食・農・環境をめぐって


▽WTO農業交渉 EUと米が妥協案作りへ 妥結不透明
 ゼーリック米通商代表、EUのラミー貿易担当委員とフィシュラー農業担当委員は30日、WTOの農業交渉のこう着状態を打開するため、EUと米国の主張の中間的な妥協案づくりに着手していることを明らかにした。8月中・下旬のWTO事務レベル協議に妥協案が共同提案されれば、カンクン閣僚会議に向け全加盟国がモダリティー(大枠)交渉に入る。

▽牛肉関税50%に セーフガード8月1日発動
 政府は1日、牛肉と豚肉に緊急措置を発動した。生鮮・冷蔵牛肉の関税を38.5%から50%に引き上げ、豚肉は輸入関税額を引き上げる。項目別の貿易統計で輸入数量が発動基準を超えたため。冷凍牛肉は対象外。緊急措置は、四半期ごとに前年同期比17%以上増えると発動される。BSE発生に伴い消費が昨年落ち込んだ反動で、生鮮・冷蔵牛肉の輸入量が前年比34%増となり、基準を超えた。外食産業の反発が強い。

○消費者の権利明示 政府、基本法を抜本改正へ 内部告発者保護へ新法
政府は消費者保護会議(会長・小泉純一郎首相)で、消費者政策を抜本的に見直すことを決めた。経済の市場化が進む中、安全が確保されていることや必要な情報を得て自ら選択することを消費者の権利と位置づける。消費者保護基本法の改正のほか、内部告発者保護、消費者団体訴訟など新たな制度の導入を打ち出した。消費者行政の枠組みを示す消費者保護基本法の大幅見直しは35年ぶり。

○食の安全、東京都が評価委 被害未然防止へ情報 収集 消費者代表も参加
東京都は、食品による健康被害を防ぐために情報の収集や分析を行う「食品安全情報評価委員会」を発足させると発表。委員は18人で、病理学や食品学の専門家のほか、公募した3人の消費者代表を加え、情報の提供をめざす。被害が確認されてから対策に乗り出すのではなく、評価委員会が独自に情報を収集して分析し、危険と判断すれば都に提言するのが特徴。被害の未然の防止を目的とした組織の発足は自治体で初めて。

◆GM大豆作付け…開花 反対派「不安」 強行すき込み 茨城県の試験ほ場
 7月26日、茨城県谷和原村の遺伝子組み換え(GM)大豆栽培試験ほ場で、GM大豆推進派の「バイオ作物懇話会」が試験栽培するモンサント社の除草剤耐性大豆20アールが、反対派の「遺伝子組み換え作物いらない!茨城ネットワーク」のメンバーによって、畑にすき込まれた。ネットワークは23日にこの畑の見学会を開いたが、その際すでに開花していたことから、「約束が違う。花粉が飛散して地元で栽培している大豆と交雑する。ただちに飛散防止措置を」と要求。ところが、懇話会側が「開花するまでしか栽培しないという約束はしていない」と要求を拒否したため、反対派が実力行使に出たもの。懇話会は警察に被害届を提出。一方、ネットワークは非難声明を出すとともに、8月3日に緊急全国集会を開き、今後のあり方を協議する予定。

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