PC,ネットワーク関係
’70年代後半に「マイコン」という言葉が流行し、インテル8080Aを用いたNECのトレーニングキット「TK−80」が企業の技術者の勉強向けに発売されましたが、実際に買ったのはむしろコンピュータ技術に興味を持ったアマチュアのほうで、空前のマイコンブームを巻き起こしました。「ラジオ少年」という言葉に代わって「マイコン少年」なる言葉が現れました。
しばらくするとマイコン(マイクロプロセッサ)をベースにフルキーボードやディスプレイI/Fを備え、Basic言語が走る「パソコン」が登場し、米国製のAppleUやPETといった製品にマニアが飛びつき、やがて日本のNECや富士通、シャープなどのメーカーからも8ビットマイコン(CPU)を用いたパソコンが発売されるようになりました。
そのころの私は高校生から大学生になった頃でお金もなく、マイコンやパソコンよりもオーディオに興味がありましたが、4年になり研究室に入るとそこには日立の「レベル3」というマイナーなPCが置いてあり、パソコンというものに触れる機会ができました。その後、この研究室ではシャープ鰍ニ共同研究をやることになり、「これは好きなように使って」と、同社から当時発売されたばかりの「パソコンテレビX1」という画期的なマシンを提供していただき、それを機に本格的にパソコンにのめりこむことになります。
このX1は、コンピュータの技術者さんではなくテレビの技術者さんが設計したと思われ、他のパソコンにはないユニークな機能を多く有していました。回路図を眺めるたびに、アドレスデコーダ以外に特殊なカスタムチップを起こすことなく、標準的なLSIだけでよくこれだけの機能を実現したなと唸らせる部分がたくさんあって感心したものです。
その後、研究室により高機能な16ビット機(SHARP「MZ5500」とIBMの「5550」。なぜかPC9801はなかった)が入っても興味がなく、ハードウェアに精通したX1をとことん使っていました。IBMの5550にいたってはワープロ用に使っていただけでした。
在学中はお金がなく自分でパソコンを買うことはありませんでしたが、就職してお金が入るようになって、最初に買ったのがSHARPのX1turboだったのは当然のなりゆきといえます。
その後、ハードウェアに対する興味でパソコンをとらえてきましたが、ワープロで文書を書くのが当たり前となり、パソコンの利用の主体が趣味から仕事へとシフトしていくなか、当時ワープロソフトの主流だったジャストシステム「一太郎」の動く、NECのPC9801シリーズが必要となり、ハード的には全くひどいマシンだと思いましたが、圧倒的なソフトの多さには勝てず、趣味(Z80プログラミングや懐かしのパソコン通信、パケット通信)においてもこちらが主力機となりました。
さらにWindows95が登場し、職場のパソコンもWindowsマシンばかりになって、好むと好まざるとにかかわらずこれを使わないと仕事にならなくなってDOS/Vマシンへとシフトしていきました。
というわけで、現在使っているパソコンは、あれやこれやで8台目となりました。その遍歴ぶりを紹介します。

<1台目> SHARP X1turbo (すでに廃棄)     
最初に所有したパソコン「X1turbo」。当時のPCにしては珍しい赤色(灰色もあった)でデザインも秀悦だった。5インチフロッピードライブを2基搭載。キーボードがセパレートで信号線はたった3本。ステレオミニプラグでつなぐのが画期的だった。
(同時期のNEC PC8801などはずぶとい多芯ケーブルだった)
最初は専用ディスプレイTVが高価で買えず職場の上司からいただいたPC9801用のモノクロディスプレイで使っていた。
拡張基板をいろいろ作っていくうちにスロットが足りなくなり、思案していたとき偶然見つけたのがモデル10(FDドライブなしバージョン)用の拡張ボックス。ジャンク屋で9割引で売っていた。モデル10専用であるが、バスライン引き出し基板を自作してなんとかつないだ。
その左にあるのはカラーイメージボード(今でいうビデオキャプチャボード)で分解能はRGB各1ビットという粗いものだが、当時としては8ビットパソコンで画像処理を行えるというのはとても画期的だった。
X1シリーズは基本的に専用プリンタしか使えない。
これは24ドット漢字プリンタCZ−8PK4。
当時のプリンタは両側に穴のあいた連続用紙を使うのが普通だった。15インチ幅と10インチ幅のものがあったが、これは10インチ用。今では紙が手に入らないでしょう。
ドットインパクト式といって電磁石でピンをインクリボンに押し付けて黒くするしくみで、維持費は安いが動作音が結構うるさい。
拡張ボックスを後側からみたところ。サンハヤトからX1用の拡張基板が販売されていてこれでA/DコンバータボードやROMライタ接続ボード、後出の外部メモリ(EMM)ボードなどを自作した。
ここに基板を4枚まで入れることができる。
X1はテレビの電源をタイマー制御できるが、PC本体の電源まではできない。そこで本体を改造して外部から電源制御できるようにした。TVタイマーと連動させ何時何分にパソコンの電源が入るという制御ができる。
ついでにNHK-TVの時報音を検出して、パソコンの内蔵時計を自動的に修正するプログラムまで作った。
(すごい!)
