食・農・環境をめぐって


歴史的猛暑、欧州に深刻な打撃 環境「異常」もはや修復不可能?!

 この夏、日本のみならず世界中で異常気象が大きな社会問題になった。中でも深刻だったのが欧州の猛暑。フランスでは、熱波による死者が高齢者を中心に1万人を突破すると予想され、保健省の高官が引責辞任。フランス以外の推定死者数は、ポルトガル約1300人、スペイン数百〜1000人、イタリア約1000人、など。その他、スイス・アルプスでは永久凍土が溶けて岩盤がゆるみ、落石などによる山岳事故が多発、死亡者は例年の倍の60人となっている。
当然、農業への打撃も深刻で、欧州委員会の研究センターによれば、ヒマワリが前年比25%減、小麦は10%近い1000万トン減、トウモロコシが10%減。国別でも、ドイツの穀物生産は10〜15%減、オーストリアが15%減の予測。フランスでは、飼料が確保できないこともあり、国内の半数以上の県が国に特別の災害援助を求めている。イタリアでも、水不足の影響が深刻化、今夏は平均で39%の減収を予想。また山林火災も頻発し、ポルトガルでは10万ha以上が焼失、焼死者が15人に達し、非常事態宣言が出された。
欧州の猛暑は、南部ではアフリカ北部の亜熱帯高気圧が例年より北上したため、北部は上空の偏西風が平年より大きく蛇行、この傾向を強める高気圧も発達し、南から北への気流が生じたため、と直接的な原因は分かっているものの、何故そうなったかは全く不明。地球温暖化の影響を示唆する声もあるが、日本の気象庁は否定と、様々。しかしいずれにせよ、地球温暖化も含めた異常気象の根本原因が異様に肥大化した「人類」にあること、そして地球環境の「異常」が修復不可能なところにまで踏み込みつつあることだけは、「確か」なことのように思われる。

◆珊瑚礁、数十年で消滅?
多くの生物が生息する世界の珊瑚礁は、数百年以上にわたって人間活動の影響を受け状況が悪化、このままでは今後数十年間でほとんどなくなってしまう―こんな調査結果を米豪共同研究チームが発表。研究員の一人は「過剰な漁業と地上からの汚染物質の流入が、最大の脅威になっている。珊瑚礁周辺の広い海域で漁業活動を禁止するなどの強力な保護対策が必要だ」と指摘。

◆飢えるアフリカ 国連食糧農業機関  23ヵ国に警告
 国連食糧農業機関(FAO)は、サハラ以南のアフリカ23ヵ国が深刻な食料危機にあるとする報告書を発表、内戦や悪天候、それを原因とした住民の強制的移動、経済破綻が「危機の主要原因」だと指摘。リベリアでは内戦の激化で約20万人の避難民が首都郊外の収容所で暮らし、「極度に困難な状況下で生活し、食料援助に頼る」状態。コートジボワールでは内戦の避難民が100万人を突破。ジンバブエでは穀物生産が通常のレベルを大きく下回ったままで、全人口の半分にあたる550万人が緊急援助を必要としている。エリトリアでは、昨年の干ばつが国民の3分の2に影響を及ぼし、そのうち140万人が緊急援助を必要としている…等々。

[←back]