草千里浜
「大阿蘇」という三好達治の詩がある。

雨の中に馬が立っている
一頭二頭仔馬をまじえた馬の群が、雨のなかに
たっている
雨は蕭々と降っている
馬は草を食べている
尻尾も背中もたてがみも、ぐっしょりと濡れそぼって
彼らは草を食べている
草を食べている
あるものはまた草を食べずに、きょとんとして
うなじを垂れてたっている
雨は降っている 蕭々と降っている
山は煙をあげている
中嶽の頂きから うすらきいろい 重っ苦しい噴煙が
もうもうとあがっている
空いちめんの雨雲を
やがてそれはけじめもなしにつづいている
馬は草を食べている
草千里浜のとある丘の
雨に洗われた青草を 彼らはいっしんに食べている
たべている
彼らはそこにみんな静かにたっている
ぐっしょりと雨に濡れて いつまでもひとつところに
彼らは静かに集まっている
もしも百年が この一瞬の間にたったとしても
何の不思議もないだろう
雨が降っている 雨が降っている
雨は蕭々と降っている
これは絵はがきの草千里浜
噴煙を上げる中嶽と草千里浜(2005.5.22)
いったいどこに満面に水をたたえた湖があるのだろう?
草千里浜という呼び名はどこからきたのだろう?
私はこの詩がとても好きだった。
小学校の教科書にも載っていた。詩の解釈は先生と
私は違ったのを憶えている。
私はいつか行きたいと思った。
そして友達のおかげで行くことが出来た。
草千里に行ったけど、草千里浜と呼ぶ理由はわからなかった。
でもこの右の絵はがきと左の写真を見て、もしかして?
と思った。
左の丘の形と草が盛り上がっている所の形が同じである。
私達が近くまで行った池のまわりの黒いところ一杯がほんとは
水だったのだ。ああきっと満面の水をたたえた湖と見渡す限り
の草原を見れば・・・・・      2005.5.30
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ちなみに白い影は亡霊ではありません