ひとくちメモ--2003/05/01号--

防衛庁方針「基盤的防衛力構想」見直し
  防衛庁は19日、「基盤的防衛力構想」を抜本的に見直す方針を固めた。専守防衛は堅持しつつも、弾道ミサイルや武装工作船、大規模テロなどの「新たな脅威に対抗する」ことをより鮮明に打ち出す。今年末の新大綱策定をめざすが、北朝鮮の弾道ミサイルを念頭に、敵基地攻撃能力の保有なども論議になる可能性もあり、そうなると専守防衛が骨抜きにされる可能性もある。
防衛庁 自衛官募集で住民基本台帳から個人情報 多数の自治体が協力
 防衛庁が自衛官などの募集のため、満18歳を迎える適齢者の情報を住民基本台帳から抽出して提供するよう、全国各地の自治体に37年間にわたって要請し、多数の自治体が応じていたことが明らかになった。家庭環境や健康状態などのプライバシー性の高い情報も提供していた例も。この件で、衆院個人情報保護特別委員会で23日、防衛庁の適齢者情報収集問題について、石破防衛長官が内部調査の結果を公表した。適齢者情報を提供していたのは794市町村、住民基本台帳法で閲覧が認められている4情報以外も提供したのは332市町村だったことを明らかにした。
民主 有事関連法対案を国会に提出
 民主党が4月30日、「緊急事態対処基本法」と武力攻撃事態対処法案の修正案を国会に提出した。民主党の枝野政調会長は、「与党から修正協議があれば応じると」と述べている。「思想及び良心の自由は絶対的に保障」「報道の自由、表現の自由を侵してはならない」「国民の協力は自発的意志に委ねられなければならない」「権利制限に伴う特別な犠牲には正当な補償がおこなわれなければならない」など6項目を列挙した。また、「重要事項の決定は、国会の関与が保障されなければならない。原則として国会の事前承認をえなければならない」「国会が措置の中止を求めたときは、中止されなければならない」などを盛り込んだ。緊急事態として「武力攻撃」のほかに、「テロリストによる大規模な攻撃」「大規模自然災害」等を規定し、政府案にはない「危機管理庁」の新設を提唱している。
 政府・与党が修正協議に応じるかどうかは未定であるが、野党第一党の民主党が法制化に向けた土俵に乗ったことにより、5月中にも有事法制が可決される可能性が高くなった。
EU独自の「防衛同盟」提案4カ国首脳会議共同声明
 イラク戦争に反対した仏・独・ベルギー・ルクセンブルクの4ヵ国首脳会議が29日行われ、「欧州安保・防衛同盟」の創設を提案する共同声明を発表した。EU部隊による平和維持活動などの調整・実施にあたる司令部を2004年までに設置するほか、核・生物・化学兵器対策や空輸能力の強化などを提案した。ユーロ導入時と同様に、希望し準備の整った国から順次参加する方式で運営。EU憲法草案に盛り込むよう求めた。武器調達を効率化するため、EU共通の武器開発・調達機関を創設し、コスト削減や相互運用度の向上、欧州防衛産業の競争力強化を目指すことも提唱。NATOに対抗する狙いはないとしているが、米国や英国は反発を強めている。
米朝中3者協議 北朝鮮、核兵器保有を公表
 23日から25日までの3日間、北京で米朝中の3者協議が行われた。初日の23日、北朝鮮代表の李根・外務省米州副局長が米代表のケリー国務次官補に対し、核兵器を複数保有していることと使用済み核燃料の再処理を完了したことを伝えた。一方で、北朝鮮は一括解決方式として、米国が敵対的な政策を放棄することを条件に、@核政策の放棄、A弾道ミサイル発射実験の一時停止、Bミサイル輸出の停止、C核査察官の受け入れ−を申し出た模様。パウエル米国務長官は28日、「北朝鮮側は、核開発の能力とミサイル実験について、相当な見返りを期待した上で、最終的に取引に応じるとの提案をしてきた」ことを認めた。北朝鮮側は、条約という形式でなくても、何らかの文書の形で不可侵の約束を求めている模様。米国は、北朝鮮側の提案について、現在検討中として今後の対応は明らかにしていないが、北朝鮮が核を全面放棄した後にしか取引に応じないという姿勢は変わっていない。
 3者協議の直後の27日からは、3日間の日程で、第10回南北閣僚級会談が平壌で開かれた。3者協議の直後で注目されたが、最終日の29日、合意文の核問題の表現をめぐって折衝が続けられ、「核問題は、南北が対話を通じて平和的に解決するために今後も協力していく」などとする6項目の合意文をまとめた。
統一地方選後半戦行われる
 市長選の平均投票率は57.00%で戦後最低。109の市長選のうち69市で戦後最低の投票率に。市議選も56.74%で戦後最低。市議選当選者数は、▽自民809(改選前881)▽民主292(301)▽公明1140(1117)▽自由11(5)▽共産939(1033)▽社民239(295)▽保守新0(−)▽諸派92(117)▽無所属6711(6948)。

 定数が全体で450以上減っている中で、公明党の23議席増と自由党の6議席増は,
都道府県議選に引き続いて健闘。投票率が軒並み低い中で、組織票の堅い公明党の強さが出ている。一方、同じく組織票の堅いと思われる共産党が都道府県議選に引き続き、94議席減と大幅に議席数を減らした。社民党も56議席減で過去最低に。左派の大幅後退となっている。民主党は9議席減にとどまっており、定数減からみると前半戦同様復調基調。自民党は72議席減で過去最低を更新。これはこの間続いている傾向で、無所属のなかには自民党から立候補していないだけの自民党と変わりない保守系議員も多いので、一概には評価できない。地域政党の中では、前回11人を上回る14人を当選させた神奈川ネットワーク運動が健闘している。沖縄県宜野湾市では、米軍普天間飛行場の「5年以内返還」「県内移設反対」を掲げる革新系候補の伊波洋一氏が当選した。伊波氏は民主、共産、社民、沖縄社会大衆党の推薦。昨年の県知事選で崩壊していた「革新共闘」の復活が実現。
日本の農産物輸入依存世界一
 農水省がまとめた「農林水産物貿易レポート2003」によると、日本の農産物純輸入額(輸入額マイナス輸出額)は、1984年以降、世界第一位を続けているだけでなく、拡大傾向で推移。農産物貿易収支を2000年の金額でみると、純輸入額では日本が346億ドル、開発途上国合計が85億ドル。一方、純輸出額では南米が215億ドル、オセアニアが179億ドル、北米が158億ドル。日本の純輸入額は、北米とオセアニアの純輸出額合計を上回る巨大な規模。

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