建築現場


建築現場 12月20日(本宅の外壁と屋根の完成)

コンクリート基礎が出来上がったところでWBSの組立外壁と屋根下地の木工工事、更に、カラー鉄板による屋根葺きが行われました。当初の予定では11月の頭からWBSの組立に入り、中旬から大工さんにからんでもらって12月の頭には屋根が葺けるとふんでいたのですが...   11月11日(木)から始まったWBS組立は部材の納入のペースが遅く、梁と屋根の部材が入ったのが11月27日(土)でした。このため実際に大工さんが外壁と屋根下地の木工工事に入れたのが11月29日(月)と、想定していたスケジュールより約2週間遅れとなってしまいました。その結果、一部雪や雨の降る中での工事となりましたが何とか12月20日に予定していた外壁と屋根工事を完了することが出来ました。外側から見る限りほとんど完成したように見えますが、まだ家の中はがらんどうです。これからは雪の状況を気にすることもないので二人でのんびりと設備や内装工事を進めるつもりです。

一応予定のところまで出来上がりましたのでそれはそれでよかったのですが、今回の工程管理については問題なしとしません。11月17日に降った雪はいったん融けて無くなりましたが11月28日頃から降り積もった雪は結局12月20日現在でも融けずに降り積もっています。これが根雪というのでしょう。10月からのこの時期は日がどんどん短くなっていきます。基礎屋さんや大工さんは08:00から作業を開始してくれましたが、11月にはいると16:30には暗くなってしまい作業が出来ません。12月9日には強い雨が降り、まだふさがっていない軒天のところから水が容赦なく家の中へ入り込んで構造用合板をぬらし、その後の寒波で濡れた合板が凍ってしまうという最悪の状況になりました。当然、このような悪条件のもとでは大工さんといえどもいい仕事は出来ません。このような結果を招いた最大の理由は業者の言を信用しすぎたからです。10月はじめの基礎工事をスタートするときに業者間をかけずり回って、12月初頭の屋根貼りが可能かと問うたのですが、いずれの業者も出来ますとの答えでした。しかしながら、いま考えれば業者からこの工程では無理ですという回答が帰ってくるはずもなく、すべて自分の判断で決めることなのでした。教訓は北海道に於いて10月をスタート時期とする建設工事はお勧めでき無いと言うことです。北海道の気候風土を1年間経験してから工事を初めた方が賢かったようです。


WBSの組立工程

WBS(Wood Block System)は唐松の間伐乾燥材を910x455を基本形としてブロック化したもので、これらをボルトで固定して骨格を作り、構造用合板を貼ることによって枠組み壁工法(2x4工法)と同等の強度を実現するものである。家を自作したいという希望を実現するためにログハウスを含めていろいろな工法を勉強したが、2x4工法であれば個人の力でも可能であるとの結論に達していた。2x4工法は始めに床を作り、その上で壁を組み立てて立ち上げたのち構造用合板を貼ることにより家の骨格を体力壁という形で構成するものである。個人の力だけで作る場合大きな壁を一挙に立ち上げることには無理があるので壁を個人で立ち上げられる大きさのブロックに分け、それらを立ち上げた後で相互にボルトで固定し全体の壁を構成するという方法を考えていた。駒ヶ岳に居住して生活環境の整備が一段落した6月のある日、テレビで八雲の松原組というところがWBSという新工法を開発中とのニュースに接した。早速、イエローページから松原組の電話番号を探り出し、電話をかけたところ電話にでられたのがこの工法の考案者である松原社長その人であった。WBS工法の詳細を知るために早速八雲へ飛び社長と面談し、個人でも出来る家とその環境を提供したいと考えている社長と意気投合し、実験でも良いということで本宅の建築にWBSを採用することとなった。前号で紹介した通り本宅は駒ヶ岳の借景を楽しむためにGFをコンクリートで作りその上に1Fの居住部分を載せた構造である。屋根までの高さは7〜8m近くになる。ここまで来て高いところからの事故で命を落とすのはのは本意ではないので高いところの作業はプロに任せることとして、軒天周りと外壁工事を大工さんに、カラー鉄板貼りを屋根屋さんにお願いした。

11月13日(土)

外壁周りの土台WBS配置完了

WBSは厚さ50o巾100oの乾燥した間伐唐松材を配置場所に応じてL、T、I等の形に成形したもので、今回は13種類あった。芯から100oのところでボルト締めをするための12oの穴が穿ってあり、製作精度が良ければボルトの穴同士がぴったり合うことにより組立後の壁面も正確に作れる訳である。土台となるWBSはスラブのアンカーボルトで固定するが在来工法の土台に比べ本数が多いので外壁面だけをスラブ埋め込みのアンカーボルトとして、内部壁下のそれはコンクリート掘りアンカーボルトとした。

