隠岐のチヌ・カワハギ
平成14年5月29日〜30日
ここのところ仕事が忙しく、釣りはおろか、休みすらまともにとれない状況が続いた。しかし、仕事をこなしながらも、カレンダーとの睨めっこと週間天気予報のチェックは怠らなかった。体が空いたときに、すぐにすっ飛んで行けるようにである。ターゲットは隠岐のマダイ。今年は不調との情報が入っているが、そろそろ本格化するはずだ。そして、5月29日、待ちに待った2日続けての休暇。1ヶ月前からまとめてあった荷物をレンタカーに押し込み、久しぶりの大物狙い・弾丸ツアーのスタートだ。
半年振りのフェリー・しらしまに揺られて昼前に到着。さっそく磯へ渡る。本命は昨年の秋に大物を連続でバラしている水道筋の磯であったが、風向きが悪く断念。昨年の同時期に好調だった沖磯へと渡してもらう。すべての竿をセットし、竿先に神経を集中するがアタリの気配すらない。エサ取りすらいない状況。たまに釣れてくるのはアナハゼ。あまりいい兆候ではない。噂にたがわず、今年の隠岐は魚が薄いのか。強く吹いていた背後からの風が若干緩んだので、磯の横側へ出てみる。こちらの方が水深はあるのだが、緩んだといってもキャストするには相当辛そうな横風だ。仕方無しに釣座へ戻ったその時、いちばん左の竿先がコンコンと叩かれた。本日はじめて、いやここ2ヶ月ではじめて見るアタリ。合わせるとなかなかの手ごたえだ。ハネの可能性があるので慎重にリーリングすると、はるか向こうで魚が水面に出た。やはりハネだ。しかし、型の方はそれほどでもない。磯にズリ上げたのは50pを少しオーバーしたハネ。とりあえず、ランク物は確保だ。ここで時合がやってきたのか、カワハギの29cm、26pが連発で上がる。さぁ、これから爆釣モードと意気込んだが、わずか15分で生体反応の無い海に戻ってしまった。日が西に大きく傾き、昼の部はこれまでかとあきらめかけた時、真ん中の竿に久しぶりのアタリ。先ほどのハネとは違って、グングンと底へ行くような引きだ。上がってきたのは40pにわずかに届かないチヌ。引きのわりに魚が小さかったので、磯際へズリ上げようとしたが、ハリ外れ。魚は水深20pぐらいの磯の裂け目に引っかかっている。あわてて膝まで海に入り、まるでどじょう掬いのように、両手で魚を放り上げる。普段はすっぽ抜けとは無縁の大バリを使うことが多いので、小バリを使っている状況での、磯際の判断が甘い。反省。エサのチェックのため、竿を上げるとこれにも40p級のチヌがついていた。
釣りは夜の部へ突入。マダイの登場に期待するが、待てど暮らせどアタリが出ない。エサ取りも皆無。日付が変わった2時頃までがんばったが、とうとう睡魔に負けてしまった。30分位寝ていただろうか。目を覚ましたその時、ジリッというドラグ音が鳴ったような・・・順番にチェックしていくと、3本目でズシーンときた。ずっしりとした重さとグングンと絞るような引き。マダイであってくれと願うが、走り方が違うような・・・。現れたのはホンダワラの束をカツラのようにかぶった黒い魚体。40pクラスのチヌでがっかり。やっぱり赤いのはいないのか・・・。結局、夜の部期待のマダイは、20pクラスのチャリコ2匹で玉砕となった。
夜が明けて第3部は再びチヌ、カワハギ狙い。潮の動きが一気によくなり、投点付近でよれている。これだけ見れば、すぐにでもアタリが出そうなのだが、昨日にましてアタリが遠い。房掛けの青イソメがいつまでたってもピンピンしている。8時頃になって、ようやくのアタリ。底を這うような引きだ。何となくエイっぽい。あまり期待せずにリーリングしてくると、足元に現れたのはなんとカレイではないか!それも40pはありそうなマコちゃんである。これはいいものを拾ったと、波打ち際へズリ上げようとしたが、あと50pというところから魚が寄ってこない。えっ?痛恨のすっぽ抜けだ。魚は手が届きそうなところで「おーまーえーはーあーほーか」という感じでへばりついている。タモを取りに走ろうとした時、「はい、それまーでーよ」という言葉とともに?今シーズン最後のザブトンとなるはずだったカレイは、すーっと消えていなくなった。
アタリも無いし、20時間以上釣りをしているし、いい加減疲れてきた。釣りに対する意欲が急激に萎えて、ダレてきた。余ったエサをタイドプールの小魚やイソギンチャクにやりながら時間を潰す。そのおこぼれを必死にとろうとするカニの動きもコミカルでなかなかおもしろい。1ヶ月以上、心のやすらぎとは無縁だっただけに、こういう童心に帰れる平和な時間もなかなかいいもんである。結局、最後の最後に50pのハネを追加して、24時間に渡るバトルは終了の時刻となった。
釣果 チヌ42cm〜38cm3匹、カワハギ29cm〜26cm2匹、ハネ52p2匹