<<特集>>ブッシュ政権、国際世論踏みにじりイラク攻撃開始
この間、ニュースクリップでもイラク情勢を中心にフォローしてきたが、ブッシュはついにイラクに対する戦争を開始した。編集部では今号で緊急抗議声明を掲載した。引き続き、イラク情勢に注目していきたい。
◇米国内でのイラク攻撃反対行動(開戦前)
全米各地の大学生、高校生数万人が5日、全国で一斉デモを繰り広げた。全米若者学生平和連合が呼びかけた。参加した学校は350校で、昼休みや授業を抜け出て学校のキャンパスや近くの広場で抗議した。ワシントン・スクエアには200人が集まってピースサインの人文字を作った。米労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)は安保理の支持を得ない武力攻撃反対決議を上げた。同労組はベトナム戦争のときは戦争を支持した。サンフランシスコやニューヨーク、シカゴ市議会で反戦決議が上がっている。反戦決議を採択した米国の都市は約140都市に。
◇東南アジア各地でも反戦デモ(開戦前)
パキスタンのラワウピンディで9日、数十万人のイラク攻撃反対デモが行われた。インドネシアのジャワ島スラバヤでも9日、約50万人のイラク攻撃反対の集会が開かれた。
◇安保理外相級会合で査察委員長報告
ブリクスUNMOVIC委員長とエルバラダイIAEA事務局長は7日、安保理で3ヵ月にわたる国連査察の報告を行った。ブリクス委員長は「生物・化学兵器の証拠は発見されていないが、大量破壊兵器の廃棄についての成果は非常に限定されている」との判断を示しつつ、武装解除に関する未解決の問題29項目を列挙した。また、2月14日の追加報告から1ヵ月の間に、ミサイル「アッサムード2」の廃棄や、イラク人科学者に対する政府関係者の立会人なしでの事情聴取など、イラクの協力に進展があったことを口頭で説明。「査察にはまだ数ヵ月必要」として、間接的ながら査察継続を求めた。
エルバラダイIAEA事務局長は、核開発を進めている証拠は発見されなかったと報告。さらに数ヵ月あれば査察は完了すると述べた。
◇米 イラク攻撃開始
米・英・スペインは7日に新決議の修正案を安保理に提出し、イラクに対して17日を武装解除の最終期限とした。この修正決議案に対して、仏・独・露・中・シリアの5ヵ国は査察の継続を求めた。仏は拒否権の行使もちらつかせながら、武力行使容認のための修正決議案に最後まで反対した。非常任理事国6ヵ国やカナダが妥協案を提示したが、米国はこれを一蹴した。結局、修正決議案を支持したのは提案国の3ヵ国とブルガリアの4ヵ国にとどまった。米・英・スペインの3ヵ国首脳は修正決議案の採択の見通しが立たなくなったことを受けて16日、大西洋のアゾレス諸島で対応を協議。その結果17日に修正決議案を取り下げ、米国はイラクに対して48時間の猶予を与える最後通告を宣言。最後通告の期限切れ直後、日本時間20日の昼前にイラクに対する攻撃を開始した。
◇トルコ 米軍駐留承認、国会に再提出せず
1日に国会で米軍駐留の提案を拒否したトルコでは、エルドアン新首相の就任に伴って駐留提案が再提出されるものと思われていたが、結局、米軍の領空通過のみを認める提案を19日に国会に提出した。空軍基地使用は提案しなかった。これで、米国によるトルコの基地を使った作戦は不可能になった。
|