■ひとくちメモ■ |
◆「環境破壊
深刻に」 国連環境計画が イラク戦争で報告書 イラク戦争の軍事行動やそれに続く略奪などの結果、同国内で放射性物質や科学物質の汚染による深刻な環境問題が数多く起きているとする国連環境計画(UNEP)の報告書が明らかになった。米英軍による劣化ウラン弾の使用を確認するとともに、汚染が起きたと見られる地区を数ヵ所特定。周辺住民や環境への影響調査など、対策が早急に必要と提言した。報告書は1991年の湾岸戦争で大量に使用された劣化ウラン弾について、今回の戦争でも「米英当局が使用を認めた」と記述。英当局から得た情報として、英軍戦車が南部のバスラ周辺で1.9dの劣化ウラン弾を使用したことなどを明らかにしている。米軍の使用量は不明のまま。 ◆「テロ容疑者」拘束違憲 米で2判決 |
<統計・数字から> |
◇電子機器生産額14.9%増 03年見通し デジタル家電けん引
◆冬ボーナス製造業主導 1.48%増 2年ぶりプラス 鉄鋼は2ケタ増 ○政治資金収入11%減 02年 15年ぶり3000億円割れ パーティー比重高まり不透明さ増す |
《書
評》 金主主義でなく「自然に随順して生きる楽しさ」の発見 「共生共貧 21世紀を生きる道」(樹心社・槌田劭著) |
化学者槌田龍太郎氏の息子に生まれた槌田さんが、'60年代後半の学園紛争を経て科学至上主義的な社会のあり方や発想に限界を感じていた頃、自分の子どものアトピーに直面し、家中の合成洗剤を石けんに変えただけで子どもの症状が改善した時のショックから、"生活レベルから考え直し行動する重要性"を感じて「使い捨て時代を考える会」の活動を立ち上げるきっかけになったとか。また、来るべき食糧危機(戦後生まれの私にはなかなか実感しにくいのですが)に備えて健康や自分に自信を持つためにも断食を実行されたり、槌田さんの活動に底流している身体性を軽視しない在りようが、血肉の通っている思想の確かさの所以であるように思います。 "共貧"…ストイックなその響きに、当初う〜んと唸ってしまいましたが、「大きな社会やシステムになるほど、その社会的欲望は生物的生存のための必要を超えて自然や他生物からの貪欲な搾取が必要になり、壊滅的な破壊と蹂躙を与える結果が、人間にもポジティブフィードバックされ自己破壊につながる。低密度で慎ましい生存なら滅びることも栄えることもなく共生が可能だ」という発想から提起されているのを読んで、納得。ここには人工的な都市では日常的に意識しづらい、"人間も自然に働きかけはするもののその一部だ"という自然観に基づいて、西欧で発展した「近代科学技術」教からの脱出をめざそうという意志が感じられます。力による拡大発展の世紀思考に終わりを告げて、これからの世紀は縮小と持続を課題とするのだ、と。精神が貧しいのはたまりませんが、生を豊かに確かに暮らしていくための社会総体の物質的な慎ましさは獲得したいものです。 そのための試みや提案のエッセンスが、この本にはたくさん詰まっています。ミニ菜園の野菜や野草で毎朝作る美味しいジュース一杯の幸福、風土に根ざしたシンプルライフの心地よさ、農業生産者と支えあう幸せ、お金がなくとも生きられる互助と協同の社会をめざすコミュニティー通貨、夫婦仲の良いのが成功の秘訣だという目に見えない酵母菌との協働味噌作り、スーパーでは買えないトマトの祭りの楽しさ…数え上げるのに枚挙がありませんが、それらはある意味で、一面的な今の金主主義(槌田さんの造語)社会からはじき出された「自然に随順して生きる楽しさ」の発見であり、それだけに人が幸せに生きられる社会の中味を、出来ることから自分で手作りしていく楽しさで満ちています。そのことこそが価値観と発想の転換でもあると、新たなムーヴメントを身近に創り出し、創り続けていこうとする槌田さんの自覚的な30年来の活動であるように、私には思えました。 農家の出身であることが自分に価値の豊かさと確かさを与えてくれたのだ、という感性を持った20代の若い人たちが少しづつ現れ始めている昨今、歩く速度を気持ちに取り戻しながらこれからの社会を模索していければと思います。 (Sさん) |
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