仮屋のアナゴ

平成13年10月21日 by一本釣り師 

 全日本サーフ兵庫協会で趣の違う大会が、一年に一度開かれる。それが善意の大会。釣った魚を施設などへ寄贈する大会だ。そのため通常の大会とは対象魚が異なっている。ニベやエソなど、一般に珍重されない魚は対象外で、アナゴやタコなど喜ばれる魚が対象魚に入っている。また、審査方法も長寸ではなく総重量。審査に提出した魚はすべて寄贈することになる。正攻法で狙うならキス、ベラの引き釣りでこつこつ積み上げるか、根の多い場所でガシラの数釣りを試みるか。この大会ならでわの狙い方として重量を稼げるタコやタチウオを狙っていく方法もある。私は過去2年失敗に終わったアナゴ狙い。今年こそはという思いで、仕掛けやエサなど再点検し挑むことにした。ポイントは最後まで迷った。松帆など超ド級のスーパーアナゴの釣れる場所も候補に挙がったが、干潮が夜明け前と潮が合わない。東浦の漁港にターゲットを絞り、航空写真で吟味した結果、仮屋に決定した。ここは2年前の同大会でも入ったが、アナゴが釣れず撃沈したところである。今回はどうだろうか。
 午後11時、たこフェリーに乗り込むと、M会長、N嶋さん、飛錘さんが乗り合わせていた。作戦を聞くと、私と同じく夜は仮屋でアナゴ、日が明けてからは平安浦でキスを狙うとのこと。他にもクラブ員が同様のプランで行動するようで、賑やかになりそうだ。岩屋に着き、O野さんの車に乗り込む3人といったん離れ、我が愛車の3輪スクーター「スワン号」で仮屋へと急ぐ。
 到着すると多くのクラブ員がすでに一級ポイントの護岸でポイントの絞込み中。挨拶もそこそこに、私はみんなとは離れて狙いをつけていた波止へと向かう。ほどなく日付が変わりスタートフィッシング。必殺のサンマエサとユムシで投入開始。護岸では早くもアナゴのアタリがあるらしく歓声が上がり始めた。しかし、こちらは30分たっても魚の姿は無し。こまめに打ち返しを繰り返すが素針ばかり。緩めたドラグを鳴らすところまではいくが、針掛かりせずきれいにエサをかすめとっていく。サンマエサに反応するのはアナゴしか考えられないのだが・・、エサが大きすぎて食いきれないのだろうか。そこでハリとエサを小さくして投入してみる。すると、すぐにアタリが連発。次から次にアナゴが掛かり、入れ食い状態になった。魚を外してエサを付けている最中に、背後でドラグがジージー鳴っている。時にはダブルで掛かってもくる。少しペースが落ちたので、タバコに火を点け数を数えると8匹。時間はまだ1時半。いい感じだ。20匹を目標に設定し、さらに打ち返しを続ける。その後も好調に釣れつづけ午前4時の潮止まりの段階で20匹。クーラーの中はウナギ屋のビクのようになっている。かなりいい線をいっているはずだ。
 食いが落ちたので護岸の様子を見に行く。みんなそれぞれに好調で、なかでもN嶋さん拓モノのはスズキをゲットされていた。これは重量がありそうだ。他にもかなり大きなアナゴも上がっているとのこと。うかうかしてはいられないと釣り座に戻り、再開。結局夜明けまで粘り、アナゴの総数は28匹になった。クーラーもここしばらくなかったような重量感。急いで荷物をかたずけ、第2部のキス狙いに向かう。
 仮屋で粘りすぎたため、平安浦のめぼしいポイントはすでに満員状態。東風が吹いており、波もやや高くてコンディションはイマイチである。ようやく空いている場所を見つけて竿を振りはじめるが、キス、ベラはおろか、フグもいない。2投したところでここはダメと判断し、この海岸のどこかに居るはずのM会長に連絡をとる。どうやらクラブの面々は5百メートルぐらい離れたところに固まって陣取っているいるらしい。そこではキス、ベラが上がっているとのこと。急遽そちらへ向かうことにする。
 「ええとこいけるはずやから、がんばって釣りや」会長の励ましを受けながら竿を振るが、なかなか魚の数が増えない。時折釣れるのもリミット(10p)ギリギリのベラばかり。これではペースが上がらない。横では会長やI田さんがぽつぽつとではあるがいい型のキスやベラを上げている。あらためて自分の引き釣りの下手さ加減にため息の連続。それでも何が違うのかと、キス名人でもある会長の投点、リールを巻く速度、エサの付け方などを盗み見ながら積み上げを図る。会長もなんとか釣らせようとして、魚の寄り場を教えてくれる。その甲斐もあって、納竿間際になってようやく私にもキスや青ベラが掛かりはじめた。しかし数はあまり伸ばせなかった。
 期待の検量。続々と魚が提出され、トロ箱が寄贈された魚で埋まっていく。私の総重量は5キロを少し切ったあたり。この時点ではどうやらトップのようだ。私と同じく仮屋から平安浦という作戦だったI田さん、O野さんの検量も始まる。まずI田さん。5キロを上回っている。さらにO野さんも5キロアップ。キス釣りで逆転されてしまった形だ。来年はキス釣りの勉強もしなければと肝に命じる。結局、私は3位に踏みとどまることができ、全日本サーフ入会以来、はじめて協会の大会で表彰台に上がることができた。これまで4位が3度あっただけにうれしい。1位O野さん、2位I田さんとレインボーキャスターズが上位独占となり、笑顔のうちに大会を終えることができた。
 
 

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