§北朝鮮情勢§
◇3月上旬に中国共産党代表団が訪朝 金総書記訪中へ調整
中国共産党代表団が3月上旬に訪朝し、「核」問題打開のため、北朝鮮政府幹部と協議した。米国が主張する多国間協議の実現可能性や、金総書記の訪中などを巡って、調整が行われたと見られる。中国は、北朝鮮からの訪中要請と新指導部との会談要請を、「多忙」を理由に難色を示してきていた。また最近、北朝鮮への重油供給を3日間停止するなど、事態打開に向けた「警告」を与えていた。中国が金総書記の訪中受け入れの方向で調整に入ったのは、多国間の枠組みを背景に、米朝が直接対話を行う方法で「核」問題の妥協点を見出せるとの判断があるものと思われる。
◇米朝、水面下の協議続く 多国間協議の枠内での米朝対話方式が浮上
米国は3月上旬、中国を通じて「5プラス5(常任理事国と関係5カ国)」の多国間協議開催を北朝鮮に提案し、米朝2国間協議には応じない姿勢を示してきたが、水面下では接触を続けている模様。
米国のプリチャード朝鮮半島和平協議担当特使と北朝鮮の韓成烈・国連代表部次席大使が3月31日に、ニューヨークで会談。昨年10月のケリー米国務次官補が平壌を訪問して以来、初めての高官接触となった。その直前28日に、韓国の尹永寛・外交通商相が訪米しパウエル国務長官と会談し、「72年のニクソン大統領の訪中のような大胆な政策が北朝鮮を変える」として、米朝の直接対話を求めた。そして、多国間協議の枠組みを作った上で、北朝鮮が求める米朝2国間協議を始めるという「ロードマップ(行程表)」を示した。31日の非公式会談で、この「ロードマップ」についても意見を交わした模様。日経新聞は、米政府当局者が、「核」問題の決着に向けて、米朝日韓中露による「6カ国協議の開催」を正式に申し入れたと書いている。北朝鮮は接触の継続に意欲を示したという。
同じ31日、アーミテージ米国務長官は読売新聞との会見で、多国間協議について「米国と北朝鮮の2国間協議でないことがはっきりし、あらゆることが協議できる国際的枠組みであれば、規模や形にはこだわらない」と述べた。さらに、複数のルートで北朝鮮と接触していることを認めた上で、「北朝鮮の反応を待っている」と述べた。
4月中旬に、チェイニー副大統領が訪中し、胡錦涛国家主席と会談し、北朝鮮に多国間協議に応じるよう要請する方針とのこと。上記の中国の動向をあわせて考えると、多国間協議の枠内の米朝対話方式が動き出す可能性がある。
◇北朝鮮「核」問題 安保理で9日に協議
安保理は2日、北朝鮮の核開発疑惑に関する非公式協議を9日に行うことを決めた。この問題で安保理が協議するのは、2月19日に短時間行って以来、2回目。北朝鮮がNPT脱退を表明して10日で3ヵ月となり、NPTの規定上、10日を過ぎると北朝鮮の脱退は法的に成立する。議長国のメキシコが、期限切れ前の協議開催を決めたと説明した。
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