8.タワーの接地抵抗の測定(アース) 2009/3/3 2012/1/3
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de JA1CPA/中村
3本のタワーの接地抵抗を測定しました。(補助電極の役割をタワーで)
実施する場合は全て自己責任でお願いします。
※1: 条件
@ABのタワーの位置関係は下図の通りです。
@はクランクアップタワーで通常のコンクリート基礎の下に1m×1mの銅板を埋設しています。
AとBは自立タワーで通常のコンクリート基礎だけです。(Bはテレビアンテナ兼用)
※2: R@、RA、RBの計算式
R@A=R@+RA :R@Aはタワー@とA間の接地抵抗値
R@B=R@+RB :R@Bはタワー@とB間の接地抵抗値
RAB=RA+RB :RABはタワーAとB間の接地抵抗値
R@=1/2(R@A+R@B-RAB) :R@はタワー@の接地抵抗値
RA=1/2(R@A+RAB-R@B) :RAはタワーAの接地抵抗値
RB=1/2(R@B+RAB-R@A) :RBはタワーBの接地抵抗値
R@A、R@B、RAB、それぞれの接地抵抗値を測定すれば
R@、RA、RBは、計算できることになります。
※3: R@A、R@B、RABの測定計算(測定は交流で行います)
絶縁トランス:一般市販品 AC100/4V 0.5A
絶縁トランスの電圧 E(V) とし、その時に流れる電流 I(A) を測定する。
線CBをタワーAに、線CAをタワー@に接続したときの電流を I@Aとする。
線CBをタワーAに、線CAをタワーBに接続したときの電流を IABとする。
線CBをタワー@に、線CAをタワーBに接続したときの電流を I@Bとする。
E=I@A×(200+R@A) E=I@B×(200+R@B) E=IAB×(200+RAB)
となるので、 となるので、 となるので、
R@A=(E/I@A)-200 R@B=(E/I@B)-200 RAB=(E/IAB)-200
※4:実測準備
右上に絶縁トランス(AC100V/4V)と抵抗器(200Ω)とタワーに接続するクリップ
左側にもう一方のタワーに接続するクリップとケーブル(ACコード)
左下はマルチメーター(AC電圧計、AC電流計、抵抗計)
(AC電流計(mA)が無い場合の検討は下記の 考察3 に)
流れる電流は、4V/200Ω=約20mAですが、ケーブル抵抗、接触抵抗等は低い方が
正確になります。
タワーを紙クリップで挟んで接触する。(リード線は半田付け)
接触抵抗は0.1Ω以下
タワーは亜鉛ドブ付品
※5:実測値
1. 200Ωの実測値=198.3Ω
2. 電圧実測値=4.38V
3. 各電流の実測値 I@A=18.96mA I@B=18.52mA IAB=18.00mA
※6:計算値
R@A=(4.38/I@A)-198.3 R@B=(438/I@B)-198.3 RAB=(4.38/IAB)-198.3
R@A=(4.38/0.01896)-198.3 R@B=(4.38/0.01852)-198.3 RAB=(4.38/0.018)-198.3
R@A=32.713Ω R@B=38.201Ω RAB=45.033Ω
R@=1/2(R@A+R@B-RAB) ⇒ R@=1/2(32.713+38.201-45.033) ⇒ R@=12.9Ω タワー@の接地抵抗測定値
RA=1/2(R@A+RAB-R@B) ⇒ RA=1/2(32.713+45.033-38.201) ⇒ RA=19.8Ω タワーAの接地抵抗測定値
RB=1/2(R@B+RAB-R@A) ⇒ RB=1/2(38.201+45.033-32.713) ⇒ RB=25.3Ω タワーBの接地抵抗測定値
R@109×109×180cm 12.9Ω RA79× 80×193cm 19.8Ω RB59× 59×169cm 25.3Ω
※7:基礎部の検討(朱書き追加、2008/3/4)
(cm) (cm×cm×cm)
タワー@の基礎(コンクリート)部分の大きさ:109×109×180=2,138,580 (体積でした)
タワーAの基礎(コンクリート)部分の大きさ: 79× 80×193=1,219,760 (体積でした)
タワーBの基礎(コンクリート)部分の大きさ: 59× 59×169= 558,289 (体積でした)
土地との接触面積(コンクリートの表面積)が大きいと接地抵抗も低くなることが解ります。
接触面積の平方根に比例するとすれば、(これは体積の平方根に・・・でした)
タワー@=√2,138,580=1,462 @とAの比=1.324 √表面積(5面)比=1.292 √表面積(2.5面)比=1.286
タワーA=√1,219,760=1,104 AとBの比=1.478 √表面積(5面)比=1.297 √表面積(2.5面)比=1.304
