建築現場


建築現場 2000年7月29日(下地合板貼り完了)

 

7月6日に断熱材の充填を終わり気密シート貼りをはじめました。道南に位置する駒ヶ岳山麓の小さな山小屋で昨年の越冬を経験しました。ここは函館市内から30Kmくらいしか離れていないのですが函館地方として予報される温度よりも少し低いようで零下20度を超えることがありました。と云うことで暖房が欠かせませんが、効率的な暖房と温度差による結露を考えるとき高断熱、高気密と計画換気は絶対条件です。地球上の物質である限り熱伝導は避けられず、窓、壁、天井、床等を構成する材料を通して失われる熱量は外気との温度差をパラメーターとして熱貫流率から計算することが出来ます。気密に不備があると予期しない熱の出入りが生じ計画通りの換気、暖房が難しくなります。この家では熱量におけるキルヒホッフの法則が計算出来ることを目標に考えました。この家の総熱損失係数は147.86kcal/h℃です。外気温が-10℃の時に室温を20℃に保つために必要な熱量、すなわち建物を構成する材料を通して失われる熱量は外気温との温度差30をかけると約5,000Kcal/hが必要です。これは小型のポット式灯油ストーブでも十分なはずです。

作業は気密シート貼りに続いて下地合板を天井、壁に貼り付けました。気密シートは0.2o厚、2100巾のロール状のシートを出来るだけ切らずに貼りました。下地合板は、天井用は一人作業のことを考えて5.5oのラワンベニヤですが壁のそれは9o構造用合板をそのまま使いました。これからこの上に羽目板を貼ります。少しお金はかかりましたが出来上がりはしっかりとしており満足できます。ワードローブの背面となる壁と薪ストーブレンガ壁裏は石膏ボードを使いました。石膏ボート9.5oの3x6板一枚320円(消費税別)、方や構造用合板9oの3x9板一枚2,100円(消費税別)です。

天井の下地ベニヤ貼りに並行して排気グリルの取付と排気管の取付を行いました。シートを貼ると小屋裏は屋根のカラー鉄板から吸収された熱がこもった状態になり、まさにサウナ風呂です。この中で排気グリルの取付口を開ける作業は大変ですので早朝の涼しいときに施工するなど工夫したのですが、それでも大部分の作業は日中となりまたまた大汗をかくことになりました。



我が家の換気・暖房計画


新鮮空気取り入れ口を玄関階段下のスペースに置きます。ここでは外気を取り入れ木炭を使ったフィルターをかけます。新鮮空気は地中に埋設してある200φの塩ビパイプを通してGF階中央の空調室に導きます。そこに熱交換型換気装置、温水放熱器等で構成する新鮮空気加温調整機能をおきます。そこからGF-1Fスラブを貫通させて各部屋毎の床下に温度調整空気を放出します。床下からは各部屋の窓下に配置したレジスターを通して室内に入り、レジスターから一番遠いところに取り付けた天井排気グリルから排気パイプでチャンバーへ回収し、トイレ裏1F-GF貫通口を通し熱交換型換気装置に回帰させ、熱交換された排気はGF階に放出します。床下から室内に一定温度の空気を24時間循環させることによって家全体を暖めてしまおうと云う魂胆です。さらに、GF階では熱交換機からの排気をベランダ下と風除室から外へ放出します。この間に廃熱でGFのコンクリートを暖めることによりGFと1Fの温度差も出来るだけ少なく出来るだろうと考えています。熱交換型換気装置はエモトのAVN-150の顕熱型を採用しました。毎時150立米の換気能力があります。この家の換気条件を0.3回/hとしますと90立米/hですので十分な能力です。温水放熱器はサンポットの床下放熱器を利用し石油温水ボイラーを熱源とする熱交換器を自作する予定です。

この換気サイクルにのらないものはレンジフードと卓上排煙装置、薪ストーブ、トイレの排気とお風呂の換気装置です。レンジと薪ストーブは燃焼用の空気を個別に取り入れますがその他は換気サイクルの空気が熱交換なしに排出されることになります。ちょっともったいないのですがいずれも一時的なものなのでやむなしとしました。

当初、種々の床暖房の採用を考えましたが、一定温度の空気を24時間床下へ流すことにより床そのものが暖房空間の中に置かれたことになりますので熱勾配を持つことが無くなり、結果として床暖房を必要としないと云うところに落ち着きました。GF階と1Fの断熱はコンクリートスラブ下に50oのスタイロフォームを貼り付けてあります。また、GF階へは最終的な排気が放出されますので、その空気の持つ熱で少なくとも0度以下になることが無いようにコントロールするつもりなのですが、考えているとおりにうまくいくかどうかはまだ分かりません。いずれにせよGF階の断熱も大事なのでGF階の東南部分はベランダ下温室で囲み、北側は半分以上を土の中に埋めてしまうことを予定しています。

