《特集》イラク情勢―ブッシュやブレアの政権基盤脅かす反米感情の高まり

 イラク統治評議会の議長が一応決まったことで今後、イラクの政治日程は閣僚選出、制憲評議会人選、制憲会議開催、憲法草案起草、来年の総選挙へと動き出すものと思われる。一方で、米軍へのゲリラ攻撃が続いており、米兵の死者の増加、大量破壊兵器の未発見、反米感情の高まりが、ブッシュ米大統領やブレア英首相の政権基盤を脅かす可能性を秘めている。


◇デメロ特別代表 安保理に報告
 国連のデメロ事務総長代理は22日、安保理でイラクの復興の現状と課題について報告した。国連イラク支援団創設を提案したほか、将来の選挙に向けた調査団を8月初めにも現地に派遣する意向を示した。
◇フセイン元大統領の息子 ウダイ、クサイ氏 死亡
 22日、米軍が北部モスルで地元幹部宅を包囲攻撃し、フセイン元大統領の息子2人を殺害。身元を確認した。米国は息子2人の死亡でゲリラ攻撃の沈静化を期待したが、その後も攻撃は続き米兵の死者は増え続けている。

◇イラク特措法成立
 26日未明、イラク特措法が成立。当初日本政府は、自衛隊の派遣について10月からバグダッド空港周辺での給水、浄水活動などを想定していた。しかし、米軍に対するゲリラ攻撃が頻発する中で、自衛隊派遣を総選挙後の11月以降にし、比較的安全な南部地域での人道援助活動を中心にする考えを米国に伝達。特措法では米英軍の後方支援活動も任務の一つとしているが、ゲリラの攻撃対象となりかねないため、様子見の状態。

◇イラク評議会議長 9人の輪番制に
 イラク統治評議会は29日、9人の評議員が輪番で議長を務めることを決めた。暫定議長のムハンマド・バハル・ウルーム師は、今後の日程について閣僚選出後、制憲評議会の人選に入り、新憲法制定までに最低7ヵ月程度かかるとの見通しを示した。米英暫定占領当局(CPA)は制憲会議の開催時期を9月中頃と想定。会議のメンバーは120〜150人程度を見込んでいるようだ。議長を務めるのは、▽シーア派聖職者のムハンマド・ウルーム▽イラクイスラム革命最高評議会のアブドルアジズ・ハキム▽イラク国民会議のアハマド・チャラビ▽イラク国民合意のイヤド・アラウィ▽ダアワ党のイブラヒム・ジャファリ▽独立民主連合のアドナン・パチャ▽イラクイスラム党のモフセン・アブドルハミド▽クルド民主党のマスード・バルザニ▽クルド愛国同盟のジャラル・タラバニ−の9氏。統治評議会は30日、初代議長にダアワ党のイブラヒム・ジャファリ氏を指名。

◇ウラン購入情報捏造疑惑 米大統領報道官が陳謝
 ライス大統領報道官は30日、公共放送PBSに出演し、「点検の過程に問題があった。責任を感じている」と陳謝した。また、ブッシュ大統領も同日、「自分が話したことすべてについて、私には個人としての責任がある」と、一般論として「責任」に触れた。これで、夏休みに入る前に、情報捏造疑惑の問題を終わりにしたいとの意向がある。

◇ブレマーCPA代表 イラク総選挙「来年半ばに」
 CPAのブレマー代表は31日、イラク総選挙について、「04年半ばに実施されると考えるのは非現実的とはいえない。それがわれわれの任務が終了するときだ」と述べた。

◇石油産業復興 米・イラク合意 資金需要16億ドル
 31日付ニューヨーク・タイムズによると、米国とイラクの当局者は、イラク石油産業の戦後復興のため、今後8ヵ月間にわたる計16億ドルの修復計画で合意。計画では、年末までに日量200万−250万バレル、来春までに同280万バレルに回復させるのが狙い。

◇英独立司法調査委 審理開始 首相にも証言要求へ

◇パキスタン政府 現時点でのイラク派兵見送り決定

◇ポーランド軍 イラク中部で迫撃砲の攻撃受ける米英軍以外で初めて

◇米CBSテレビ・NYタイムズ合同世論調査米大統領支持率急落54%

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