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《特集》切迫するイラク情勢、戦争回避の動きも活発化◇国連想定 イラク攻撃50万人負傷米国がイラク攻撃に踏み切った場合、イラク国内で50万人が負傷し、難民200万人を含む1000万人に食糧・水を供給しなくてはならないとする国連の内部文書が明らかになった。 ◇27日の国連査察報告公開へ 米国連代表部筋は、27日の安保理への査察報告は傍聴が可能な公開で行われると明らかにした。その後、29日に安保理の非公開会合を開き、実質的な協議を行う予定。非同盟諸国会議グループ議長国の南アフリカが7日、公開書簡の形で査察報告の全加盟国への公開を訴えていた。 ◇国連査察団 安保理へ中間報告 決定的証拠ない UNMOVICとIAEAは9日、安保理に対し2回目の中間報告。ブリクス委員長は「イラクの申告書は疑問に答えていない」としながらも、「現地でかつてない規模で査察を実施してきたが、決定的証拠は見つかっていない」と述べた。国連査察団は、これまで230ヵ所以上の施設を抜き打ち査察。米英がイラクの大量破壊兵器開発の証拠を持っているとしながら査察団に情報提供しないのに対して、他の常任理事国から非難の声が高まっている。 ◇ローマ法王 米のイラク攻撃計画非難 ◇対イラク攻撃 EU内で慎重論強まる 今年前半のEU議長国のギリシャ首相は「戦争回避に向けてあらゆる手段をとる」。ソラナEU外交安全保障上級代表も「違反の証拠なしに開戦は難しい」と繰り返し表明。パッテンEU対外関係担当委も「国連承認なしの米単独攻撃の場合、イラク復興資金のEU拠出は無理」。仏のドビルパン外相は、安保理メンバー国に「米英にイラク関連の秘密情報開示を求める」と書簡を出し、米国の独走にクギ。仏国内の世論調査は76%が開戦反対で、仏軍の参加に賛成が34%から19%に急落。英国の世論調査でも、国連の承認なしでのイラク攻撃には7割が反対。また、英労働党支部長に対する調査でも89%が新安保理決議なしの攻撃に反対。攻撃に参加した場合、相当数の有力閣僚が辞任する可能性も出てくる中、ブレア首相の発言もぶれ始めている。「イラク問題について、国連を通じて取り組む」という一方、13日の会見では再び「必要なら米英だけの武力行使も辞さない」と述べた。 ◇27日以降も査察継続の状況 16日、エルバラダイIAEA事務局長は査察期限を数ヵ月延長するよう国連安保理に求める方針を明らかにした。UNMOVICも共同提出する見通し。UNMOVICのブリクス委員長とシラク仏大統領が17日に会談。ブリクス委員長は、国連安保理に査察の報告を行った後も査察を継続し、3月に第2報告書を作成する意向を表明。シラク大統領は、査察延長に強い支持を表明。ブリクス委員長は同日、ブレア首相とも会談し、査察の継続を求めた。 ◇米英のイラク攻撃準備は着々と進む 病院船「コンフォート」が6日、インド洋ディエゴガルシア島に向けて出港。同病院船は生物・化学兵器に対応した設備も持つ。米中央軍は7日、イラク攻撃時の前線司令部になるものと思われるカタールのアッサイリヤ基地に中央軍司令部要員を派遣すると発表。2月中下旬までに15万人以上が展開する見通し。15日には、NATO大使級理事会で、米国がイラク攻撃を決定した場合、NATO同盟国の政治的支持と軍事的支援を提供するよう正式に要請。NATOは軍事支援について本格的な協議を始めた。英国も、フーン国防相が7日、空母や駆逐艦で構成される機動部隊と海兵隊3000人を湾岸地域へ派遣し、予備役も1500人召集すると議会で表明。また、英タイムズ紙は、英地上軍3万人、海・空軍合わせて3万8000人派遣の可能性があると報道。 ◇トルコがイラク攻撃回避へ積極外交 1月下旬に周辺国会議を開催 16日、トルコのギュル首相が今月下旬にシリア、ヨルダン、エジプト、イラン、サウジアラビアの5ヵ国を招き、イラク情勢について協議すると発表。同首相はイラク攻撃回避に向けて積極外交を展開しているが、トルコは米財務省代表団から最大280億ドルの経済支援を取り付け、実質的にイラク攻撃を容認しているとの見方が一般的。 ◇国連査察団 化学兵器用の空弾頭11発やウラン濃縮文書を発見 ◇米「ANSWER」呼びかけ 世界各地で反戦の声 18日、米の反戦団体「ANSWER」の呼びかけに応えて世界各地でイラク攻撃に反対する反戦集会。米では、首都ワシントンで主催者発表50万人集会(警察発表10万人より多い)、サンフランシスコでも10万人集会。仏では、パリで2万人(警察発表6000人)が集まり、40の町で集会があった。日本では東京で7000人の集会のほか、30の都市で集会。 ◇日本 イラク攻撃側面支援 ヨルダンに360億円 周辺国支援の柱に 日本政府は19日、中東和平とイラク復興の鍵を握るヨルダンに対して、複数年で3億ドルのODAを実施する方向で検討に入った。 ◇UNMOVIC委員長とIAEA事務局長 バグダッドへ 両代表は19日にバグダッド入り。イラク政府との2日間にわたる直接の協議で、申告書への疑問に回答することや、科学者への査察団単独での事情聴取、イラク自身が化学兵器用弾頭の調査チームを作り報告する−などに合意。 ◇米英首脳31日会談予定 イラク問題協議 |
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