ともとってもキュートでしたよ(*^ ^*)。
わたるくんなんて22歳の女の子の役(笑…笑うな)。
4月にはアシュレだったのに、とても可愛い女の子声になってました(*^ ^*)。
動きはいつものわたるくんだったけど。
そして、こんなに歌えたっけ…と、さらに失礼ながらびっくり。
ちょっと裏声も混ぜて、ハイDまで出してました。
ネッシーさんたちとのハモリもとても心地よかったし(^ ^)。

ただ、お衣装が…(^ ^;;。
一幕でネッシーさんが着てたお衣装の奇抜さは
「衣装デザイナー」という役柄を聞いて納得したのですが、
二幕でわたるくんの着ていたベージュのスーツ、
なんとウエストラインで切り返しがあって、
15cmくらいレースでできてインナーのシャツが見えるようになってるの。
――そ、それって春野様スーツ?(爆)
(私の中で最近ツボに入っている、春野寿美礼さんのお洋服のセンス。
こんな感じの切り返しがあったりなんだり、いったいどこで買ったのそれ、
というようなお洋服を、いろんな雑誌とかで見るのです(^ ^;;)

鈴木綜馬さんは相変わらず上手かったし、
畠中さんもだんだん酔っぱらいっぷりがツボに入ってきたし、
演出的にも素敵な上質なコメディからダジャレまで制覇しつつ
(個人的にツボッたのは、わたるくんの頼んだカンパリソーダを
持ってきてくれた店員さんたち、
突然「カ・ン・パリ! カ・ン・パリ!」と叫び始め、
ネッシーさんわたるくんで「サ・セ・パリ」を歌い始めたこと(笑)。
バリバリに決めてウインクまでとばしてました(笑))、
最後には泣かせる。

テーマが家族、大家族、ということで、
学生時代、家族社会学のゼミにいた私としては
ちょっとその母親礼賛はどうかな〜、と思わなくもなかったし、
あまりにもまっすぐな台詞で来てしまうので、
「は〜ん、はずかし〜(^ ^;;」となってしまう部分もあったのですが、
わたるくんの熱演と涙
(舞台化粧をしてないので目の縁が赤くなるのまで見えるの)に、
じわっと来てしまいました。

舞台装置も本当に素晴らしかった(*^ ^*)。
お盆を1/3ずつに区切って、
レストランの個室とエントランスを作ってるのね。
二幕では2/3を使って4人がけの個室を作ったり。
本当にそういうところ、上手いよなあ、と思いました。
できれば劇場的に、幅があと2mずつくらい広ければ、
もっと彼らが自由自在に動けたのではないかという気もいたしましたが。
本当にいっぱいいっぱいに踊ってたので勿体ないくらいだったの。

――わたるくん、いつトップになってもおかしくないよ(ぼそり)。
ていうか、今すぐにでも…!!
…と思わせるくらい、充実した舞台でした(*^ ^*) 。

fin