■ひとくちメモ■
--2003/07/01号--


米、世界各地で遺伝子組み換え作物の強引な押しつけ図る
 カーギル社やモンサント社など多国籍アグリビジネスの意を受けた米・ブッシュ政権が、遺伝子組み換え作物を世界各国に導入させようと躍起になっている。
今年5月には、安全性への懸念から遺伝子組み換え作物の輸入を規制しているEUを、「自由貿易をゆがめている」としてWTO(世界貿易機関)に提訴。その後、2国間協議を続けてきたものの物別れに終わった。米政府は、裁判に当たる紛争処理委員会の設置をWTOに求める見通しだが、協議不調で頭にきたブッシュは「非科学的な恐怖感から、遺伝子組み換え作物を妨害している」とEUに八つ当たり。
 さらに、6月末には「発展途上国の飢餓防止に向けたバイオ技術の活用について話し合う」と称し、世界120ヵ国から400人以上の政府代表者をカリフォルニア州のサクラメントに招集(EU諸国は不参加、日本は無論参加)、「農業科学技術閣僚会議」なるものを開催した。この会議、名目は「発展途上国の飢餓防止」となっているが、本音は途上国、特に主要輸出先のEUの規制のために慎重姿勢をとるアフリカへの遺伝子組み換え作物の押しつけ。
主催者の米農務長官は開幕の演説で、「約8億人の慢性的な飢餓人口を半減させるという世界食料サミットの目標に『深刻な遅れが出ている』と指摘、『科学技術の活用で農業生産性を高めることができる』と訴えた」そうだが、これまで遺伝子組み換え作物で収量が減ったというデーターこそあれ、収量が増えたというデーターは皆無。どちらが「非科学的」かは言わずもがな。ちなみに、会場周辺では遺伝子組み換え作物に反対する1500人のデモが繰り広げられ、11人が逮捕された。
一方、米モンサント社は、カナダで遺伝子組み換え小麦の栽培を目論んでカナダ政府に圧力をかけ、生産者や輸出当局の猛反発をくらっている。モンサントは現在、カナダ政府の管理の下に制限付きで試験栽培できるが、この制限の緩和を要求している。生産者らは「あらゆる手段で対抗する」と、一歩も譲らぬ構え。
 世界のあらゆる領域で「唯我独尊・力」をゴリ押しするブッシュ政権の度し難さはどこまで・・・?
国連査察団 米に極秘の反論文書 3項目は未検証のまま最終報告に
2月5日にパウエル米国務長官が国連で示した「証拠」について、UNMOVICは国連査察団としての見解をまとめ、7日には米政府に極秘に提示していたことがわかった。その極秘文書では、パウエル長官の「証拠」について、「明確な証拠は提示されていない」「禁止行為は起きていない」などと指摘。パウエル長官が「長距離ミサイル用」としたエンジン実験台について「地上査察を5回も行い確認したが、これは未完成で使用できない」と結論付けている。また、UNMOVICが行った3月7日の最終報告には、@移動式の生物・化学兵器の研究施設A地下に隠された研究施設B距離500キロ以上飛行可能な無人偵察機−について未発見のまま「存在の可能性がある」と報告の中に盛り込んだ。
 ブリクス前委員長は、極秘文書や米国との調整を否定している。同前委員長は今になってしきりに米国批判を行っているが、曖昧な態度を取りつづけた自らの責任も大きいと思われる。
パレスチナ―「ロードマップ」とりあえず動き出す
 アッバス自治政府首相とパレスチナ主要武装組織のファタハ、ハマス、イスラム聖戦との間で27日、対イスラエル攻撃を停戦することで合意。ハマスとイスラム聖戦は共同で29日、イスラエルへの攻撃を3ヵ月間停止すると正式に宣言した。ファタハも同日、イスラエルへの攻撃を6ヵ月間停止すると発表した。それぞれ拘束パレスチナ人の釈放や、アラファト氏に対する包囲の解除、暗殺・逮捕・国外追放の停止、イスラム教とキリスト教施設への攻撃の停止、00年9月28日以前の地点までの軍撤退−などを求めている。
 これを受けてパレスチナ自治政府とイスラエルは27日夜の治安協議で、イスラエル軍がガザから撤退し、代わりに自治政府が治安責任を負うことで基本合意した。イスラエル軍は30日、ガザ地区北部から撤退を開始した。また、ヨルダン川西岸のベツレヘムとその周辺の町から2日、撤退を開始した。しかし、ガザ地区中南部の駐留は続けており、ベツレヘムの封鎖も続けている。
 アッバス首相とシャロン首相は1日、首脳会談を行い、ロードマップに定められた課題を協議するために、四つの合同委員会を設置することで合意。合同委員会では、@治安維持A政治犯の釈放B物資の流通C扇動活動の停止、のテーマをそれぞれ取り上げる。とりあえず、ロードマップの第一段階が動き出した。しかし、米政府はハマスなど武装組織の解体が目的であると強調しており、それに固執する限り公平な仲裁者にはなりえないであろう。
米、日本にイラン最大級の油田開発からの撤退圧力
 18日付の英経済誌フィナンシャル・タイムズは、米政府がイラン最大級のアザデガン油田の開発から日本が撤退するよう圧力をかけていると伝えた。アザデガン油田開発は総額20億ドルの大型プロジェクト。確認されている埋蔵量は260億バレル。日本は、日本のアラビア石油が持っていたサウジのカフジ油田の採掘権益が2000年に失効したため、新たな油田確保をめざしている。パウエル米国務長官がASEAN地域フォーラムのときに川口外相に、イランの核開発疑惑を理由に、同油田開発の契約を少なくとも9月まで延期するよう求めた。
加工食品の原産地表示 原料50%以上に義務
 農水省と厚生労働省は、主な原材料の割合が50%以上の加工食品について原料原産地の表示を義務付ける方針を固めた。納豆や緑茶、ハム、果実飲料などが対象になる見通し。表示義務化の要件には、主な原材料割合のほか@加工の程度が低い、A原材料の調達先が海外も含め多様である、ことも盛り込む。小麦粉や豆腐、乾燥野菜・果実、うどん、もち、あん、農産物缶・瓶詰なども対象になりそう。現在、加工食品の原料原産地表示は農産物漬物、野菜冷凍食品、塩干し魚類(アジ、サバ)、ウナギ加工品、塩蔵ワカメ、乾燥ワカメ、カツオ削り節の8品目で義務付けられている。

