■ひとくちメモ■
--2003/11/16号--


衆院選の統計数値--バブル以降の世代の政治的無関心が根底に
 9日に行われた衆院選の結果が出た。各政党の獲得議席は、▽自民237議席(10減)▽民主177議席(40増)▽公明34議席(3増)▽共産9議席(11減)▽社民6議席(12減)▽保守新4議席(5減)▽無所属の会1議席(4減)▽自由連合1議席(増減なし)▽無所属11議席(6減)。与党の自民・公明・保守新党の合計は275議席で、絶対安定多数を確保。一方、民主党の議席大幅増で二大政党制の様相が強まるとともに、次回選挙での政権交代も現実味を帯びてきている。なお選挙後、保守新党が自民党に合流、無所属の加藤紘一氏らも自民党に合流し、自民党は現在244議席で単独過半数に。
 各政党の得票率は小選挙区で、▽自民43.8%▽民主36.7%▽公明1.5%▽共産8.1%▽社民2.9%▽保守新1.3%▽その他5.7%。比例代表区の各政党の得票数・得票率は、▽自民2066万票(35.0% 372万票増)▽民主2210万票(37.4% 703万票増 自由党との合計数より44万票増)▽公明873万票(14.8% 97万票増)▽共産459万票(7.8% 前回3の2)▽社民303万票(5.1% 前回の約半分)。比例区では民主党が第一党となった。
 投票率は59.86%で、前回を下回り、前々回に次いで過去2番目の低さ。投票率は小選挙区制を導入した前々回に一気に60%を割って59.65%に。それ以前は60%台後半から70%台だったが、小選挙区制を導入後60%前後に落ち込んでいる。20代、30代の投票率はすでに30%代になっており、しかも年齢を重ねても投票率は上昇せずに横滑りの傾向が表われているので、今後ますます投票率は低下するものと思われる。政治の質以前の問題として、バブル以降の世代の政治的無関心が根底にある。米国の後追いをしている日本の政治・文化状況を考えると必然か。
イスラエルの隔離壁で68万人被害 国連事務局が報告書発表
 事務所が報告書発表
 国連パレスチナ占領地人道問題調整事務所は10日、報告書を発表し、イスラエルが建設中の隔離壁は、パレスチナ人全体の3分の1にあたる68万人に「重大な人道的結果」をもたらし「壁の東側に住む40万人以上のパレスチナ人は、彼らの農場や仕事に行くために壁を越えなければならない」と警告。また隔離壁は、パレスチナ被占領地全体の14.5%に相当する土地をヨルダン川西岸から奪うことになると指摘。隔離壁への批判が高まる中で米国は、イスラエルに対する債務保証90億ドルのうちわずか2億8950万ドルを削減するという寛大な「制裁措置」を通告。イスラエルのアヤロン駐米大使は「米・イスラエル関係の近さが改めて実証されたもの」と満足を示した。なお、米国は11月5日に採決されたイスラエルの隔離壁を非難する安保理決議に拒否権を行使している。
精神障害の労災請求急増 200件越、最悪ペース 自殺は前年同期上回る
 ペース 自殺は前年同期上回る
 厚労省のまとめによると、今年4-9月に職場での災害や過労、配転、人間関係のトラブルなどが原因でうつ病や統合失調症などの精神障害になったとして労災請求した件数は、前年同期の1.4倍に当たる203件。すでに過去最多の前年度1年間の6割に達しており、記録を更新するペース。このうち自殺に至ったケースの請求は69件で、前年同期を16件上回った。専門家は、精神障害での労災認定が幅広く知られるようになったことに加え、リストラ不安やサービス残業などで過重労働が増えていることが背景にあるとみている。
核燃料再処理に19兆 原発コストの優位性揺らぐ
 電気事業連合会は11日、原発の使用済み核燃料の再処理を含む核燃料サイクルの総事業費が約19兆円になるとの試算を発表した。使用済み燃料の再処理も含めた原発コストが公になったのは初めて。試算に基づけば、原発の発電コストは1キロワット時当たり6.4円。石炭火力6.5円や天然ガス6.4円と同水準で、原発のコスト面での優位性が揺らぐ結果となった。原発推進派は意図的にこの点を隠蔽しコスト安を原発の優位性の一つとしてきた。大量の核廃棄物が発生する時代を迎えて、電力会社も隠し切れなくなったということ。負担はこれからますます増大するにちがいない。
 そこで経済産業省原子力安全・保安院は姑息なことを考えている。原発で生じる核廃棄物について、放射能レベルが一般人の被爆限度の100分の1以下のものを、一般廃棄物として扱う方針(クリアランス方式)を決め、05年に原子炉等規制法改正の方針を打ち出した。安全より経済性優先、現状追随の原子力政策。110万キロワット級の沸騰水型原発を解体して廃炉にすると、廃棄物が50万トン、うち約5万トンが核汚染物。クリアランス方式の導入で、核汚染物のうち約3万トンを一般廃棄物として処理できる。
<統計・数字から>
◇ODA5年連続減 来年度方針 イラク重点 中国向けなど減額へ
◇7-9月年率 実質1.4%成長に 民間予測平均 輸出復調が下支え
◇トヨタ純利益、日本初の1兆円規模 今期9月中間、円高吸収、世界で稼ぐ
◇税引き前利益 NTT、国内最高に 9月中間 9.5%増の8426億円 西、リストラで大幅増益
◇中小7割、回復実感なし 大阪市信金景気調査 小売業は9割に
◇上場企業経常益25%増 デジタル機器や北米・アジア好調 ITバブル超す水準 9月中間
◇10月の銀行貸出残高 3ヵ月連続で400兆円割れ
◇厚生年金 給付の1/3財源なし 財務省試算 将来世代の保険料「先食い」
◇国際収支 経常黒字20%増 03年度上半期 出国者減り過去最高
◇年金・医療など現行制度継続なら 2025年に51兆円財源不足 財務省試算

◆若年層の失業9.4% 男性では9ヵ月連続10%超す
◆残業15ヵ月連続増 9月勤労統計 現金給与増の要因に
◆結婚で7割労働市場撤退 女性就労増、日本に要請 OECD「人的資源の無駄」
◆冬のボーナス7年ぶり増1-1.9% 業種偏り受給者減 第一生命など調査
◆NEC、富士通に続き日立、三菱も定昇廃止 電機各社「年功」維持難しく
◆トヨタ 期間従業員最多7000人に
◆高校の学費滞納 1校平均13.8人 私立、経済的理由で
◆中小賃上げ要求基準額5200円に 連合来春方針
◆年休取得が過去最低 厚労省発表 減り続け02年48%に
◆上半期 下請法違反が増加 3%増の768件、警告・勧告734件 さかのぼって単価引き下げ、施設利用券購入を「強制」
◆大卒内定率最低の60% 高校生は34.5% 高校女子初の30%割れ

○外国人観光客「増加望まぬ」3割強 ビザ免除・簡素化消極派5割超 治安悪化を懸念 内閣府調査
○団塊世代退職で企業の利益拡大 2007年から4年間 計3兆6000億円増加 野村総研試算

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