リレーコラム「地域・自治」 

「市民と一緒に政治を変える」って?

  市会議員になって一年半が過ぎました。私の公約の一つは「市民と一緒に政治を変える」です。議員として議会で質問するだけではなく、地域の市民と一緒に運動を作ってきました。住基ネット反対運動では、「いややねん!住基ネット市民の会」を組織し、県下100人を越える市民と共に差止めを求める裁判(被告は各自治体の首長・県知事・地方自治情報センター)に取り組んでいます。猪名川上流(川西市・猪名川町・能勢町・豊能町)広域ごみ処理施設建設強行の問題では市民団体と協力し、白紙撤回を求める署名活動や集会を行っています。イラク侵略・自衛隊派兵については、地元の宗教家・市民団体・労組などと街頭リレートークやピースウォークを催してきました。地域で共に活動する仲間を増やし運動を作っていく、市民の運動と運動とを結び付けていく、それらは議員の大事な仕事だと思います。引き続き頑張ります。
 でも、「本当にこのままで良いのか」と自問することもあります。戦争や住基ネット、ごみ処理施設の建設強行に抗うことは、絶対に必要です。自分の生き方としても譲れません。でも、少し離れた所から見ると、「生活にゆとりのある人が趣味でやっている政治運動」と映るらしいのです。孤高を誇る自己満足の運動ではダメです。「フツー」の市民に聞く耳を持ってもらうためにはどうすれば良いのか。「フツー」の市民の抱える問題に目を背けてはならないと思うのです。日々の暮らしに多くの課題があります。地域の防犯、子育て、高齢者介護、交通渋滞…。議員として身近な課題を真剣に取り組んでこそ、信頼が生まれ、政治的な思いへの共感が拡がるのではないでしょうか。本多秋五は、あるエッセイで「言葉の価値はどうしてもその背景である人格だと思う」と述べています。
 簡単に言葉の通じる「身内」の市民だけと一緒に活動するのは、本当の意味で「市民と一緒に政治を変える」ことにならない。でも手を広げ過ぎると、体が持たないし時間も足りない。難しい問題です。
                                             (川西市議会議員・北上哲仁)