タワーB=√558,289= 747 @とBの比=1.957 √表面積(5面)比=1.676 √表面積(2.5面)比=1.673
タワー@の接地抵抗=12.94Ω @とAの比=1.528
タワーAの接地抵抗=19.77Ω AとBの比=1.278
タワーBの接地抵抗=25.26Ω @とBの比=1.952
ほぼ同じ傾向になっている。
※8:考察
1. 測定結果は、比較的低かったと感じています。
2. 一般的に避雷針の接地抵抗は規定で 10Ω以下 となっています。
3. タワーの接地抵抗もこの値を満足すれば良いのですが、接地工事として本格的に実施しないと、実現はなかなか難しい
ようです。
4. タワー@は基礎コンクリートの下に1m×1mの銅板を入れましたが、接地抵抗を下げる効果は、あまり無かったようです。
5. タワーの接地抵抗は、基礎コンクリートの表面積の平方根に逆比例する感じがします。
6. 表面積だけで接地抵抗を下げるのは限界が有るので、いろいろな化学製品が販売されているようです。
7. 土地の土壌によっても大きく違ってくるようなので、測定してだいたいの値を知っておく程度で良いのではないか
と思っています。
注):1.測定は必ず交流を使ってください。直流では電気分解で不正確になります。
2.タワーと線CAや線CBとの接触部は0.5Ω以下になるようにしてください。
3.トランスは1次側と2次側が絶縁された物を使ってください。
4.AC100V側はヒューズを入れて十分に安全に配慮してください。
5.約20mAを流して測定しますが、電流値によって接地抵抗が変わることが有り、この値が最適では無い場合が有ります。
従って、ここの測定値は正確とは限りません。
6.タワー@だけの場合は、タワーAとタワーBをアース棒(補助電極)にして測定します。(1辺5m程度の三角形にして)
7.近くに鉄道や高圧線鉄塔等が有ると不正確な値が出ることが有るようです。
8.全て自己責任でお願いします。
考察 2 の追記(2009/3/4)
※.タワーの接地抵抗は、基礎コンクリートの表面積の平方根に逆比例する感じがします。について。(比例して低下する)
・昔々(50年以上前)の学校での実習で「表面積の平方根に逆比例する」と感じていたのですが、その根拠を見つけました。
強電系の学科だったので、アース抵抗の測定実験は必修でした。50年後の現在でも覚えていました。hihi
・CQ出版「アンテナハンドブック」昭和50年2月28日第16版発行、186Pによると。(ダイナミック・シリーズ「アンテナ・ハンド
ブック」とは違います)
・Ro=(ρ/2π)×(2.736/√ab) となってます。(埋設深さは直接関係しないようですが、ρに関係すると思います)
・Roは接地抵抗値、ρは土壌の抵抗率、aとbは角板の幅と長さ。(地面に並行埋設)
・この計算式によると、a×bの√に比例して接地抵抗は小さくなることが解ります。
(aとbは両面で2倍となるが片面の√となっている)
計算してみました
・ρは、水田、畑(表土下砂利層)の場合で、10,000〜100,000(Ω-cm) と記されているので。(畑地、粘土質=1,000×20,000Ω-cm)
・1m×1mの銅板の場合で計算すると、ρ=50,000として、Ro=(50,000/6.28)×(2.736/√100cm×100cm)=217.8Ω となります。
タワーの基礎の場合は、薄板ではなくて両面あるので、少し違ってくると思います。
・タワー@の場合の表面積(5面)は 67,144cm2なので、Ro=(50,000/6.28)×(2.736/√67144)= 59.45Ω となります。
ρ=10,000で計算すると。(掘削した時は30cm以下は茶色な土で、砂利、石、水は出ませんでした)
・タワー@の場合の表面積(5面)では67,144cm2なので、Ro=(10,000/6.28)×(2.736/√67144)= 11.89Ω となります。
ほぼ実測値と同じになりました。(強引なこじ付け hihi)
・なお、インターネットサイトで同種のタワーを「接地抵抗計」で測定した結果が出ていますが、10〜20Ωなので
大きな違いは無いと思っています。
考察 3 の追記(2009/3/5)
※AC(交流)電流計(mA)が無くテスターだけで測る場合について検討します。
・普通のテスターはAC(交流)電圧計は有りますがAC電流計は有りません。また電圧計としてもDC(直流)に比べて
小さい電圧は測れません。
・この場合は200Ω(実測198.3Ω)の抵抗を50Ω程度にして電流を多く流します。
・次に50Ωの両端の電圧を測り、電流 =測定電圧/50Ω(実測した値)で計算します。
・あとは上記のI@A、I@B、IABとして計算します。
全て自己責任でお願いします。
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おわり