<統計・数字から>
◇JR西、駅員に契約社員 今年度200人 大型駅中心に 窓口に契約社員 改札3000人順次
◇製造業の海外生産比率 過去最高の16.7% 2001年度
◇老舗の看板、不況に勝てず 倒産企業の26%、 設立後30年以上 1-5月
◇世界の軍事費 昨年6%増 米10%増で世界全体の43%
◇消費税増税64%「反対」 朝日世論調査 若者・女性強い抵抗
◇日本企業海外利益46%増 米国堅調 欧州も急増 前3月期519社で3兆円 依存一段と
◇サービス残業急増 半年で22億円払う 都内66企業 東京労働局が指導
◇勤労者福祉1507施設売却額 建設費の0.4%7億円 795ヵ所は1万5000円以下 雇用・能力開発機構自治体払い下げ
◇創価学会、韓国で急伸 会員120万人 総人口の2.6% 市民運動進め浸透
◇青少年の失業率上昇 15-19歳:前年比0.6ポイント増12.8% 20-24歳:0.3ポイント増9.3% 25-29歳:0.4ポイント増7.1% 青少年白書 高失業化を懸念
◇共働き増え外食依存 エンゲル係数上昇基調 第一生命経済研調べ 家計の厳しさ映す
◇株含み損350億円 取得機構3月末時点で 国民負担70億円 民主党試算
◇顧客情報56万人分が流出 ローソン 会員カードから
◇失業率5.4%横ばい 5月 近畿は7%に高止まり 消費者物価指数6月も0.4%下落 京阪神地区は0.6-0.7%下落

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