食・農・環境をめぐって


国内8頭目 新型・異例のBSE発生
 「早期幕引き」に強烈なしっぺ返し

◆まん延防止対策の有効性を確認 感染経路ほぼ遮断農水省がBSE最終報告書
 BSEの感染源を調べてきた農水省のBSE疫学検討チームは9月30日、最終報告書をまとめた。原因は特定できなかったが、次の2点に絞り込んだ。@82年か87年に輸入した英国産の生体牛から作った肉骨粉や、90年以前にイタリアから輸入した肉骨粉を国内の牛が食べて感染。Aこの感染牛の肉骨粉が飼料工場で牛用配合飼料に誤って混ざり、それを食べた牛が二次感染した。その上でまん延防止対策も検討、「想定された感染源・感染経路はほぼ完全に遮断されている」と結論付け、さらに「07年には日本には感染牛はいなくなる」と予測している。


◆生後23ヵ月のBSE牛 国内8頭目 新型、異例の若さ  誕生は肉骨粉禁止後
茨城県の食肉処理場で解体された牛がBSEの疑いがあった問題で、厚労省は6日、専門家会議を開き、これまで世界で見つかっていた異常プリオンとは構造が一部異なったタイプのBSEと判断した。生後23ヵ月で感染が確認されたのは世界でも異例に早い。この牛は01年10月に牛の肉骨粉の輸入・使用・販売が禁止された後に生まれており、感染ルートの解明が急務になる。農水省は先に、これまで発見された7頭のBSE牛の感染経路を特定しないまま調査に幕を下ろそうとしたばかり。背景として「どさくさ紛れに抜け穴だらけの怪しげな国産牛買い取り制度を創設、税金を無駄遣いしたあげく業界の不正を招いた農水官僚と農水族議員はこぞって、原因究明の早期幕引きを期待」とも指摘されており、今回の新たなBSE牛の発生は、こうした「早期幕引き」に強烈なしっぺ返しとなった。

◇GM食品で評価基準 食品安全委
内閣府の食品安全委員会に遺伝子組み換え食品専門調査会が発足、11月半ばをメドにGM作物の安全性について、独自の評価基準を策定することが決まった。GM作物同士をかけあわせたトウモロコシの安全性についても評価を行う。調査会は委員が15人、座長は国立医薬品食品衛生研究所の早川副所長。

◇和歌山ミカンなくなる!?津軽リンゴ北海道へ!?
 地球温暖化が予測されているペースで進むと、2060年頃にリンゴとミカンの主産地が軒並み栽培に適さない地域になることが、農林水産省系独立行政法人の研究でわかった。リンゴでは青森・津軽平野、岩手・北上盆地を含む東北6県の広い範囲や、長野市、松本市周辺の盆地が適さなくなる。ミカンでは静岡、和歌山、愛媛など海に近く、日当たりのいい斜面にある主産地のほとんどが適地からはずれる。リンゴは北海道、ミカンは関東平野が適地に。

◇02年度食料自給率40% 最悪水準続く
農水省は02年度の食料自給率(カロリーベース、速報値)は40%と発表。40%は5年連続で、稲の大凶作で緊急輸入米を入れた93年度の37%を除き戦後最悪の水準。品目別では、コメ96%、小麦13%、大豆5%、野菜83%、果実44%、牛肉39%、豚肉53%、鶏肉65%、魚介類46%、油脂類13%、など。

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