残念なことに、その回路は部品取りのために壊してしまい今は残っていない。
当時はZ80マイコンを用いた組み込みシステムにも興味があり、必要にせまられて作ったのがこのP−ROMライタ。2716から27256まで対応する。
回路・プログラムは工学社刊「X1シリーズ活用研究」の今雪氏の記事によった。

その後、秋月電子からPC-9801につないで使うP-ROMライターキットが出たためこちらは使わなくなったが、いまも大切に保存してある。
X1はZ80の仕様上最大64kBのメモリまでしか扱えないが、外部記憶装置としてディスクと等価に扱えるEMMというデバイスが2式まで使える。買うと高いので41464というDRAM−ICを買ってきて自作した。純正品とは回路は異なる。サンハヤトのX1拡張基板にICを、36個も乗せた苦心の作。最大512kBまで記憶できるが、OSがサポートするのは、320kBまで。それ以上はドライバを自作する必要があるが結局作らずじまい。
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左の自作EMM基板の裏側。すべてラッピング電線を手ハンダで作成。ご覧のとおりのものすごい配線量である。しかし入念にチェックしながら作ったためミスはなく一発で動作した。私の作った基板の中では最も集積度の高い1枚でしょう。PC本体を廃棄してもこの基板は大事に保存してあります。
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上のPROMライタの内部。使用頻度はそれほどでもないのにケースデザインには気合を入れてみた。
基板上の大きなICはマイコン屋さんなら必ず使ったことのあるIC、8255A。
左はVpp電圧を発生するためのコイルとその上にあるのがSWーRegIC、TL497。
6個のトランジスタはVpp切替用。
X1とは50芯のフラットケーブルでバスライン接続する。

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<2台目> SHARP X68000 Pro (すでに廃棄)     
X68000 Proの外観。ディスプレイは純正のCZ−600Dで3種類の水平同期(15k、24k、31kHz)に対応する。5インチFDドライブはオートロード・オートイジェクト型。
ディスプレイの下にあるユニットは一部マニアしか買わなかったカラーイメージユニット。
オークションに出せばいい値で売れたかも。
このPCからハードディスクを使うようになる。
HDDは純正品の内蔵も可能だが、叩き売りされていたロジテックのこれも懐かしい富士通FM-Towns用外付けSCSIタイプ(200MB)を流用していた。そのため本体と色が合わない。
拡張スロットは4つあり、上からSCSIボード。4MBのメモリーボード、空き、純正MIDIボードがささっている。MIDIボードはDTMをやろうと思って購入し、高価な作曲ソフトも買ってみたが、MIDI音源もなく、楽譜が読めるわけでもなく、途中で興味がなくなり結局使わずじまいになった。
アイオーデータ製の4MBメモリーボード。本体の2MBとあわせても6MBしかない。でもほとんど不便は感じなかった。昔のOSは軽かった。というよりWindowsが重すぎる。 X68000でなにか制御する事例はあまり見かけないが、1枚あれば何かの役に立つだろうと作ってみたのがこのパラレルインターフェィス。
通常8255Aを使うところを、当時インテルが嫌いだった私は、あえて68系に合わせて68B21を2個使用。合計32ビットの入出力ができる。結局すこし使っただけでお蔵入り。
X68000Proのメインボード。メモリの集積度が低く多数のSILパッケージが並ぶ。正方形のLSIはシャープがこの機種用に独自に開発したおもにグラフィック処理用カスタムLSI。金色でかっこよく廃棄するとき記念にとっておきたかったがPGAを直接ハンダ付けしてありとても外せる状態ではなかった。
CPUは日立製のHD68HC000。これは記念にとってある。
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<3台目> NEC PC9801 US (静態保存)        
なんの変哲もないPC9801US。一太郎を動かすために購入したようなもの。
こんなものにお金をかけたくないので中古で購入した。
ディスプレイも純正より安いサンヨー製の中古で、電源ON直後は画面がとても暗いのが難点。
今ではめったに使わないが、ごくたまに秋月のEP−ROMライタ(PC−98専用)でROMを焼いたり、98フォーマットのFDを作る必要があるかもしれないので捨てずに保存してある。