11月14日(日)

1F土台レベル調整

外周のWBS配置を全部終了したところでレベル調整を行った。レベラーで四隅のレベルを取った後水糸をはりスペーサーを挿入しながらすべての土台WBSが水平であるように調整するもので、重要な作業である。この作業はほぼ一日かかった。スペーサーでスラブ面から持ち上がった隙間には後でモルタルを詰めた。これはツマールという道具(スポイトのおばけ)でバケツからモルタルを吸い上げ、土台WBSの下に詰め込んでいくものである。ある程度隙間がないとうまくモルタルが入らないので土台下は15o以上あけた方がいい。

11月17日(水)

土台上のWBS組立

この雪はすぐ融けたのだがとうとう雪が来てしまった。WBSの組立は座金をつけたボルトをWBSの穴に通しスプリング座金およびナットをインパクトドライバーで締めていく作業で接合したところが100o角の柱となる。松原組の社長さんはWBSの特徴としてボルトをはずせば再利用でき部屋割りの変更が容易であるということを強調し、ボンドをつけることに消極的であったが、小生は更に乾燥が進んだときに木痩せが起こりボルト締めにガタが生ずることを恐れたのと、糊付けをすることによりWBS材がラミネート材となり木暴れを防げることを期待して接合面に木工ボンド使った。



組み立て作業は単純なのでそれほど時間はかからないはずであるが...まず、残念ながらまだ各ブロックの製作精度が悪い。12oのボルトに対して12oの穴が穿ってある。そのままでは通らないので玄翁で叩き込むようにして入れるのだが隣のWBSの穴がずれているとボルトが通っても接続されたWBSが直線にならない。こういうときはどうするかというと穴を掘り直してしまう。但し、木の性質としてある程度は無理が利くので締め具で矯正した状態でボルトを締めてしまうこともある。いったん固定されると木工ボンドが効いて、今度は剥がそうとしても取れなくなる。特にT字型のWBSはくせ者でこれを取り付けるのにだいぶ苦労した。教訓はWBSの穴は大きめが良い。はじめから15o程度の穴があけられていれば隣の穴のとの間で6o程度のマージンが得られるわけで、これであれば接続後の直線性を確認するために水糸などが必要となるかもしれないが、容易に高い精度で組み立てることが出来る。

11月19日(金)

小休止

11月17日に雪が降った。このまま根雪になってもおかしくない時期に来ているのに小休止せざる得なくなった。理由はWBS部材が無くなってしまったため。来週には外壁と屋根構造のために大工さんにからんでもらいたいと思っているときに4段目を組み終わったところで来週の月曜日にならないと次の部材が届かないとのこと。ここでの2日休みは痛い。

11月24日(水)

6段目組立完了

WBSの組立は7段でその上に束、母屋構造を作った後屋根パネルで屋根を作る。上図は6段目ができあがったところであるが、7段目の一部の部材は梁構造のWBSを使うため、ここでこの家の垂直を出しておく必要がある。各部材の長さはかなり正確に910o単位で出来ているが壁の全長をボルト接続で構成しているためわずかながら全長がのびでしまう。実際に東西6間(10920o)巾全体で4o大きくなっていた。これは各壁の一部(開口部位置)でWBSを削って調整した。

11月25日(木)

ゆがみ調整とまぐさ梁

6段目が組みあがったところでガッチャー(鎖引っ張り工具)を使い各壁の垂直を調整した。5o程度の狂いはすぐに発生し、まだ構造用合板がう貼られていないので簡単に調整出来た。調整後ぬき板を筋交いとして留めた。後で外側から構造用合板で固定したがぬき板の筋交いでは弱かったらしく、狂いが生じていた。教訓としては垂直を取ったとき筋交いで留めるのではなく、構造用合板を貼るべきであった。右側上部の部材は大きな開口部のマグサ用の梁である。

 
   
 

11月28日(日)

WBSの組立完了

11月11日の墨だしから始まったWBSの組立がようやっと完成した。

 



外壁と屋根下地の組立工程


屋根はフラットタイプとした。雪を載せておくことにより屋根からの放射冷却を防ぐことができ屋根裏の温度は雪の温度よりは下がらない。雪が融け出すときのことを考慮して北側へ水勾配(2/100)をとり、外周には550oの軒天を張り巡らしている。WBSではこれらの工作が出来ないので在来工法の母屋構造を作り、その上にWBSの部材の一つである屋根パネルを載せた。