換気暖房系統図


上図では階層が分からないが緑色の配管が新鮮空気の配管で、すべてGF階に配管を予定している。正面左の太い配管は200φの塩ビ管で階段下からGF中央の空調室まで地中配管してある。空調室では熱交換型換気装置、温水暖房器、加湿装置等で調整した空気を1F階の床下へ導入し床下空間を暖めるとともに各部屋の窓下に配置したガラリを通して室内へ導かれる。室内を通った汚れた空気は天井の排気グリルと50φ排気管でトイレ裏の貫通口上部のチャンバーに集められ、貫通口を通してGF階の熱交換器へ回帰、熱交換された後そのままGF階へ放出される。

今までの工程では天井の排気グリル、排気管ルートおよびトイレ裏の貫通ダクトに通じるチャンバーまで完成した。個別配管も100φとしたかったのだが小屋裏のWBSとの納まりがうまくいかないので50φで妥協した。静圧の問題があるかもしれないが、集められた貫通ダクトや換気装置の排気吸入口の太さが100φなのだから7本に分岐されたところが50φでもいいのでは、とかってに考えている。



気密シート貼り


気密シートのロールは0.2o厚、2100o巾のビニールシートが50m巻かれています。意外に重いもので搬入するときに床と気密シートロールの間に指を挟まれ、一ヶ月間くらい痛さが残りました。気密シートも穴が開いてしまえば気密は保てませんので出来るだけ切らずの貼り付けることを考えました。壁の一面は単独で貼り、その直行する壁と天井は一枚物で一挙に貼り付けています。壁、天井、反対側の壁の通した長さは8.6mにもなりますが、貼り付け作業は思ったほど難しくはありませんでした。壁の入り隅コーナー、窓開口部等ビニールシートの切れ目となるところはシージングテープを目張りの要領で貼り付けています。シージングテープはプチブル系の粘着力の強いものでビニールにちょっとでもついてしまうと剥がすことはほとんど不可能です。また、軍手やらカッターナイフにもべたべたつきます。この貼り付け作業が結構な手間でした。

2000年7月15〜20日

下準備

WBSのみならず他の工法でも発生するのだが入隅部分にはシートや合板を留めるところが無くなる。WBS工法では今回天井位置をWBSブロックの中間に配置したため壁面にも入り隅を構成する胴縁を30o角材で追加しなければならなかった。

気密シートを留めるのはMAXのホビー用ホッチキス(円内奥の赤い器具)を使った。専門家が使うハンマータッカー(手前)も購入したのだがハンマータッカーの場合振り上げる必要があり、このときビニールシートは別な手で押さえておかなければならないが、ホビー用ホッチキスの場合はビニールシートを押さえながら留めることが出来るので都合がよい。また、専門器具用の針の深さが10o以上であるのに対してホビー用のそれは12o巾で深さが8oで、普通の木であればきれいに打ち込み、保持することができる。深さが10o以上だとなかなかきれいに打ち込めないのだ。値段も1000円で安いのだが難点はホビー用なので耐久力がない。当たりはずれはあるかもしれないが初代は途中で壊れてしまい、写真のそれは2台目である。


2000年7月15〜20日

シージングテープ貼り

入り隅で気密シート同士またはシートと構造用合板がぶつかるところにはシージングテープで目張りを入れた。シージングテープは50o巾、一巻き20mのプチブル系の強力粘着テープである。粘着側に硫酸紙が貼ってあり、それを剥がしながら貼り付けるのだが一度貼り付いてしまうと剥がすのは至難の業だ。特に入り隅部分は難しい。はじめは様子が分からず50o巾をそのまま使い失敗した。失敗の所産としてあみだしたやり方は、まずはテープを半分の25o巾にする。入り隅には硫酸紙を付けたままで細いドライバーを当てて角に押し込みながら裏側の硫酸紙を下側に引っ張るとうまく直角に貼り付けることが出来る。この方法は20m巻き1,000円もするテープの節約にもなるので一挙両得であるが手間がかかる。それでもこの家全体のシート貼りで9巻、9,000円の出費となった。







2000年7月15〜20日

気密シート貼りの完成

作業に夢中で途中経過を写真に収めることが難しいのでほとんどが一段落した段階の写真となってしまう。作業中は3段の脚立の上に足場板を置き作業をする。上の写真は居間の東南に向かって撮ったものだが前面(南側)を2枚のシートで貼った後、引き戸枠に沿ってカッターナイフでビニールをカットして開ける。ついで天井から東側の壁は一枚で一挙に貼り、同じく東側の出窓部分をくりぬいて、シートの接合部にテープ処理を施している。玄人のやり方とは違うかもしれないが機密性は万全と自負している。

写真で分かるとおりWBS壁は100o角が455x910毎のクローズド空間を作っているので気密シートの上から合板を貼るとブロック毎に気密室が出来ることになる。完璧な気密を実現するためのスイッチボックスシールなども市販されているが使わなかった。その代わり、ケーブルをトーした穴はすべてプチブルテープでシールしている。






