2002年4月28日 17:00開演
『チャーリー・ガール』
於 帝国劇場

 
タモさん(愛華みれ)の宝塚退団後初舞台。
退団直後からいろいろなところで「女性らしさ」を
演出し続けてきた彼女からすれば、
この舞台は一番それまでの彼女に近いものだったのではないでしょうか。

イギリスのとある貧乏(?)伯爵のお屋敷。
その大邸宅を一般公開してお金を稼いでいます。
シャーロット(愛称チャーリー・愛華みれ)はその伯爵家の三女。
女の子らしい恋への理想や夢は持ちつつも、
実際はバイクの修理などをしている方が好きなタイプ。
そしてそんなチャーリーに恋をしている召使い・ジョー(錦織一清)。
でもジョーはチャーリーが男嫌いだったりお金に興味がないことを知っていて
半ば諦め気味なのね。
そんな時、ニコラス(太川陽介)が
「サッカーくじで約20億円を当てました。おめでとう!」とやってきたり、
お屋敷にやってきたいけ好かない男ジャック・コナー(鈴木綜馬)に
チャーリーが一目惚れしてしまったりして…!?

というようなとても明るいコメディで、
かなり声を上げて笑っちゃうようなシーンも多く、楽しめました。
伏線敷きっぱなしだったりしたところもあったけど、
ちょっとした細かいところまでしっかり練られて笑いを取っていて、
(それ以外のアドリブでの笑いも多かったし)
「やっぱりお芝居は脚本だよね…」と久しぶりに思ったです(*^ ^*)

キャストごとの感想を。

チャーリー:愛華みれ。
タモさん、可愛かったあ(*^ ^*)
ちゃ〜〜〜んと女の子らしい声になっていて、
昨日観たスカーレットのあさこちゃん(瀬奈じゅん)よりもさらに高い声。
歌も一番高いところはたぶん上のレだったけど、
ボイスチェンジをしてとても可愛らしいお声で歌ってるのがとても心地よく、
…はっきり言って、宝塚時代より上手かったです(*^ ^*)
男役声で歌うのは彼女のキーに合ってなかったんじゃないかと思うくらい。
つなぎを来て眼鏡を掛けた姿はとても少年らしくて
宝塚時代を思い起こさせるものでしたが、
パーティーでの白い長袖ドレスや、スリップ姿、
フィナーレのダンスシーンでの黒い肩出しドレスなどとても美しく、
(会場もどよめきが起こってた)
「そうだよね〜、タモさんって美人だったよね〜〜〜」と
うっとりできました(*^ ^*)
ところどころの表情が男役の頃のタモさんっぽかったりしたのもご愛敬。
ただ気になったのは――二の腕。
もとからあんな感じだったっけ?

ジョー:錦織一清。
彼も、――太った?
茶色い髪のカツラを被っていてその辺は気になりませんでしたが(笑)、
なんかお顔や一幕で着ていたスーツの背中を見て、
「うーむ」と唸ってしまいました。
でもコメディセンスの素晴らしさやアドリブの面白さは相変わらずで、
なんだったか寒いギャグを言って客席が引いたあと、
「…もうこれ(その台詞)、39回も言ってるんですよ」と
言い捨てて捌けていく(笑)。 さすがでした。
それから彼のお得意ジャグリングもまた見ることができて、
それも楽しかったわ(*^ ^*)

ケイ・コナー夫人:森公美子。
ホントに彼女は面白いし、歌が素晴らしく上手いの。
彼女と初風諄のデュエットソングなんて、思わず鳥肌が立ちました。
あのキャラクターだから愛されるんだよね。
ニコラスが森久美子と初風諄にヨガを教えるシーンで、
足を蓮の花の形に組もうとして
転がってしまったのを起きあがらせようとした太川陽介、
「…一ヶ月前より重くなってません?」とアドリブ(笑)。
そう言われても嫌みに思えないところが彼女の愛らしさだし、強さだと思う。

ニコラス・ウェインライト:太川陽介。
彼も歌うまかったなあ(*^ ^*)
あと、ニッキとのコンビもいいカンジだった。
例えば恋するニッキを力づけようとしたニコラスの台詞。
「こんなことわざもある。――暑さ寒さも彼岸まで」場内大爆笑!
関係ないじゃん!!
ニッキもニコラスが捌けてから袖に向かって
「イギリスに彼岸はあるのか?」と突っ込んでました(笑)。
これってアドリブだったのかしらね。
それから二幕クライマックス直前、
「ニコラス」「ジョゼフ」と呼び合ったときには、
一瞬「ラブ?」と思ったくらい(笑)。
とても面白かったです。

ジャック・コナー:鈴木綜馬。
東宝『エリザベート』のフランツ=ヨーゼフのイメージが強い彼。
こんなに動ける人だったとは…とちょっと衝撃でした。
ちょっと方向間違ってるキザ男(笑)で、
一挙手一投足に思わず笑ってしまうようなキャラクター。
最初に出てきたときにはキザってることすら分からずに、
「どうしてタモちゃんはこんな男を好きになるのか!?」と思ったほど(笑)。
でもタモちゃんとのキスシーンは思わず魅入ってしまいました(*^ ^*)。
そしてタモちゃんが「(キスをしたのに)ベルが鳴らない!
…ゴメンナサイ! 勉強し直してきます〜〜〜!!」と去ってしまったあとの
ひっくり返った声での台詞にやられました(笑)。

ペネロープ:春風ひとみ
とても「チャーリーの姉」には見えないお年ではありましたが(^ ^;;、
でもスタイルの良さや動きの機敏さ、色気では
文句を言わせない雰囲気がありました(*^ ^*)
最終的にジャックを釣ってしまうのも、
そのぐらいのお姉さまだから、というのがあるのでしょうかね。

フィオーナ:植田チコ
彼女も可愛かった。彼女の方が「チャーリーの姉」には見えたかな。

ハドウェル伯爵夫人:初風諄。
彼女も、本当に素晴らしかった。
彼女と鈴木綜馬が並んでいると
「フランツとゾフィー」という気分が出てくるのは否めませんが(^ ^;;、
ヨガのシーンでの体の柔らかさや、
お歌の素晴らしさ、伯爵夫人らしい気品と威厳に拍手は惜しみません。

その他のアンサンブルの皆さんも上手かった(*^ ^*)。
ひとり、ちあきしんさんという元ジェンヌさんがいて、
私は分からなかったのだけど、
冒頭のシーンで高校生を引率する先生役をやっていたみたいです。

セットも豪華でお金掛けてるなって感じだったし、
盆回しの使い方とか、小道具の使い方とかも面白かった。
風船の使い方とかね。

タモさんにとっては女優デビュー作がこの作品というのは、
本当にラッキーだったのではないかしら、
そうでなければそのように準備されてこの作品になったんだろうな、
と思わせるくらい、良質のミュージカルでした。
ミュージカルナンバーも良かったし。

もし4月の早いうちに観ていたら
もう一度観に行っちゃってたんじゃないかと思うくらい、
面白い舞台でした(*^ ^*)

タモさんの今後にも大期待!!

fin