いやあ、まいった、まいった。
――という台詞が今日の劇中にもありましたが、本当に参りました。
圧倒された。
さすがです、野田秀樹。
これだけ素晴らしい舞台が7,350円というのは安すぎるのではないか、
とさえ思えるほど(ていうか、他が高すぎるだけ、という話もある)。
チケットをお譲りくださったマウロさん、本当にありがとうございます(*^ ^*)
新国立劇場の中劇場に来るのは数年前の一路真輝コンサート以来二回目。
とても奥行きのあるステージなんだけど、
そのステージを十分に生かした舞台設計がされていました。
とくに1幕最初や2幕ラストなどでつかわれた装置。
舞台の奥から放射状に(一点倒置法ですね)見えるよう
桜並木をイメージした布が貼られていたんだけど、
それはなんと扇形に広がっている客席の壁にまで繋がっていて。
もちろん役者さんも縦横無尽に(時には客席の間も)走り回ってました。
ホントに野田舞台の役者さんってスゴイ運動量だよね。
しかも動きのキレがすごい。
その他、宙づりやセリ、盆などの装置も有効活用。
船に使っていた道具が気がつくと持ち上げられて鳥居になってたり、
セリを使ったトリックがあったり、
宙から降りてきたロープで首をつったり
(あれってどうやってるんだろう。 苦しいじゃん!) 、
いろいろと気になるシーンがたくさん。
でも野田ワールドの醍醐味はそこじゃないんだよね。
スピーディーな展開の中に現れる言葉遊びにさんざん笑っているうちに、
気がつくと野田ワールドに惹きこまれていっちゃう。
笑ってるのに、気がつくと泣いてる。
ホント、上手いなあ、って思う。
ああ、某歌劇団にもこのくらいの演出家がいたら、
なにか変わるだろうに(笑)。
シッシーナ夫人とか言ってる場合じゃないよ(爆)。
一番圧巻だったのはラスト、
鬼となってしまった夜長姫(深津絵里)と耳男(堤真一)が
桜の森の満開の下で争い、耳男が夜長姫を殺してしまうところ。
さっきの桜並木のセットにおびただしい数の桜の花びらが降ってくる。
シーンの切迫感とビジュアルの迫力に、息が止まりました。
ちょっと忘れられる風景ではないかも。
言葉遊びについて。
いわゆる言葉遊び&時事パロディ(!?)がいっぱい。
それでも一緒に観劇したマウロさんの旦那様は「以前より少なくなった」と
おっしゃってたけど。
でも、ストーリーの流れを分断するような言葉遊びは、
あまり多いと本当に本筋が見えなくなっちゃうし、
そう言う意味でも今回はとても面白かったです。
たとえば耳男が耳を切られたあと、
その耳に向かって語りかけるとその 耳が動きだし、
「耳に心が生まれた!」と 喜ぶ人々に向かって耳の台詞。
「耳に心が生まれたって「恥」ずかしいだけなんです!」
耳男の台詞に対し、客観的に突っ込んだオオアマ(入江雅人)、
その後続けて「28歳 アパレルメーカー勤務」。
耳男の作った大仏を壊しに着たマナコ(古田新太)に向かって、
「大仏のところに俗物が!」
うろ覚えなので、一言一句同じじゃないですが。
そんなおやじギャグも含む言葉遊びがとても多く、
しかも笑わせてくれるのがさすがです。
でもやっぱり、そこだけ取り出しても面白くないね(^ ^;;
レポートとして順番違う気もするけど(笑)、 一応あらすじ…のようなもの。
舞台は古代日本。天智天皇が「秋の田の〜」を詠んで死んでた(笑)。
ヒダ【飛騨】の匠の名人の弟子・ 耳男が名人を殺しちゃったんだけど、
その直後にヒダの王様(野田秀樹)に名人だと間違われて連れ去られちゃう。
しかもそこで出会った他の二人の名人(古田新太・入江雅人)も、
実は名人などではなく、一人は追い剥ぎのマナコ、一人は大海人皇子。
三人はヒダの王様に、3年のうちに夜長姫のための弥勒菩薩を
作るよう命じられるんだけど、それぞれ思惑があって、
素直には弥勒を彫り始められない。――3年後、夜長姫16歳の誕生日に
できあがった三人の弥勒像とは…!?
またあおっちゃった(笑)。
BSで放映してくれるのを心待ちにしていま〜す。
大オススメでございます。やっぱり百聞は一見に如かず。
一回くらい観ただけじゃ、本当に内容については語れないし(^ ^;;
今回、深津絵里ちゃんがとてもとても上手かった。
声の出し方もちょっと特殊なんだけど、
思わず真似してみたくなっちゃった(笑)。
…こんな深夜にやったら怒られそうだから、今はやめとこ。
fin |