天井&壁下地合板貼り

ついで天井ベニヤを貼りました。5.5oの3x6板なので重さはさほどありませんがベニヤを支えることと釘を打つ作業とを一人でやるのには若干無理があります。ということで、この作業はみゆきとの共同作業でした。壁への合板貼りは耐力壁を構成するため、すでに経験済みです。天井と壁が貼りあがってみると部屋という感じがしてきました。これからは床と設備を施工する予定です。

7月21〜29日

天井ベニヤ貼り

天井ベニヤを貼るときにはいろいろ準備がいる。まずは天井根太にあわせてカットしたベニヤがいる。5.5oなので毛引きでも切れるが時間がかかるので回転ノコを使った。低い脚立の上に足場板を載せ、右手の届く範囲に高い脚立を配置し、その最上部に釘打ち機を置いておく。ベニヤの前方をみゆきが万歳をする形で押さえ、後ろ側から位置決めと角へ押しつける力を加えながらずれないうちに素早く釘打ち機で固定する。釘打ち機の釘は50oでスクリューが入っているので一度打ち込むとベニヤを破らないと釘を抜くことが出来ない。一枚一枚なかなか骨の折れる作業だった。





7月21〜29日

石膏ボード貼り

石膏ボードはワードローブの裏とストーブのレンガ組の背面に使った。当初は全部構造用合板で壁貼りをするつもりで合板を用意したのだが、材木屋さんがちょろっとボードの値段を口にし、それがあまりにも安いのでほとんど触れる必要のない部分に使ってみることにした。合板は9o、石膏ボードは9.5o厚であるが貼り終わってみるとほとんど不陸は起こらなかった。









7月21〜29日

天井&壁下地合板貼りの完了

天井と壁下地が出来上がると部屋らしくなってきた。

素人の家造りの本を何冊か読んだ中に石膏ボード貼りのノウハウとして、斜めに切った角材を用意しそれをボードの下に入れて足で押し上げながら釘留めする方法が書いてあった。そのときは納得したのだが、実際に施工してみると、その必要は無いことが分かった。そもそも合板やボードは上にあわせるのではなく下のレベルにあわせるのが自然である。この場合には土台の最下部に仮釘を打ち込んでおき、そこに合板(またはボード)を乗せながら脇を密着させ固定させればよい。これは本職の大工さんがやっていたことを見まねしたことであるが。





排気グリル&排気管の取付

玄関・廊下、押入の上部および納戸の天井は天井裏での施工作業のために開けておき、排気グリルと排気管の取付け終了後施工しました。換気暖房系統図で灰色に書かれているパイプが排気管です。下の写真にあるとおり内径50、外径70oの断熱パイプを使用しています。前にも述べましたが本当は100oを使いたがったのですがチャンバーに7本の排気管を集合したときの収容、100o配管を使用した場合には曲がり径が大きくなるため天井の断熱材の上に出てしまう等の問題があります。50oパイプですと空気抵抗が大きくなるおそれがありますが、出来るだけ極端な曲がりを避け、最短距離を配管することで太さのハンディを相殺することにしました。部材の中には分岐チャンバーなどもあったのですがそれらは使わずに7本を個別に貫通口上部のチャンバーに集めました。採用、購入した部材はトエモト工業の熱交換型換気ユニット(エアラングAVN-150)と排気グリル、配管材料一式ですが210,000円(消費税別)でした。

7月30〜7月31日

排気管の設置

各部屋のコーナーの排気グリルからトイレ裏上部のチャンバーまでである。天井裏はブローイング300oを予定しているのでその中におさまるように、且つ、出来るだけ曲がりが出来ないように配管した。上の写真では5本の配管が写っているがチャンバーの左右にもう一本づつ、計7本である。






7月30〜7月31日

排気グリルの取付

排気グリルと断熱エルボを組み合わせて接続する。排気グリルの開口部は130o角であり、これは治具を作っておき、それを当てながらトリマーで穴をあけた。排気グリルは各部屋のコーナー300o付近に配置したいのだが、エルボの接続口があまりにも壁に近くなってしまい排気管がうまくおさまらない。やむなくWBSの横枠に70oの穴を開けた。このために本格的な70oのホールソウ(17,000円)を購入した。




8月2日

排気チャンバー

トイレ裏にははじめからGF-1Fの貫通口を開けてある。当初はCS(ケーブルシャフト)のつもりで電気系統等の貫通口として多目的に使うつもりだったが、機密の問題があるため、結局はトイレ用配管と換気ルートだけに使用することとなった。トイレの天井部分に排気管を集めるチャンバーを作り、そこに排気管を集めた。上の写真は手前と上の部分がまだふさがれていない状態である。ここに集められた排気はGFへ通じて熱交換型換気装置へ接続される。



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