11月29日(月)

敷母台・母屋の配置

屋根パネルを置くための母屋構造をWBSの上に在来工法で構築した。2/100の水勾配を作るために、まず40x100の敷母台をWBSと緊詰(当初はボルト締めを予定していたが一部は一文字金具を用いて)した。その上に100x100の束をほぞを掘ってはめ込みその上に100x100の母屋を東西方向に配置した。在来工法ではこの上に屋根たる木が配置されるのだが今回はWBSの構造部材の一つである屋根パネルを配置する。

11月30日(火)

母屋のつなぎ

写っているのは母屋構造、軒天、および外壁を作ってくれた大工の角さんである。在来工法のたたき上げで母屋のつなぎには「追い込み」という刻み方が使われていた。最近の大八以下の職人さんには出来ない芸当だそうである。また、関東では刻んだ部材を組み立てるのにとび職がからんでくるが、道内ではこれらの仕事はすべて大工さんがやるのだそうだ。

11月30日(火)

母屋構造の完成

母屋構造に使用した部材は角さんのところで刻んできていたので配置から組み立てまで2日で完成した。従来の建築で言えばこれで骨格部分がすべて出来たので、これが建前ということになる。更に、同日午後からは開口部の無いところの外壁合板貼りの仮止めが始まった。



屋根パネルは八雲の松原組から助っ人が来て一日で張り終わった。というより乗せ終わった。当初の約束ではこれもWBSの部材の一部で母屋との間をボルトで緊詰すると説明されていた。この方法であれば先にも説明したとおり唐松の暴れをラミネート化することで精度の高い家が出来ると思っていたのだが、入ってきた部材には緊詰のためのボルト穴がない。納入担当者に問うと、ハリケンタイと称する金具で母屋とのみ釘打ちするという。更に、屋根パネル同志の接続もしないとのことだったので、これには意義を申し立て約束通り屋根パネル同志はボルト接続することを要求し、10oのボルトを後から納入させた。更に、屋根パネルの横幅のサイズを910-4oとしていたため、誤差が集積され東側に35o以上のずれが生じてしまった。WBSの組立の経験でも6間巾全体での誤差は4o程度であったので途中のパネル一個を調整すれば解決できた問題であるが...結局、余分な巾木を足してつじつまを合わせることになってしまった。

12月1日(水)

屋根パネルの配置

屋根パネルは一個の大きさが906x1820で50x100oのたる木が455o毎に配置されており、あらかじめ12oの構造用合板が接着剤とネジ留めされている。相互にボルトで緊詰すれば910毎に100x100のたる木が配置されたことと同等となり455毎に配置された50x100のたる木と相まって十分な強度を実現することが出来る。要求した結果後から10oボルトで相互のパネルを緊詰したがすでに木工ボンドが乾いてしまっておりラミネート化する事は出来なかった。

12月1日(水)

壁の構造用合板貼り

WBSの組立でだいぶ時間をとられてしまい大工さんの作業が遅れ気味である。屋根パネルの配置は松原組の人たちに任せ、小生は外壁の構造用合板の釘打ちを手伝った。WBSの特徴として横幅は910の整数倍になるので窓がないところは910x3000の合板をそのまま打ち付けることが出来る。釘打ちはエアー釘打ち機を用いてやるのだが素人でも簡単に出来るのでもっぱら小生が行った。家全体の合板貼りはそれでもかなりのボリュームがあり、一日中釘打ちをしてほぼ完了した。

12月2日(木)

火打ちの取付

WBSの最上部に金属製の火打ちを取り付けた。これも八雲からの助っ人が来て全部やってくれたので、小生は木工事の方を手伝った。上部の四角い穴は煙突のための穴である。火打ちの取付を最後に松原組の人たちは引き上げていき、これからは大工さんグループの仕事である。12月上旬には屋根のカラー鉄板を貼り終える予定であったが、まだ当分出来そうにない。寒さが日増しに強くなってきておりこのころは少し焦り気味であった。



木工事はWBSの骨格に構造用合板を張り付けた後開口部にサッシを取り付けた。普通の窓、ドアサッシは開口部の木枠を作り木枠とWBSが一体となるように構造用合板を貼る。外貼り断熱として30oスタイロフォーム、破風シート(タイベック)、18oの通気層を胴縁厚で作り12oのサイディングを貼った。一つだけ台窓を取り付けたがこれには造作が必要で大工さんの技量が発揮された。

12月7日(火)

