ビア・カンペシーナ女性活動家のド迫力に脱帽
 
―キューバ&WTO閣僚会議抗議の旅「印象記」(2)―

 前号で、WTOカンクン閣僚会議の概要・意味についてPARCの井上礼子さんへのインタビューの要約を紹介、その中にベニン、ブルキナファソ、チャド、マリの西アフリカ4ヵ国が米国の綿の補助金撤廃を強硬に要求したという話が出てきた。その後、追加で聞いたところによれば、これら4ヵ国では綿花農民が自ら地域で農民組織を創り、それぞれの地域組織が集まって全国組織になり、さらにそれが国境を超えて連携、粘り強く運動して各国政府を動かすに至ったのだという(この動きについては研究所としても何とかフォローしたいと思っている)。グローバリズムの下で呻吟する途上国農民の怒りが米・EUを中心とする先進国の支配体制に風穴を開けた―今回のWTO閣僚会議の「画期的」かつ「歴史的」意味を象徴する話だと思う。
さて、我々もその「画期的・歴史的」の一角に参画したことは事実なのだが、何せキューバからあたふたと駆けつけ、事情もよく分からないまま9月13日の「軍事と経済戦争に反対するグローバル・マーチ」の現地行動に参加しただけ、全体像は帰国後に聞いたり読んだり調べたりでようやく把握、というのが実態。そこで以下は、現地行動で印象的だったことをいくつか…。


民衆行動を主導したビア・カンペシーナ

 最大の焦点が農業問題だったこともあり、民衆行動の中心を担ったのは農民運動の世界的組織ビア・カンペシーナ(農民の道)だった。10日には中南米各地の農民・先住民をはじめとする2万人の「農民の権利と食糧主権のための国際農民行進」を組織(その最中に韓国の農民運動活動家イ・ギョンヘさんが抗議自殺したのは、既に報告したとおり)。13日のグローバル・マーチは、主力部隊が帰ってしまっていたのが残念だったが、これも主導したのはビア・カンペシーナ。中でも圧巻だったのが、デモ行進の後、イ・ギョンヘさんが自殺したバリケード前で展開された抗議のバリケード引き倒し行動。韓国からの代表団を前面に出し、周りをメキシコの「全学連」がガードする形で行われた行動を指揮したのがビア・カンペシーナの女性活動家。彼女はハンドマイクを片手にまずスペイン語で、ついで英語で次々に行動提起、200人近い国際混成部隊を見事に「仕切って」いた。その迫力には脱帽。ちなみに、10日の農民行進でメキシコ「全学連」部隊が跳ねたため、行進後にビア・カンペシーナがメキシコ「全学連」とみっちり膝詰め談判、指揮に従うことで合意したのだとか。

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