§北朝鮮情勢−強硬姿勢強める米政府§

◇4月の3者協議での北朝鮮の提案 全容判明
 4月23−25日に北京で行われた米朝中3者協議の席上で、北朝鮮は核廃棄に応じる条件として、@米国による不可侵の確約A米朝の外交関係の開設B日韓両国からの経済支援の米国による保証C軽水炉計画の遅れを米国が補償し、軽水炉を完成−との4条件を提示した。その上で、1994年の米朝枠組み合意の完全履行を基本とした4段階の具体的な進め方−第一段階で、昨年12月に米国が凍結した重油提供を再開し、日米韓が人道的な食糧支援を行えば、「核開発計画を断念するとの意図を表明する」。第二段階で、米国と北朝鮮が不可侵条約を結び、軽水炉の遅れに対する損害補償を始めれば、「核施設を凍結し、査察を受け入れる」。第三段階で、米国および日本が北朝鮮と外交関係を開設すれば、「ミサイル問題を解決させると表明する」。第四段階で、KEDOが建設中の軽水炉が完成した後に、「核施設を完全に廃棄する」−を提案していたことが明らかになった。
 この北朝鮮側の提案に対して、日韓両国が米国に対し対案作りを強く働きかけている。13日に開かれた日米韓3ヵ国調整会合(TCOG)で外務省の藪中アジア大洋州局長は「北朝鮮との対話を続ける意味でも北朝鮮に日米韓の対案を提示すべき」と述べ、多国間協議が実現した場合を想定し、北朝鮮に対する要求項目と、日米韓が提供できる支援項目などの大まかな案を米韓両国に示した。韓国は現在独自の対案作りを進めているが、米国は「北朝鮮と交渉はしない」「核放棄に褒美は与えない」との姿勢を崩していない。

◇米国 安保理議長声明採択目指す
 米国は安保理議長声明採択を目指して20日、決議案を5常任理事国に提示。しかし、23日と7月2日の2回にわたって行われた常任理事国の非公式協議では、中露が「時期尚早」として声明採択に反対。継続協議になっている。日韓も本音では「時期尚早」として難色を示している。議長声明採択の動きに対して、北朝鮮の白外相は安保理議長あてに26日付の書簡を送付し、こうした動きを牽制すると共に、「4月の朝中米協議に続くものとして、まず米国との2国間協議が行われるべきで、その後3国や多国間協議に広げればいい」との姿勢を示した。

◇米国 KEDO事業中止方針を示す
 米国は27日、KEDOが北朝鮮で建設している軽水炉型原発について、建設事業の中止を求める方針を明らかにした。日韓が反対してもブッシュ政権の方針に変更はないとの考えも示した。この問題で、日米韓3ヵ国の外務省局長級の非公式会合が2日、米国務省で開かれ、日本は折衷案としてKEDO一時停止案を提案、韓国はこれに同意せず保留した。韓国は、4月の米朝中3者協議時に北朝鮮が示した提案に対する「新たな提案」を示して、対話に備えるよう主張。結局2、3の2日間にわたる協議で結論はでなかった。

◇米国 臨検「連合」を構想 日欧豪など11ヵ国中核
 米政府は、北朝鮮やイランなどによる大量破壊兵器やミサイルの輸出を封じ込めるため、国際的な船舶・航空機の臨検体制の強化を目指す方針を固めた。@日米欧豪など11ヵ国を中心に、それぞれの現行法に基づく不審船の臨検や違法取引の摘発をする「有志連合」をつくるA中国、ロシアと協議し、国連制裁決議などをてこに「より強力な行動」を可能にする「新たな権限と枠組み」の構築を模索する−という2段階で進める構想。

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