■ひとくちメモ■
--2003/11/01号--


パレスチナ情勢--自治政府・イスラエル 政治対話再開に動き出す
 ロードマップが頓挫する中で、イスラエル軍はガザ地区への軍事攻撃を強めている。一方、28日に行われたイスラエルの統一地方選で、与党リクードが労働党に敗退。シャロンの強硬路線に展望が見えなくなる中で厭戦気分も広がり始めており、ロードマップへ復帰する動きも出始めている。シャロン政権は閣僚級レベルでの政治対話再開の方針を決め、30日には、シャロン首相がクレイ自治政府首相といつでも首脳会談をする用意があると述べた。クレイ自治政府首相は29日までに、ハマスとイスラム聖戦に停戦協議への参加を要請、ハマスの精神的指導者ヤシン師は協議に応じる意向を示した。さらに同氏は31日、イスラエル軍による攻撃が停止し、軍が占領地から撤退すれば「イスラエル国家を認めてもいい」と語った。イスラエル軍は11月2日、パレスチナ自治区ガザの封鎖を約1ヵ月ぶりに緩和し、6000人以上のパレスチナ人にイスラエル領内での就労許可証を発行した。対話再開へ向けた融和措置の一環と見られる。
北朝鮮情勢--6カ国協議12月開催に向けて動き出す
 ブッシュ米大統領と中国の胡錦涛国家主席は19日、バンコクで会談。その中で、ブッシュ大統領は6ヵ国協議の枠組みの中で北朝鮮の「安全の保証」の文書化に応じる考えを表明した。ブッシュ大統領は、不可侵条約の締結は明確に否定したうえで、「あくまで6者協議の枠組で、参加国が北朝鮮の抱える安全上の懸念を解消する」としている。ただし米国は、北朝鮮が核放棄を表明しても、実際に放棄が検証・確認されるまでは文書化はしないとの考えを示している。
 これに対し北朝鮮側は、北朝鮮と米国の政府当局者が24日にニューヨークで会談した際、不可侵条約の締結という従来の要求を取り下げ、法的拘束力のない「大統領の親書」を「安全の保証」の手段として受け入れる考えを伝えた模様。北朝鮮の外務省スポークスマンは25日、米の「安全の保証」文書化案を「考慮する用意がある」と述べ、米側と接触していることを明らかにした。
 その後、中国の呉邦国全人代常務委員長(国会議長に相当)が北朝鮮を訪問し、30日、北朝鮮の金総書記と会談。北朝鮮側は、6ヵ国協議の継続に原則合意するとともに、核開発放棄と「安全の保証」などを並行して進める「同時行動原則」を受け入れるべきだと主張した。
 なお、KEDOの非公式理事会は11月4日、北朝鮮の軽水炉型原発2基の建設事業を中断することで合意した。21日までに理事会として正式決定する。中断は1年後に見直されるが、米国が再開に応じない姿勢を示しており、実質終了に追い込まれる可能性が高い。この決定を受けて、北朝鮮側の出方が注目される。
米国 03会計年度財政赤字 最悪3742億ドル
 米財務省と行政管理予算局は20日、03会計年度の財政赤字が前年度比2.4倍の3742億ドル(41兆円)に達し、過去最高(92年度の2900億ドル)を大幅に上回った、と発表。

◆米国 7-9月期 実質7.2%成長 消費・設備投資牽引
 米商務省が30日発表した今年7-9月期のGDPの速報値は、年率換算(季節調整済み)で7.2%増になった。個人消費が6.6%増と好調で、企業の設備投資も11.1%増と大きく伸びた。米景気の回復の勢いが、内需を中心に強まりつつあることを示した。

◆米の11%は飢餓世帯 米農務省まとめ 貧富の格差拡大
 米農務省は31日、米国の1億800万世帯のうち11%にあたる約1200万世帯が昨年、十分な食料を買う余裕がない状態に置かれ、そのうち32%にあたる380万世帯では、家族の誰かが数回食事を抜く経験をしたとする報告をまとめた。「飢餓世帯」は3年連続の増加となった。
雇用促進住宅 ホームレス、自立へ入居可
 厚労省は雇用・能力開発機構が運営する「雇用促進住宅」に児童福祉施設の退所者や、ホームレス自立支援センターを退所した人、ドメスティック・バイオレンス被害者、家族からの自立を目指す障害者らが住めるよう、入居要件を11月から緩和することを決めた。その他、これまで雇用期間が1年未満の人は対象外だったが、1年未満の短期雇用の人やハローワークで休職中の人も可能になる。雇用促進住宅はもともと炭鉱離職者などのために整備され、今年3月末の入居率は84.4%で約35万人が暮らしている。なお、連帯保証人を必要とする仕組みはそのままで、その点が課題。
<統計・数字から>
◇「景況改善」 9割に急増 主要100社調査
◇設備投資3年ぶり増 今年度4.1% 電機・精密2ケタ増
◇信用保証貸し倒れ拡大 2兆円、税金で穴埋め 昨年度までの10年間
◇上期の輸出2兆1700億円最高に 中国など対アジア好調
◇地方景気足踏み1/3超える 47都道府県経営者らアンケート 主要企業とのズレ鮮明
◇政策投資銀 中小向け制度融資の9割が大企業に 担保審査厳しく
◇黒字法人最低の30.3% 所得隠し4.2%増の4000億円 昨年度
◇大手銀最終益2.4倍 りそな除く6グループ 増・復配にも現実味 中間期5月予想比
◇日本の競争力11位 ダボス会議報告 2年連続で上昇 財政81位 銀行健全性は102位ビリ

◆ヤミ金融被害者1ヵ月で6万人 対策法一部施行の先月 昨年1年の半分超す
◆3年間で30万人削減 東証上場の製造業930社
◆ソニー、内外で2万人削減 不採算事業を縮小
◆65歳まで雇用義務づけ 厚労相表明来年に法案 年金の空白期間解消
◆経団連会長 65歳定年案反対「経済実態無視した議論」
◆サービス残業2割超で 1500事業所に是正を指導 厚労省まとめ
◆被用者保険 窓口負担増で受診抑制 本人医療費が前年同期比4.1%減 03.4-6月 厚労省調べ
◆日銀の生活意識調査 「収入減った」が最悪 8割が雇用に不安持つ
◆パート労働者の厚生年金適用「週20時間以上」に拡大 厚労省方針 収入要件見送り
◆厚生年金の適用拡大 外食パート87%「反対」
◆大企業今夏ボーナス2年ぶり増加3.0%増 厚労省調べ
◆失業率横ばい5.1% 9月 求人倍率は0.03ポイント改善 近畿は6.8%に悪化

○増え続ける「高齢者世帯」 2025年 全体の4割 人口研推計
○刑務官からの暴力・いじめ 受刑者の34%「経験」 「自身がやった」刑務官の7% 法務省調査
○報道の自由度、最下位は北朝鮮 アジア低調、日本44位 「国境なき記者団」発表
○出産は8500万円の所得逸失 少子化、教育負担も一因

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