FDドライブはこのころから3.5インチが主流になっており、X68000にも外部にジャンクのドライブをつけて3.5インチ対応にした。
(フォーマットは同じらしい)
フタをあけるとHDD用スロットがあり、98ノート用HDDを使用する。
PCカードスロットも付いているが、規格はかなり古いものでしょう。
コンパクトボディのPC9801USには拡張スロットが2つしかなく、メルコのLANボードとアドテックのTV文字多重放送受信用ボードを差し込んでいた
LANボードはMS−DOSでは対応しておらず、FreeBSDマシンにすれば日の目を見るかも。でもメモリが足りないし数値演算プロセッサも必要とか。
文字放送ボードもテレビ局側にほとんどやる気がなく使わずじまい。

アナログTV自体が終了した今は額に入れて飾っておくぐらいしかない。
<4台目> Canon Innova Note (ノート。静態保存)    
最初に購入したDOS/Vマシンは、今はパソコン本体を作っていない、キャノンのInnova−Note。
当時みんなが使っていたNECの98ノートよりもコンパクトで気に入っていたが、ファンの騒音がすさまじく、ごらんのようにマウス端子が本体左側にあるなど使い勝手が悪いところがある。
ほかにも起動時に必ず大きなBeep音を出し止めることができなかった。
画面の解像度は800×600ドットが最高でそれ以上は上がらない。CPUはPentiumの150MHzでメモリは32MBしかなかったが、Win95を動かすのには十分だった。
それよりもMeまでのWindowsはきわめて不安定ですぐにフリーズし、再起動を強いられ、せっかく編集したデータを幾度も消失し、無駄に費やした時間は莫大なものだった。
こんな欠陥OSで大儲けしたMicrosoft社は今でも嫌いだ。
キーボードのなかにぽつんとあるポインティングデバイスはIBMのThinkPadを真似したものだろう。(正式な名称を知りません)
実際は外部マウスを使うことが多くほとんどこれを使うことはなかった。
<5台目> Fujitsu FMV Deskpower     
CPUはセレロン400MHz、メモリは最初32MBしかなかったがのちに256MBに増設。OSもデフォルトではWin98だったのをのちに2Kに載せかえた。CDドライブは読み取り専用。これは失敗だった。
ディスプレイはこの機種専用のデジタルI/FでVGA規格ではなく、他のPCに転用するのが難しい。これも失敗だった。
スリム型なので拡張性はあまりない。LANはまだ標準装備でなくLANカードで1スロット取られた。
パラレルポート、シリアルポートなどのレガシーデバイスが健在のかわりにUSBは表と裏に1個づつしかない。内蔵のモデムが今となっては邪魔。
現在ではシャックにある自作工房のサブマシンとして、PICのプログラム開発や測定器の制御用に用いている。写真は本体上面にテープで貼り付けたAki−PICライタ。OSのサポートが終了しセキュリティに難があるのでネットには接続していない。
<6台目> Fujitsu FMV Biblo (ノート)            
WiRESノード用として使用。詳しくはVoIP無線のページをご覧ください。
<7台目> 自作DOS/V (タワー型)       
ミニタワー形の自作マシン。なぜかCD/DVDドライブが2つ並んでいる。
CPUはCeleron 2.4GHz、メモリは512MBでそこそこ快適に動く。
Wake-On-LAN機能とVNCソフトを活用して母屋から遠隔操作できるようにしてある。
MS-Officeなどの重たい事務系のソフトは一切入れず、無線系(デジタルモード等)、通信系とマルチメディア系のフリーソフトだけにして動作を軽くしている。
シャックの中枢をになうサーバーという位置づけ。
OSはごく普通のWinXP-Home版。
マザーボードはインテル製。オンボードLANは1000Base−Tをサポートしている。
サウンドチップはRealtek社製だが、WiRESソフトの旧バージョンとは相性が悪くて作動せず、オンボードのは無効にして別のサウンドカードを増設していた。(現バージョンのソフトでは改善されている)
<8台目> DELL XPS M1210 (ノート)     
現在のメインPC。このホームページの作成のほか、文書作成、表計算、デジカメ写真、
音楽ダウンロード、インターネット、メール、PICプログラム開発、シャックコントロールと
多岐にわたって使用している。家庭内ネットワークと無線LANで接続。          
OSはWin−XPとLinux系OS(Ubuntu)のデュアルブートにて使用。