窓サッシの取付

サッシの取付は30x30角を開口部の構造用合板に取付け、それにサッシを固定していった。こうすることによりスタイロフォームは30x30角のところで収まることになる。上図は台窓の造作部分である。100x100角を用いて台窓の角度に合わせた造作を作成し、それに取り付けたのだが台窓の上部の屋根構造を含め高度な技量が要求されるところである。

12月8日(水)

スタイロフォーム貼り

窓サッシが取り付けられたところでスタイロフォームを貼る。後でWBSの中にもグラスルールを入れるので、スタイロフォームの厚さは30oとした。

12月9日(木)

タイベック貼り

スタイロフォーム内の水分を通気層に逃がすために内側からの水蒸気は通すが外側からはシャットアウトする破風シートをくまなく貼る。



軒天は550oの出に45度傾斜を持たせている。屋根裏の空気ぬきをかねているので所々のスレート板は穴あきを使用している。サイディングも通常の比較的廉価なものを使用した。構造用合板12o、30oのスタイロフォームとタイベックおよび18oの通気層と12oのサイディング貼りはごく一般的な外貼り断熱工法である。外貼り断熱のための壁厚は72oということになるが、30oのスタイロフォームだけでは心許ないのでWBSの中にもグラスウールを挿入する予定である。

12月10〜11日(金〜土)

軒天の造作

タイベックを張り終わった後で軒天の造作に入った。あらかじめ45角で木枠を作っておき胴縁と屋根たる木に取り付けた後構造用合板を貼る作業である。屋根が2/100の水勾配を持っているので軒天も南北に同様の傾斜をもって取り付けられた。

12月13日(月)

軒天のスレート板貼り

軒天の下側はスレート板を貼る。一部は穴あきとしてサイディングの通気層と屋根裏の湿気を外部へ逃がすようにしている。

12月14〜17日(水〜金)

サイディング貼り

外壁は一般的なサイディング貼りとした。使用したサイディングは旭硝子のほんばん12oである。玄関周りの比較的複雑なところを含め、すべての施工を完了したのは17日で屋根の方がすでに葺き終えていたので、これで今回の工事が一段落した。



当初より薪ストーブを入れることを計画し、薪ストーブ大全等の情報からダッチウエスト社のFA225を導入することとした。ダッチウエストジャパン社の提案する直登型煙突一式を含めた見積もりを取ったところ、定価の積算に梱包料を含めて52万円弱の見積もりが来た。値引き交渉をしたところ、こちらが最終ユーザーであることが分かると全く値引きに応じなかった。仕方がないので大阪木材を通して同じものを購入すると37万円で購入できた。今回の本宅建築に際し自分で施工するので部材として適正価格で納入してほしいということがなかなか通らない。英国や米国ではDYIの店がたくさんありどんな部材でも業者と同等の条件で入手できるが、その環境がまだ日本には無い。大量購入するときにバルク取引にかかわる割引は営業行為として分かるが、一品ものまで業者価格が存在することは公正な商取引とは思えない。これから設備を購入することになるが当分はこの問題で悩ませられそうである。

12月14日(火)

煙突口

居間に薪ストーブ(ダッチウエストのFA225)を置くのでその煙突を直登型で準備した。大工さんは外壁その他の工事で忙しかったので屋根から振れ止めの金具までの木枠は小生が一人で作り上げた。

12月15日(水)

2重煙突の取付

木枠に不燃材であるスレート板を2重に貼り、その中を通して2重煙突を取り付けた。部屋の天井を作るときにもう一度防火と断熱をかねた木枠が必要となる。

12月16日(木)

煙突の屋根上部完成

フラッシングと称するスカート部分、水よけのカラーと2重煙突、およびトップから構成されている。トップは逆風防止笠であるバキュスタックトップを採用した


屋根葺き工程

屋根屋さんは屋根の準備が出来るのを待ちかねたように来てくれ、3日ですべての作業を完了した。

12月14日(火)

台窓の屋根葺き

台窓上部は軒天と同じ角度(45度)を持つカラー鉄板葺きとした。。

11月15日(日)

軒天の屋根葺き

屋根葺きは軒天から始まった。長尺のカラー鉄板を下から上へ重ねて葺いていく。本宅は東西が10,920、南北が9,100であるのでそれ以上の長さのカラー鉄板を3〜4人が一列になって敷いていった。

11月16日(水)

屋根葺き

屋根も同様に長尺のカラー鉄板を南北の水勾配を考慮して葺いた。2/100の水勾配を持ってはいるもののフラットに近い屋根なので鉄板の厚さは0.4oという、通常の傾斜屋根よりは厚い鉄板を使用している。


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