未だにイラクへ兵隊も資金も出していないEU

 イラク問題を巡って対立していた米仏が妥協し、16日、国連安保理はイラクへの多国籍軍派遣、復興計画に関する決議を満場一致で可決しました。しかし、EU、ロシア共に、未だに派兵もしていないし、資金供与もありません。この安保理決議で、イラク問題を巡る米・仏(EU)間の対立が解けたように言われていますが、未だに尾を引いています。
 16日の安保理決議は、米軍主導のイラク占領・統治を基本的に変更するものではなく、フランスを含むEUに不満がありましたが、妥協しました。それは、国連安保理でこれ以上議論を続けていると、イラクで米軍がますます不利になり追い出されることを、米国と同様、この国に石油利権を持っているフランスも恐れたからです。フランスに自制を求める他のEU諸国は、この国の出方を見守っている状況です。そんな中で日本だけが米国の前にしゃしゃり出て、どれだけの価値があるのでしょうか。
 再選を控え、支持率低下に悩むブッシュは、再選戦略の柱に「9.11テロに対する報復」「イスラム原理主義勢力の掃討」を掲げ、イラク戦争へ突入します。だが、フセイン政権は打倒されたものの、大量破壊兵器は見つからず、逆に米国はイラク国民全員をイスラム原理主義勢力の側へ追いやってしまいました。ブッシュにとって、この錯誤が何故生じたのかを考えるのが先のはずですが、この成否如何に再選を賭けている彼には、その余裕がありません。イスラム原理主義勢力への敵意を煽って、遮二無二前へ突き進むだけです。
 フセイン自身も、バース党も、もともとイスラムとは無関係の世俗主義者の集団で、彼らとイスラム原理主義勢力との間に、接点はありませんでした。大量破壊兵器も未だに見つかっていません。こうして、イラク戦争は何の証拠もないブッシュのデッチ上げでした。その証拠がワシントンで次々に出てきて、彼の再選は難しくなっています。
 そんな中、日本の首相小泉は独り、気前良く自衛隊派兵、50億$の拠出を表明、ブッシュの犯罪に加担しています。再選のために国連を無視し単独で戦争に走ったブッシュ、イラクに石油利権を持っているフランスに自制を求めるEU、ブッシュに大金を貢いで取り入ろうとしている小泉。「寄らば大樹の陰」で、この国の納税者と自衛隊員は泣いています。 (渡邉)

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