一口メモ--2002/10/16--

BSE対策「国産牛買い取り」悪用疑惑 本命ハンナンに捜査の手!?
 雪印食品から日本ハムと続いたBSE対策の国産牛買い取りをめぐる不正、業界や一部マスコミでは、鈴木宗男と組んで今回の国の買い上げをゴリ押しした「食肉業界のドン」ハンナングループ総帥・浅田満が疑惑の「本命」であることが以前から指摘されてきた。が、食肉業界の背景にある部落差別にかかわる「同和タブ−」に阻まれ、真相は闇の中。
 ところがここにきて、ハンナンへの包囲網が狭まりつつある。10月初旬、東京地検が別件の「東京商銀事件」で浅田を参考人聴取したのに続き、9日には農水省が浅田らを筆頭とする業界の猛反対を押し切り、買い取り全企業を公表したのだ。それによると、浅田が会長・副会長を努める「府同和食肉連」「府食肉事業協同組合連合会」の買い上げ量1718トン(国の買い上げ総量約12600トン)のうち、ハンナングループが約611トンと突出、疑惑を裏付ける形となっている。
 ただ、浅田は自らが取締役である「大阪食肉センター」に保管していた買い上げ肉の全量を、農水省が全箱検査を発表する2ヵ月前の今年1月から業者による焼却に待ったがかかる直前の3月じゅうに焼却して証拠を隠滅しており、東京地検は鈴木宗男との関係を中心に追及する意向とも言われている。業界・政治家・農水省ぐるみの「構造腐敗」がどこまで解明されるか、要注目。 (つ)
書評:キューバの人々の勇気と活気に溢れる姿に素直に共感
    「200万年が有機野菜で自給できるわけ」(築地書館・吉田太郎著)
 最近キューバの現在の社会建設をレポートした「200万都市が有機野菜で自給できるわけ 都市農業大国キューバレポート」(築地書館 吉田太郎著)と「有機農業大国 キューバの風」(首都圏コープ事業連合編)を読む機会があった。キューバは30年程前にカストロやゲバラの名をある種の憧れを以って聞いたこと位の記憶で革命後の過程等ほとんど関心をもつこともなく遠い国として忘れ去っていた。
 レポートは私にとってショッキングな内容であった。アメリカを筆頭に世界を我が物顔に振舞う帝国主義的資本主義世界とは全く異なる社会建設が可能なのだということを証明する社会が存在することへの驚きとすばらしさにたいする率直な共感であった。

 90年代初頭のソヴィエト崩壊。革命後のアメリカの経済封鎖によってほとんどの物資をソ連からの援助に頼っていたキューバは窮地に陥る。キューバをつぶすチャンスとアメリカはキューバに対し一層の「経済封鎖」をしかけた。おかげでキューバには石油、食糧、医薬品等々生活に欠かせない物資が入らない「異常事態」にみまわれた。今の日本で、ある日突然、当たり前のごとくに使い前提としてきた石油が入らなくなったらどうなるか!そのすさまじさは想像を絶するものになるのは間違いない。

 キューバのすばらしさはそこから始まった。180度転換した社会の有り様を国を挙げて、人々の自発的な意思創意工夫をもって、模索しながら作り上げていったのである。大半のものを自給せざるを得ない事態に遭遇して、まず食べることからと、都市のあらゆる耕作可能な空間を畑に変え有機肥料で野菜をつくる。また生活に必要なものを電気、医薬品等々石油エネルギーに頼らずに作り上げていく。キューバの人々の勇気と活気に溢れる姿はレポートを通して楽しく伝わってくる。

 「今の私たちがあるのはアメリカの経済封鎖のおかげ」と誇らしげに語るキューバの人たち。物不足は現在も続いているも一人の餓死者も出さずにきたことへの自身。高度な福祉社会。有機農業を基礎に据え、石油エネルギーに依存しない自然と環境を大事にした持続可能な社会作り。環境保全型社会。資本主義世界が今後一層大きな問題として抱える課題、資源略奪浪費型工業社会・環境への大きな負荷、他国の人々を踏みにじり奪い尽くすことによってしか生き延びることが出来ない資本主義社会に対し、キューバはそうではないもうひとつの社会の在り様を指し示している。キューバの経験に学ぶ所はあまりにも多いと考えさせられたレポートでした。是非皆さんも一読して頂きたい。 (S)

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