ひとくちメモ--2003/03/01号-- |
チョムスキー「イラク攻撃による世界の不安定化がブッシュに好都合」 |
エコノミスト2月4日号は、米国で反戦平和運動の先頭に立って来たノーム・チョムスキーMIT教授のインタビューを掲載しており、それを一部抜粋して紹介します。聞き手は川崎・毎日新聞北米総局長。(渡邉) ―21世紀の初頭、「9.11」後の国際社会は、米国のユニラテラリズム(単独主義)の強まりもあって、ひどく不安定な状況になっていると思いますが。 ブッシュ政権が今、国内でやっていることは、20年前と変わらない。レーガン政権は軍事支出を高水準で維持するため、それ以外の社会的支出を削減した。労働者の給料は沈滞し、労働時間は延びる。健康保険すらない状態のなかで、金持ちはますます裕福になり、普通の人々は敵から守ってくれる強力な指導者の傘の下で、恐怖に身を寄せ合って暮らさざるを得なかった。 そんな政策をとっていれば、この国は緊張状態であり続ける。選挙には有効だろう。しかし、それは安全保険に偏重した抑圧でしかない。国民を管理するための反動的でどぎつい方法だ。 ―もし攻撃が現実のものとなれば、どんなことが懸念されるのでしょうか。 イラクは確かに劣悪な状況だ。しかし、すぐに何とかしなければならないほど深刻なものではない。独裁者は排除する必要がある。ただし、それは自国の人々によってなされなければならない。それを助けることはできても、限られている。 大量破壊兵器はとても危険なものだ。私自身の疑いで言えば、イラクのどこかに大量破壊兵器はあると思う。ただし、それは査察と武装解除を通じて除去されるべきものだ。90年代には査察が極めて有効で、爆撃によるよりも多くの兵器を破壊することができた。 今、イラクを攻撃すれば、おそらく大量破壊兵器の拡散をさらに助長することになるだろう。例えば、北朝鮮の教訓は世界にとって不幸なものだ。「米国から自国を守りたければ大量破壊兵器を持った方がいい。そうでないと、ただ攻撃されるだけだ」と考える国が出てくる。 別の教訓は、テロリズムへの依拠だ。イラクと(アルカイダのような)テロリスト集団との関係はCIA(米中央情報局)でも指摘できていない。しかし、イラクを攻撃すれば、テロリストとのコネクションができてしまうだろう。不安定な状況が増大する余地はまだある。もっとも、ブッシュ政権はそれには反対しないだろう。不安定な状況は、権力を維持し、国内を支配して、反動的政策を実施するために好都合だからだ。 |
米経済、軍需依存強まる 国防支出 昨年35年ぶり伸び率 テロ防止策やイラク戦準備 |
米国経済が軍需への依存を急速に強めている。テロ対応と対イラク戦争の準備から、2002年の国防支出は前年比9.3%増と、ベトナム戦争下の67年以来35年ぶりの高い伸びを記録、今年は更に増えることが確実。政府の実質国防支出は同時テロ直後の2001年10-12月期から増加。アフガニスタンでの作戦やテロ防止策、イラク攻撃に備えた戦闘機やミサイルの調達などにより、昨年10-12月期の支出は前期比11.2%増。それにより、ロッキード社は昨年10-12月期の売上が6%増、グラマン社も17%増で、軍需の恩恵は化学、ハイテク産業などに幅広く及んでいる。 |
米政府研究開発、ハイテク軍事に傾斜 対テロ技術31%増 環境対策しわ寄せ 来年度予算 |
ブッシュ政権が政府主導の研究開発で、軍事関連のハイテク研究に傾斜する姿勢を強めている。2004年度予算教書によれば、軍事関連の研究開発費は前年度比9.1%と急増、米政府の研究予算全体の55%を占める見通し。一方、環境保護局の研究開発予算は11.2%減少するなど、非軍事の研究開発にしわ寄せが及んでいる。 |
中教審最終答申案素案 教育基本法「国を愛する心」など8項目盛る |
新たに規定する理念は、@個人の自己実現と個性・能力の伸長、創造性の涵養A感性、自然や環境とのかかわりB社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神、道徳心、自立心の涵養C日本の伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養D生涯学習の理念E時代や社会の変化への対応F職業生活との関連の明確化G男女共同参画社会への寄与。「前文」を残して、前文か条文にそれらの理念を盛り込む方針。「宗教的情操の育成」の条文への明記は見送っている。3月下旬に最終答申をまとめる予定。 一方、中教審の審議に不審を抱かせる事態が。教育基本法の改正を審議している中教審の審議官に1月10日まで文科省の事務次官だった小野元之氏が2月1日付で就任。同時に同日、同省の特殊法人理事長に天下った。諮問した側の事務局トップが審議をするとは。文科省の担当者らは、「教育基本法の答申まであと2ヵ月程度。審議の充実を図るため」と弁解。 |
食品安全関連8法案、国会に提出 |
食品安全委員会の創設を中心とする関連8法案が国会に提出された。食品安全委員会を内閣府に置き、専門家が食品の健康への影響を評価、対策をとることになる。 ◆食品安全委員会の構成 食品安全委員会(委員7人・専門家)―*毒性学*微生物学*有機化学*公衆衛生学*食品の生産・流通システム*消費者意識・消費行動*情報交流 専門調査会(専門委員のべ200人)―*企画*リスクコミュニケーション*危機管理*化学物資系評価グループ*生物系評価グループ*新食品など評価グループ 事務局―*事務局員54人*技術参与25人 ◆食品安全委に諮られる主な事項 *使用可能な食品添加物の指定(厚)*残留農薬、乳製品、容器包装などの企画基準設定(厚) *農薬登録時の基準設定(環)*使用可能な飼料添加物の指定(農)*動物用医薬品の承認(農) *家畜の病気の届け出対象の設定(農)*水道の水質基準設定(厚)*農用地の土壌の有害物資 指定(環)*ダイオキシン類対策特別措置法に基づく許容量の設定(厚・環)*BSE対策特別措置法に基づく検査対象と危険部位の設定(厚)〔カッコ内は所管〕 日本消費者連盟などは、政府の安全委には消費者代表が入る見込みがないことなどから、独自にリスク分析をして政府や産業界に提言・勧告する組織「市民食品安全監視委員会(仮)」を今春、設立する予定。 |
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