イラク占領とブッシュ訪英に反対するイギリスの人々
11月19日朝、オックスフォード市の高校に通う娘が、「今日は反ブッシュのデモよ」といってパレスチナマフラーとホイッスルを首にかけて出て行った。なんでも、翌日20日のロンドンでの大デモに先駆けて、オックスフォードの反核市民団体CNDなどが呼びかけて夕方からデモがあるらしい。彼女の高校でも何人かでビラを出し、グループでデモに出かけるということだった。
翌20日、午後2時からの反ブッシュデモに英国全国から続々と参加者がロンドン入りして来た。集合地の(「阪神優勝」のお祝いパフォーマンスがあった)市街地中央の「トラ」ファルガー広場にはもうお昼前から、様々な衣装や看板などで工夫した反ブッシュアピールの人々が溢れていた。聞くところによると、呼びかけ主催の「反戦連合」は当初6万人の結集を予想していたが、15万人もの人々がこの日のデモに参加したらしい。夜のニュースでは、トラファルガー広場で「ブッシュの像」が引き倒される映像が流れていた。
私たちは仕事があるので昼の大デモには参加せず、夜のバラバラデモに参加した。なぜかロンドンでは、大デモがある日には、必ずといっていいほど小さいデモがいろんなところでいろんな形で行われる。私たちがつきあったのは本隊20人ほどの(多分)アナーキストグループのデモ隊で、「星条旗に×印を塗った服」「ブッシュ・ブレアのお面」「イラク国旗の色を塗った顔」などのハデな外装で鐘・笛・太鼓をかき鳴らして踊りながら歩いていくデモであった。で、この本隊の先頭と後尾にはパレスチナの旗があった(英国の反戦デモには必ずといっていいほどパレスチナの旗が立っている)。このデモ20人本隊を囲むように、100人ほどのいきあたりに集まった(私たちみたいな)人々が一緒に歩いた。
翌日、トルコの英国大使館と英国系銀行が爆破され40人余りが死傷したとのニュースが流れた。デモに参加した先祖代々のイギリス人(アングロサクソン)にとっては、このニュースは複雑だろう。「イラク占領に反対」「パレスチナ応援」であっても、いざ英国大使館が爆破されると、「テロはやめろよな」と心が動く。多分、多くのアメリカの反戦派市民もここら辺の心の微妙な動きがあるんだろうなと思う(アメリカが悪いのはわかっていても、アメリカ人がやられると抵抗がある)。私もこの頃は「ウーン、自爆攻撃はいかん、戦線を分散するのもいかん。もっとブッシュを頂点とした世界帝国の人脈・軍脈システムに攻撃の的を絞るべきである」と思ったりもする(でも、そうはいかない事情もわかるが)。小泉がイラク自衛隊派遣をすると、必ず世界中の日本大使館などの日本の出先機関が攻撃される。これは不可避である。ロンドンの日本大使館が爆破されたときの心の持ち方をいまから、しっかり自身で確認しておかねば、と思う。
(吉田登志夫) |