§止まらぬ雇用情勢の悪化§
◇残業は増えても 月給は大幅減
厚生労働省が発表した02年度の毎月勤労統計調査によると、月平均の現金給与総額は前年度比2.1%減の34万3125円と、2年連続で減少。下げ幅は過去最大となった。給与が減少する一方で労働時間は、残業時間が3.1%増の9.7時間、景気動向の指標となる製造業の残業時間は11.0%増の14.0時間と、いずれも2年ぶりに増加した。雇用形態では、正社員が1.8%減の3354万7000人と5年連続で減少し、最大の減少幅を記録。一方、パート労働は3.6%増と増加傾向が続いている。
◇パート比率21.2%に
経済産業省が発表した2001年度の企業活動基本調査速報によると、常時従業者に占めるパートの比率は、前年度比1.1ポイント増の21.2%、企業が受け入れた派遣労働者の合計も同5.3%増の約24万9000人と大幅に増加。調査は従業員50人以上で資本金3000万円以上の企業約2万7000社を対象に昨年6月実施。
◇失業率最悪の5.4% 全国の2002年度
総務省が発表した2002年度平均の完全失業率は5.4%と前年度比0.2ポイント上昇、1953年の調査開始以来最悪の水準を更新。男女別の完全失業率は男性が5.6%と前年度比0.3ポイント上昇、女性は5.1%と同0.2ポイント上昇。男女ともに年度ベースで過去最悪の水準を更新。内訳は、倒産・解雇や定年退職などの「非自発的失業者」が153万人と34万人増えた。
同時に発表した3月の完全失業率も5.4%と前月を0.2ポイント上回った。完全失業者数も前年同月比で5万人増え、過去最多の384万人に。
近畿2府4県の3月の完全失業率は前年同月比0.4ポイント上昇し、過去2番目に高い7.5%。完全失業者は前年同月比4万人増の79万人。厚労省発表の有効求人倍率は3ヵ月連続で上昇しており、雇用のミスマッチが顕在化している。
◇上場48社が早期退職募集 今年1-3月
東京商工リサーチによると、今年1月から3月までに希望退職や早期退職の募集を新たに開始した上場企業は48社。うち募集・応募人員が100人以上となったのは21社で、最多はNTTグループの700人、次いでアンリツの583人、ミツミ電機グループの500人など。
◇倒産高水準1万8900件 昨年度
帝国データバンクが発表した2002年度の全国企業倒産集計(負債総額1000万円以上)によると、倒産件数は1万8928件(前年度比5.6%減)と、バブル崩壊後2番目、戦後4番目の高水準。上場企業の倒産は22件と、過去最悪だった前年度(21件)を上回った。一方、負債金額は13兆3099億円(前年度比17.5%減)と、過去最悪だった2000年度のほぼ半分に減った。
◇厚生年金 パートの加入枠拡大 年収65万以上に適用
厚生労働省は22日、パートタイムの厚生年金加入基準緩和や、専業主婦に負担を求めるなどの年金見直し案を社会保障審議会年金部会に提示した。加入基準緩和は、「労働時間が正社員の4分の3以上」を「週の所定労働時間が20時間以上または年収65万円以上」に。
◇貿易黒字4年ぶり増加 対中輸出伸び39%
財務相が23日発表した2002年度貿易統計速報では、貿易黒字が前年度比36.6%増の9兆6795億円と4年ぶりに増加に転じた。対米輸出が2年連続減少する一方、対アジア輸出が軒並み急増し、特に中国向けが39.3%伸びた。輸入では、中国が米国を抜き最大相手国となった。
◇文科相が中教審に義務教育改革諮問へ 就学時期の弾力化検討
諮問は「今後の初等中等教育改革の推進方策について」と題される予定で、(1)義務教育など学校教育制度のあり方(2)教育課程と指導の充実や改善の方策−が柱となる。「就学時期の弾力化」は、首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」で議論されたもの。5〜7歳の幅で入学時期を判断できるようにすることを求める意見が出たが、エリートの選別につながるとの批判もあり、2000年12月の最終答申には「さらに検討する必要がある」とされた。
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